「自分の好きなこと」でみんなの課題をクリアしよう〜みんなゲーム化プロジェクト3〜
「みんなゲーム化プロジェクト」は、2019年1月からスタートした会社のすべてをゲーム的に楽しくデザインし、みんなが幸せに価値を生み出す集団になることを目標にしている新しい試みです。
「自分の好きなことが、どうしてみんなでゲームをつくることに繋がるのか?」
「みんなゲーム化プロジェクト」2年目の目標は、4月に開催される地域の子供の職業体験イベントへの参加と、人の役に立つゲームをみんなで一つ作ることです。
そして年始にこの目標を伝えるにあたって、社員の方から一つの質問をいただきました。それは、
「自分の好きなことが、どうしてみんなでゲームをつくることに繋がるのか?」
という質問です。
実は2019年の「みんなゲーム化プロジェクト」は10月から第2期になり、2ヶ月かけて自分の好きなことをゲームにして年始に発表することになっていました。
この質問をされた方は、第2期の途中でも「好きなこと」から発想するのが難しいと言われていて、2020年のプロジェクトをはじめるにあたり再度質問をいただいた形です。
私も3年前に内発的動機からビジネスを創るzenschoolという講座で「自分の好きなことから発想して自社の製品開発に生かす」という考え方に出会ってから、それが有効だとは分かるものの上手く説明できずにいました。しかし質問をいただいく1ヶ月前、ある本を読み直したことで、ようやく説明が出来るようになりました。
「自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法―“企画の魔眼”を手に入れよう」
その本は、2年前に読んでいた米光一成さんの「自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法―“企画の魔眼”を手に入れよう」です。
この本を初めに読んだときは、ありきたりのことが書いてあるように感じて流し読みしてしまったのですが、前著「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本 」を1年実践した後に読むと、目から鱗が落ちる瞬間の連続でした。
もともと5年前からビジネスデザイナーの濱口秀司さんのネット記事やハーバードビジネスレビューの連載などを読み、新しい発想を生み出す手法については色々と研究していました。
その中で最も有名な手法がバイアスブレイクで、アイデアの切り口を集めて、ダイヤグラムにして構造化し、それを壊す切り口を見つけて新たな発想を生むというものです。
画像出典https://www.worksight.jp/issues/59.html
またデザイン思考や発想法の本を読んでも、ブレインストーミングから数種のフレームワークを経て再度アイデアを出し、一番面白いものを採用というのが一般的な手法です。
これらの手法は新しいアイデアを生み出すことにはとても効果的です。しかし、組織として課題をクリアしていくにはいくつかの問題点もあり、それ問題を解決する要素が「自分の好きなこと」です。
イノベーション理論やデザイン思考の問題点
イノベーション理論やデザイン思考は、新しいアイデアを生み出すためには優れた効果を発揮します。しかし組織として課題に取り組む場合、3つの問題が考えられます。
一つ目はモチベーションの問題です。
仮にとても面白い発想が生まれたとして、誰かが考えたアイデアを実現していくとき、みんなが情熱を持って取り組めるでしょうか?
これは本当に面白いアイデアが生まれたときには、アイデアの力で解決できるのかもしれません。しかしそんなにスゴイ発想はそうそう出てくるものではありません。そのため、それぞれがモチベーションを持てる手法が必要です。
二つ目はMECE(ミーシー)の問題です。
MECEとは、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味する言葉である。要するに「漏れなく・ダブりなく」という意味である。経営学、経営コンサルティングなどの領域でよく使われる言葉である。 ウィキペディア
課題解決でとても重要なステップに、その課題の構成要素を漏れなく、ダブりなく、みんなの目に見える形にするということがあります。
しかし、ただみんなでブレインストーミングをしているだけでは視点が偏りすぎ、またそれをフレームワークで拡大しようとしても、採用するフレームに縛られてやはり視点が偏る可能性があります。
三つ目は組織で課題解決する意義の問題です。
組織でやる以上、個人で発想した方が面白いものが出来ましたでは意味がありません。みんなの力を集めることでより良い解決方法に導かれるような手法が理想のはずです。
「自分マトリクス」×「課題マトリクス」
そして、これらの問題を解決するのが、「自分の好きなこと」を書き出すことからはじめる米光さんの手法です。
社内用にまとめてみて、この手法のキモは「自分の好きなこと」を可能な限り書き出す「自分マトリクス」と、同じく可能な限りプロジェクトの構成要素を書き出した「課題マトリクス」を掛け合わせて発想することだと感じました。
本の大まかな趣旨は、以下のようになります。
目的・・・発想を実現する力を身につけること。自分の中にあるモチベーションを探り、自分の内側から次々とアイデアが浮かび、思いついたことを実現できる体質と環境を作る
手法・・・「自分マトリクス」→「課題マトリクス」→「自分マトリクス」×「課題マトリクス」→「具体的なキーワード」⇄「大きな切り口」を反復運動の繰り返し→発想体質→「ミーティング」→「アイデア流通」の中心となり、企画を実現!
そして、本の中で「自分マトリクス」の作成には最も多くのページが割かれています。この「自分マトリクス」の作成が「自分の好きなこと」と向き合うことなのですが、作成による一番大きな効果は
自分だけの発想の「切り口」を幅広く得られる
ということです。そして自分だけの「切り口」が課題解決に生かされると自然とモチベーションも上がってきます。
また個人個人の「好きなこと」は千差万別で、その数だけ発想の「切り口」の幅も広く多様になります。これにより個人で発想するより、組織の方がMECEな発想が可能になります。
さらに即興演劇の手法で、相手を否定せず切り返す「イエスアンド」を組み合わせることにより、個々の多様な「切り口」のアイデアたちが、心理的安全性が確保された中で対話的飛躍を起こし、個人で発想出来なかった飛び抜けたアイデアが生まれる可能性が高まります。
そして以上が、冒頭にいただいた質問に対する回答です。
わたしのゲーム化プロジェクト
2020年の社内向けテキストとして全員分の本を入手し、説明用の要約資料を作成してみて、日本のゲーム制作の現場というのはこんなに組織の力を信じ、最大限に生かしてみんなで面白いゲームを生み出してきたのかと驚かされっぱなしでした。
そして、この手法を自社だけではなく他社の方にも紹介したいと強く感じるようになりました。
そこで私個人の2020年の目標を「この手法をゲーム化する」にしようと思います。
「みんなゲーム化プロジェクト」は、会社のすべてをゲーム的に楽しくデザインし、みんなが幸せに価値を生み出す集団を目指しています。
2020年は、この「みんな」に「会社に関わる方々みんな」も含まれると解釈し、ゲーム化の手法を使って、もっと楽しく課題解決が出来るアイデアを実現していきたいと思います。
「みんなゲーム化プロジェクト」のご支援をお願いいたします!
〜米光さんの発想法についての参考記事はこちら。
〜自分の好きなことからビジネスをつくるzenschoolについてはこちら
〜2019年のみんなゲーム化プロジェクトについてはこちら
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