【出逢い編 ＃４】Sちゃんの場合／それでも、家族だから

Sちゃんとの出逢いは、オフ会。

一定の目的を持ったメンバーが集まる飲み会です。カラオケであったり、芸能人であったり、趣味であったり。ただ呑み友を探すための場や、気軽にひとりで来ても話し相手がいるようなラフな場もあります。

◇

Sちゃんは、呑み会でも目を引く美人さんでした。腰まであるしなやかな黒髪のロングヘア。色白で、痩せすぎでもなく、太ってもいない。モデルさんのような美人さんです。身のまわりにいる たくさんのひとに気を配り、会話をまわし、Bさんをしながら コロコロと笑っているような女の子です。

きっかけは、アトピーの相談でした。

◇

お茶をするようになり、深い話を聴かせてもらえるようになるまで、そんなに時間はかかりませんでした。彼女は、わたしの実家と同じような悩みを抱えていたのです。運命の歯車は面白い出逢いを連れてきてくれますね。

Sちゃんの家庭は、完全に崩壊していました。お父さんとふたり暮らしでしたが、身の危険ばかり感じる毎日。家に縛りつけられる生活のなか、ようやく抜け出し、アルバイトをしたり、飲み会で息抜きをしていたそうです。

ときたま、血の繋がったお母さんが家にきて、キャッシュカードを奪っていったり、お金を回収していくのだそうです。全身をCHANELで包み、包丁を振り回し、すっかりパニック。Sちゃんは どうにか宥めようとはしますが、どうしようもなく、恐怖や憎しみが湧き上がってしまう自分を抑えられないと話してくれました。

お母さんを大切に想う気持ちはあるのに

身に起こる怖さの方が勝ってしまうのだそうです。

◇

Sちゃんは、家族を大好きです。

なにが起こっても、大好きでした。

だから悩んでいたのです。

お金を稼いで、お母さんに渡したら、変わってくれるだろうかと真剣に考えていました。欲しいものを買えて、自由な時間を過ごせたなら。また、優しいお母さんになってくれるのではないか。お父さんと和解してくれるのではないか。離婚したいなら、すればいいけれど。みんなが笑顔を取り戻す 平和な毎日に なれるのではないか。

日頃は 華やかなお花のように笑う彼女が、わたしの前では泣いていました。『ひろみさん、助けてください』。自分の未熟さを感じる日々のなか、習ってきた お金の稼ぎかたをお伝えすることしか、できることは ありませんでした。

◇

呑み会を息抜きの場にしていた彼女は、すぐに新しい方と仲良くなり、紹介してくれました。このあいだ 仲良くなったんです！キラキラの笑顔でした。

◇

先の記事に書いたように、Hちゃんの時期と重なっていました。環境を整えることができていなかったわたしは、Sちゃんに対しても、おなじような状況を渡している状態。のどから手が出るほどの 憧れが そこにあるのに。本気になれば、半年や１年で、現状を大きく変えられるのに。

◇

先輩から、Sちゃんのお母さんを警察に引き渡すように言われました。けれど、彼女の気持ちを間近で知っていますから、そんな対処はできませんでした。彼女は、解決したいからです。家族の、仲を。取り返しがつかないほどに壊すのではなく、護りながら、取り戻したいのです。

わたしは、指示に 従いませんでした。

成功させてください。

環境を開いてください。

人生をかけて憧れを描くメンバーばかりなんです。

願いが通ることは、ありませんでした。

◇

家庭が崩壊しかけている人間には

成功を夢みる価値は、無いでしょうか？

重い話題でしょうか？

Sちゃん本人に、非は あるでしょうか。

憧れることは、間違いでしょうか。

◇

わたしは。

彼女たちにこそ。

大きな成功をつかみ

華やかな舞台で 最高に 幸せな笑顔で 笑ってほしい。

『ほら、幸せになれた』

そうやって、後進に、その姿を焼きつけてほしい。

そう、想うのです。

◇

【自分が、決裁権を持てること】の価値を

思い知りました。

◇

大好きな友人の未来を

一緒に諦めなきゃならない未来なんて

欲しくない。

辛い想いをしたひとが

幸せを諦めなきゃならない未来なんか 見たくない。

諦めず追いかけても

どうにもならない未来なんか、見たくない。

素晴らしいものを知っているのに

決裁権がないだけで

手に入れられない未来なんか、要らない。

◇

わたしは

わたしのために

権力がほしいと、思いました。

決裁権をください。

資金力をください。

発言力をください。

護りたいものを、護らせてください。

叶えたい夢を。

叶えさせてください。

◇

わたしは

大切な仲間が

夢を諦めずにすむリーダーになりたい。

キラキラ笑って 未来を描いて

本当に手にいれるために

最高のフォローをできる リーダーでありたい。

心から

おなじ想いをもつトップリーダーを欲しました。

わたしも、まだまだ、新米だからです。

想いだけでは、

ひとを 救えないからです。

◇

そのためなら

わたしは、目標を 跳ね上げる。

わたし自身の、たくさんの夢を 叶えるためにも。

最高のちからを手にいれて

美しく、誠実に、そのエネルギーを 役立てたい。

◇

みなさんなら、どうしていましたか？

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