見出し画像

「FUJITSU-MONAKA」ってなに!?~Fujitsu Research of India Private Limitedで研究をリードするプリヤンカ・シャルマへインタビュー~

こんにちは!富士通 広報 note編集部です。
突然ですが、皆さんはインドに行ったことがありますか?「何故、富士通がインドの話題を?」と疑問に感じると思いますが、実は富士通は、2022年4月にインドのバンガロール市に「Fujitsu Research of India Private Limited(以下、FRIPL)」という研究開発拠点を開設し、最先端のAI、コンピューティング、データ&セキュリティ、量子ソフトウェアやネットワークの分野に焦点を当てた研究開発を行っているのです。FRIPLでは、IT大国としても知られるインドで優れた人材を採用し、従業員数が2024年7月の時点で350人まで急拡大しています。

今回はFRIPLで活躍する研究開発者の中から、「FUJITSU-MONAKA」(読み方:フジツウモナカ)のプロジェクトに携わり、FRIPLでソフトウェアの研究開発を統括するプリヤンカ・シャルマのインタビューをお届けします。


インタビュイー:FRIPL MONAKAソフトウェアR&Dユニット長 プリヤンカ・シャルマ

シャルマさんが開発に携わっている「FUJITSU-MONAKA」とは何ですか?

富士通が開発している次世代のプロセッサのコードネームです。昨今、AIの活用によってデータセンターの消費電力が増大しています。この問題に対処するために、富士通は、長年に渡りコンピューティング分野の開発で培ったノウハウをもとに、省電力と高性能を両立したデータセンター向けプロセッサ「FUJITSU-MONAKA」を開発しています。
FRIPLでは「FUJITSU-MONAKA」向けのソフトウェアの研究開発も行われており、私はその研究開発チームのトップとしてプロジェクトを牽引しています。


注: 「FUJITSU-MONAKA」とは
・最先端の2ナノメートルテクノロジーを採用したArmベースのCPU
・自社設計のマイクロアーキテクチャー、低電圧技術といった富士通独自技術などを活用
・データセンターにおけるAIやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)といった様々なワークロードで、他社CPU比2倍の性能と2倍の電力効率、高信頼性、使いやすさを目指す
「FUJITSU-MONAKA」について詳細に知りたい方は、こちらもご覧ください



「FUJITSU-MONAKA」は開発中のプロセッサですが、ソフトウェアの研究開発も既に行われているのですね。

「FUJITSU-MONAKA」が世に出た際に、お客様が使えるソフトウェアを事前に用意しておく必要がありますから。そのためオープンソースコミュニティにも積極的に参加し、どういうところに需要があり、どのようなユースケースが求められているかを探っていき、そういうところで性能を発揮できるようにしていきたいという方針の下で活動しています。
その一つとして、2023年10月5日にThe Linux Foundationが設立した「Unified Acceleration Foundation (UXL)」に、富士通は、発足メンバー企業として参画しています。
「FUJITSU-MONAKA」も含めて、AIやHPCのプラットフォームは多様化しており、ソフトウェア開発においても、各種のCPUのほか、GPUやFPGAといったアクセラレーターなど、様々なアーキテクチャーへ対応できることが望ましいのです。しかし現在は、アーキテクチャーごとに異なる方法でそれぞれプログラムを作成しなければいけないことが課題となっていて、ソフトウェア開発や普及の妨げとなっています。 UXLは、一つのソースコードでCPUやGPU、FPGAなどの様々なアーキテクチャー向けに最適化された実行プログラムを生成できるようにすることを目指す団体です。
私は、UXLの運営メンバーでもあります。「FUJITSU-MONAKA」は可能な限り多くのオープンソースソフトウェアをサポートする必要があるため、オープンソースコミュニティであるUXLと「FUJITSU-MONAKA」とのつながりは非常に重要だと思います。

シャルマさんが研究者になった経緯を教えてください。

私は過去25年間、ソフトウェアベンダーや、大学、研究機関などでの仕事を通してAIとHPCの分野の研究に携わり、コンピューティングとAIを活用して、社会課題を解決することに情熱を燃やしてきました。
私の父はプラズマ科学の科学者で、インドで唯一のプラズマ研究センターの設立にも尽力しました。彼は(研究者としての)私の師でもあり、私に常に挑戦し、学び続けるように励ましてくれました。父は私の人生に最も影響を与えてくれた人で、彼のおかげで学ぶことが日課の一部になりました。そのような中で、私は幼少期にコンピュータというパンドラの箱に魅了され、アルゴリズムとコンピューティングの背後にある魔法を学ぶという私の願望に翼を与えるためにコンピュータエンジニアになることを夢見てきたからです。
また、もう一つの理由は、眼鏡をかけたかったからです。何故か両親は、コンピュータエンジニアだけが眼鏡をかけると言っていました。率直に言って、科学の複雑な問題を解決する研究者になりたいと思ったのは、幼い頃に生まれた、将来コンピュータエンジニアになるということへのほんの少しの情熱があったからなのです。
コンピューティングは、物事を論理的に理解できる分野であり、論理的に考えることは私にとって自然なことです。これからもコンピュータエンジニアとして、社会に貢献したいと考えています。

なぜ研究員として活躍する場所として、FRIPLを選んだのですか?

富士通に入社する前まで私は、アメリカ、カナダ、ドバイ、ヨーロッパ、アフリカなど様々な企業で働いていましたが、日本企業で働いたことはありませんでした。しかし、日本人の規律、正直さ、誠実さに感銘を受けた父から日本企業への就職することを勧められ日本企業に関心をもつ中で、富士通が独自のマイクロアーキテクチャーを構築することに長けていることや、スーパーコンピュータの成功事例を知り、富士通のR&Dエコシステム へ貢献したいと思っていました。
これら2つが自分の中で重なった頃に、ある日、富士通から電話があったので「FUJITSU-MONAKA」のプロジェクトをインド側からリードしたいかどうか尋ねられたとき、私は躊躇することはありませんでした。FRIPLに入社し、富士通のコンピューティングの研究開発の一翼を担うべく、全力を尽くす決意でした。
今は富士通に所属し、川崎、東京、沼津、大阪、神戸などの日本の様々な都市を訪れました。川崎の街を歩いたり、地下鉄や新幹線に乗ったりすると、「未来の産業」という本の1章のように見えることがあります。今まで訪れた日本の都市には世界の中でも技術開発が進んでいると感じ、そのような都市に住む人々と一緒に仕事をする機会を得たことを光栄に思っています。


※FUJITSU-MONAKA : この成果は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業の結果得られたものです。

おすすめ記事


富士通 広報noteについてメディア取材ご希望の方は以下よりご連絡ください。 ご利用環境により、以下ボタンが反応しない場合は、<fj-prir-note@dl.jp.fujitsu.com>をご利用ください。