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週休3日を考える(2)

5月2日の日経新聞で「「週休3日」で残業6割減」というタイトルの記事が掲載されました。働き方改革が叫ばれる中、週休3日という概念も登場してきていますが、ZOZOが週休3日に取り組んでいるという事例です。

週休3日制については、以前の投稿でも考えました。今回は、そのテーマの続きとして別企業の事例から考えてみます。

同記事の一部を抜粋してみます。

~~「あー、あすから仕事だ……」。日曜夕方に多くの会社員が感じるであろう思い。しかし「2日働けば水曜が休み。さらに木曜から2日働けば週末で休み。休み明けの重い気持ちが今はない」

ZOZOでは21年4月にホスピタリティ本部を対象に選択的週休3日制を導入した。同本部はメールやチャットなどによる顧客からの問い合わせや苦情に対応する。新型コロナウイルスの感染拡大期も原則出勤。荒川雅恵本部長は「ほかの部署はテレワークが進んだ。ホスピタリティ本部も柔軟に働く方法はないかと考え、週休3日制の導入を決めた」と説明する。

週休3日制を選ぶと、休日1日分の所定労働8時間を4日に分配し、出勤日は1日10時間働く。出勤日は長く働かなくてはいけないが、給与が減らない仕組みの方が社員は選びやすいと考えた。従来通り週休2日で働くのも自由で、半年ごとに自分で決める。

初の週休3日の準備に会社は半年を費やした。現場導入を任されたディレクターの久保裕之さんは「まず利用意向を調査。おおよその利用者を把握し、どう勤務体制を組めばよいか検証した」と話す。仕事のやり方は職場単位で見直した。情報共有にメールやチャット活用を推奨。ただ休日に仕事のメールに追われては意味がない。休日中は確認も返信も不要と定めた。

各自も休むために業務の無駄を洗い出した。久保さんは自分が不在でも仕事が滞らないように詳細な業務マニュアルを作成。仕事の進捗状況を早めに上司へ報告・相談するように行動を変えた。「思い込みで仕事を進め、途中で『ちょっと方向性が違う。修正して』と上司に言われることもあったが、今はない」

もちろん課題は残る。1番の懸念は職場内のコミュニケーションだ。平日に休む社員がいると、全員がそろう会議の時間設定が難しくなる。出勤日に2時間多く働くのは慣れないと体に負担がかかる。荒川本部長は「メリットとデメリットを比べると、現状は経営上のプラス面が上回っている」と強調する。~~

同事例からは、3つの点を考えました。ひとつは、現場の状況・ニーズを的確に把握することの大切さです。そして、それに合った施策を考えることです。

(内情を存じませんので、上記記事からの推察ですが)同社のホスピタリティ本部は、その業務の特徴からテレワークという形態が向かない部署なのでしょう。テレワークが困難な業務・職種は、どの会社にもあり得ます。働き方改革や業務効率化の取り組みなどのテーマにおいて、そうした部署にも一律でテレワークを強要するのではなく、週休3日制というその部署に合った施策に解決の方向性を見出しているわけです。

そのうえで、まず利用意向を調査したとあります。週休3日制といっても、その具体的な制度内容や運用方法について、現場情報をもとにして設計しているわけです。「本社がよかれと思って決定したことで、かえって現場は困惑」という事象は、いろいろな企業で見かけます。同社の取り組み事例は、特に間接部門は参考にすべき視点ではないかと思います。

週休3日には3つのパターンがあると言えます。

A:1日の所定労働時間を維持し休日を増やし(=総労働時間減少)給与も減らすパターン

B:休みを増やす代わりに出勤日の労働時間を延ばし総労働時間・給与を維持するパターン

C:1日の所定労働時間を維持し休日を増やし(=総労働時間減少)ながらも給与も据え置くパターン

です。同社はBパターンのようですが、このパターンがよいだろうという判断も利用意向調査の結果に沿っていると言えそうです。

同日付の記事では、上記ABCのパターンに関して、マイナビ調べによる次のようなデータも紹介されています。これらからは、だれもが休日が増えることを求めているとは限らないことが分かります。

・Aパターン:回答者の78.5%が「利用したくない」

・Bパターン:回答者の53.9%が「利用したくない」

・Cパターン:回答者の77.9%が「利用したい」

とりわけ、これ以上休日が増えることより収入維持・増加を望む人が多いことが伺えます。しかし、Cパターンは単純に生産性低下につながりますので、今の日本を取り巻く状況を考えると安易な導入は避けるべきものと言えます。

続きは、次回以降の投稿で考えてみます。

<まとめ>

現場のニーズを踏まえた上で取り組む施策を考える。

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