全日本新人王について
こんにちは。藤田裕崇です。
※はじめに
本日の速報で知りましたがコロナの影響で二試合が中止になってしまいました。2名とも無症状とのことですが…無念です。2つとも楽しみなカードでした。
その他の試合は予定通り行われるとのこと。
さて、この記事では昨年全日本新人王まで戦った選手目線で、新人王の魅力や見所をご紹介できればと思います。
僕自身の話も多いので、暖かい気持ちで読んでいただけたら嬉しいです。
【目次】
●新人王とは
●東と西の違い
●去年のトーナメント振り返り
●よく聞かれることへの回答
●新人王とは
「新人王って何?」という質問をよくいただきます。こんなこともあろうかと説明資料を作ったことがあるので、参考までにどうぞ。
まとめると日本ランキング入りを目指して4勝未満の新人ボクサーが全国から参加するトーナメントです。
優勝、つまり全日本新人王になると日本ランキングで各階級の最下位にランクインします。通常ボクサーがランカーになるには数年を費やすため、1年ちょっとでランキングに入れるこのトーナメントはわりと思い切ってます。
決勝の全日本新人王決定戦では聖地・後楽園ホールで"東軍代表vs西軍代表"が戦うのですが、これが毎年タイトルマッチ並みに盛り上がると言われています。僕の時もチケットは即完売、後楽園は満席でした。
人気の理由はおそらくこの2つです。
・KOが多い
・わかりやすいトーナメント形式
●東と西の違い
先ほど東軍代表vs西軍代表で決勝戦が行われると書きましたが、トーナメントは東日本と西日本でエリアを2つに分けます。
どちらのエリアのエントリーになるかは所属ジムの所在地によって決まります。
東と西の大きな違いといえば、東はトーナメントが1つなのに対し、西はトーナメントがエリアごとにあることです(会場も変わります)。
詳細は以下の通り。
日本を東と西にズバッと分けて、西はさらに細かく分かれています。
藤田は名古屋大橋ジムからスーパーライト級(63.5kgリミット)でエントリーしました。
名古屋は「西」扱いだったので、決勝までの道のりは
①中日本トーナメント
②中日本vs西武日本(九州)新人王対抗戦
③西軍代表決定戦
④全日本新人王決定戦
こんな感じです。
(多く見えますが僕の年の試合数は東と全く一緒でした)
●去年のトーナメント振り返り
簡単に去年の新人王の振り返りをしたいと思います。
①中日本トーナメント 3月〜8月
中日本トーナメントで鈴木選手、片岡選手と対戦し『中日本新人王』になりました。
鈴木選手はデビュー戦の相手でリマッチ。1RKO勝ち。
片岡選手は4RKO勝ち。気が向いたら別に記事にしますがこの試合はかなりキツかったです。片岡選手が強くて。『敢闘賞』を頂くことができました。
※新人王の各トーナメントでは技能賞、敢闘賞、MVPの三賞が選手されます。
②中日本vs西武日本(九州)新人王対抗戦 9月
次に西武日本(=九州)代表の宇野選手と対戦、2R KO勝ち。この試合は自信がありました。身長もあって良い選手でした。
③西軍代表決定戦 11月
次に西日本代表の高橋選手と対戦し2RKOで勝ち。『西軍代表』に。この試合でも『敢闘賞』をいただきました。
ちなみに高橋選手はリクルートの取引先のお客様でした。笑
時を同じくして東日本トーナメントを制し『東軍代表』となった本多選手との対決が決定します。
東西敢闘賞対決として試合前から話題にあげていただきます。
名物と言われている東西代表の集合写真が載っている全日本のポスター。去年は亀田京之介選手も東軍代表でしたね。
ここまで約10ヶ月。
④全日本新人王決定戦 12月
決勝では東は赤、西は青の指定トランクスを履いて戦うことは義務付けられています。
ちなみにミニマム〜ミドルまでワンサイズ。
試合後もらえます
決勝は4R TKO負け。
逆転負けという悔しい結果に終わりました。僕を破り優勝した本多選手は当時の最下位ランクである17位にランクインしていました。
名古屋から東京に殴り込んでいく感覚は同じ尾張出身の織田信長のようですごく楽しかったです。あと一歩で天下統一を逃すところは真似したくなかったけど…
●よく質問いただくこと
ここまで新人王の基本的な説明と、去年の試合のかんたんな振り返りをしました。せっかくなのでよく質問いただくことについても回答しようと思います。
①今年の注目選手は?
これすごく多いです。僕にそんなこと話す権利ないと思いますが…
正直ちゃんと見れてません。ごめんなさい。
結局知っている選手の話になっちゃいます。
【東】
ライトフライ級 狩俣綾汰 無敗
フライ級 宝珠山晃 無敗
スーパーライト級 兒玉麗司 無敗
※全員同じジム
【西】
フェザー級 福永輝 選手
ウェルター級 能嶋宏弥 選手
【東】
3人とも本強いです。
特に麗司はスパーリングもするのでよくわかります。
※麗司はコロナ陽性で試合は中止(無症状)
【西】
福永選手は当時名古屋大橋ジムで仲間だった三輪珠輝を破り次へ進みました(珠輝はどの距離でも戦えるうまい選手です)。その後西軍代表決定戦で敗退しますが、これは対戦相手の前田稔輝選手が特段強かったとおもいます
※福永選手はコロナ陽性で試合は中止(無症状)
そして薬師寺ジムの能嶋選手。彼とはジムは違いましたが毎朝一緒に走ったりしてました。スタミナが豊富で思い切りがよく、パンチを当てるのに苦労した記憶があります。彼は全日本取ると思います。
②キツかったことは何?
決勝戦に行くまでに10ヶ月かかるので大変だと思って頂けるとは思うのですが
個人的にキツかったことは
・体重調整
・怪我
この2つでした。
トーナメントで1〜2ヶ月に一度試合をするので、減量の幅が大きい選手は年中摂生しなきゃいけません。選手ならわかると思いますがこれは地獄です。
※ボクサーの平均試合ペースは3〜4ヶ月
そして怪我。
新人ボクサーは知識も経験浅いのでこれは本当にバカになりません。
▼の写真は8月に中日本トーナメントを制した時の写真。右手が真っ青で形も変わってます。このとき靭帯がボロボロになっていました。
医者には「3ヶ月は安静、それでも試合に出たいなら自己責任」と言われます。九州代表との対抗戦は1ヶ月後。
僕はワケあってこのトーナメントにボクサー人生をかけていたので棄権しないことを決めます。
しかし練習を張り切りすぎて左も痛めます。割り切ってひたすらシャドー。この時試合3週間前。
プロ失格ですが試合直前に階段から落ち、走ることもできなくなります
※すごく怒られました
仕方ないのでスマホに穴が空くほど対戦相手の動画を見て過ごしました。
当日はバンテージとアドレナリンで、怪我の影響は全くありませんでした。勝った瞬間は、喜びより安心が大きかったです
怪我を超える根性が大事
ということが言いたいわけではありません。もちろん根性は大切ですけど、デメリットもあります。個人的には、骨に異常がある場合無理しないほうがいいなと思います。
それでも棄権しなかった理由はバレンさんと戦いたかったからです。
※細川バレンタイン/元日本スーパーライト級王者
当時僕はスーパーライト級で日本ランカーになり、翌年の2020年に試合して勝つという目標を立てていました。
バレンさんは38歳。
本来であれば国内規定で定年となり引退しなければいけない年齢です。当時いつまで現役を続けるつもりなのか知りもしなかったので、新人王をとってランク入りし、対戦するに値する選手となることがその目標を達成する唯一の道だと考えていました。
※実際それは違って、ご本人曰く50歳まで現役とのことでした。すみませんでした
話はそれましたが、去年参加していた選手として言えることがあるとするなら、優先順位を決めて行動することが大事だと思います。ただボクサーは99%無理をする生き物なので、選手とコミュニケーションがとれる超冷静な大人の存在がめちゃめちゃ大事だと感じます。
●最後に
明日いよいよ東軍と西軍の代表が決まります。僕がバレンさんに片想いしているように、各選手色んな理由を背負って試合に臨んでいることでしょう。中にはランカー並みに強い選手もいるので、勉強する気持ちで見届けたいなと思います。
見る側だと楽しいですね
新規のお客さんが少ない気がするボクシング界ですが、一人でも多くの方に新人王、ボクシングの面白さが届くことを願っています。
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