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クレモナ、恩師との出会い

このところ、2013年のイタリアでのレースとそれにまつわる旅の話を
書いている。

出来事を余すことなく知って欲しくて、つい時系列で単調になるのを感じながらもつらつらと書いてしまう。これはぼくの悪い癖でなかなか治らない。

なので、時々時系列を無視して印象的なことを書くようにしている。
今回はそんな回。

クレモナへ

イタリアの旅の最後はヴェローナから南西120kmにある街クレモナへ。

ここは弦楽器工房がたくさんあり、ヴァイオリン作りの街として世界的に有名。
高校時代に一度訪れた妻が再訪したいとのことだったので足を伸ばした。

偶然

クレモナについてパーキングに車を停め、街の中心部へ歩き出す。

すると向こうから日本人の二人組がやってきた。(面白いもので日本人同士なんとなくわかる)互いに珍しいと思ったのか挨拶を交わし少し立ち話をすると、これからこの町で長年工房を持っている石井髙先生のところへ行くので、よかったら一緒にどうかと誘っていただいた。

ヴァイオリンにまつわる物を少しでも見て回りたい以外当てもなかった僕たちにとって、これ以上ない最高の機会。お言葉に甘えてご一緒させていただくことに。

石井先生との出会い

カフェへ4人で足を運ぶとそこにいらしたのが石井先生。
一緒に食事を取りながら石井先生のお話を伺う。
クレモナのこと、工房のこと、楽器作りのこと…。
門外漢のぼくにもわかりやすく、そして面白い。

スクリーンショット 2020-07-27 21.25.06

写真は1736年に作られたストラディヴァリのラベルで
「92歳の時に作成」と、下には書いてあるそう。

スクリーンショット 2020-07-27 21.25.01

ランチの最後には、クレモナの銘菓トローネ。

僕らがレースに出ながら旅をしていること、
何より妻がヴァイオリニストであることにいたく興味を持ってくださり、
食後には、コムーネ宮にあるクレモナで造られた歴代ヴァイオリンが展示されている部屋へ行き、一丁一丁、詳しい解説付きで案内していただいた。

楽器を弾けない僕でも鳥肌の立つような造形美と楽器が醸し出す雰囲気から
その部屋にいるだけで幸せになる。

塔

この写真のお向かい?にコムーネ宮。

工房へ

ありがたいことに話し足りないと思ってくださり、
さらに工房を見ていかないか?と誘っていただいた。

無論、断る理由はどこにもない。
喜んでお邪魔して数え切れないほど沢山のお話を伺うことができた。

ご自身がクレモナで工房を持つに至るまでの話、
奥様との馴れ初めや息子さんのこと…。

また、僕らが旅をしながらレースに出ていることについては、
海外で単身で何かを切り拓く難しさをよく知っている石井先生はいたく共感してくださり、息子さんは妻と同い年だったこと、そして息子さんが確かスケートか何かの選手をしていたそうで、僕ら夫婦に対し並々ならぬ親近感を抱いてくださり本当に可愛がっていただいた。

その後も手紙でやりとりを度々させていただき、僕はレースの報告を、妻は演奏の報告をした。このしばらく後、僕の初めての世界選手権が決まるのだがそのことを我がことのように喜んでくださったことは僕にとって本当に誇らしいことだと思っている。

数年後、羽田空港で偶然再会することができその少し後に残念ながら石井先生はお亡くなりになってしまうのだけれど、お亡くなりになる前に心のこもったメッセージをいただいた。以前noteに書いたことがあるが、僕はとても大切なことだと思っているので、石井先生からいただいた手紙から引用しておきたい。


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