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長期的なお客さま第一の視点

先日、社内会議のあり方について、Aさんと話題になりました。Aさんはしばらく前からある企業に転籍された方で、これまでも別会社の立ち上げなど複数社のガバナンスに関わってきた方です。Aさんから次のようなお話をお聞きしました。

~~自社ではこれまで、社内会議は始業時刻前か終業時刻後、もしくは土日祝に行われてきた。要するに、定時の就業時間外で実施していたということ。その結果、早朝や夜間・土日祝での実施になっていたが、そのため個人の事情で参加できない者もいた。これを、原則平日の就業時間内で行うこととし、全員参加を義務とすることに変えることにした。~~

これまでの考え方・企業文化は、就業時間内はお客さま対応を優先し、部署内ミーティングや役職者会議、企画会議など社内の人材のみで構成される会議体は、お客さま対応が発生しない就業時間外で行うというものです。

同様の考え方の会社も多いと思います。
Aさんは、以前在籍していた企業で過剰な労働時間が大問題になったことのある会社にいたことがある方です。その会社では、その大問題を経て上記同様に「社内会議も原則就業時間内」に変えたそうですが、その結果生産性が上がり売上も上がったそうです。その後関わった会社での経験も含めて、それらの経過からひとつの強いポリシーに至ったそうです。

「度を過ぎた目の前のお客さま優先は、長期的にはお客さまのためにならない」

このポリシーは、私たちに重要な示唆をもたらすと思います。
まとめると、次のようになります。

・お客さま最優先の活動は、持ちうる最大限の時間をお客さま対応に使うこと。

・よって、就業時間はすべてお客さま対応に充て、対お客さまで今できることをすぐに実行することが、最大のお客さま貢献行動であると考える。

・その結果、社内会議の実施は早朝や夜間、場合によっては土日祝になる。しかし、それらの時間帯は個人の生活の様々な事情もあるため、出席を強制はしにくい。また出席している人も疲労が蓄積していき、会議の生産性が下がっていく。そうなると、会議で検討される内容の質、検討された内容の浸度合いの両面で、質の低い会議となっていく。

・質の低い会議で企画されたことや、お客さまのニーズ・課題などに対する組織としての質の低い考察結果がお客さまにもたらされることで、最終的にお客さまのためにならない。つまりは、そのような考え方・慣習は従業員のためにならないばかりか、お客さま優先のためにやっているつもりが、お客さまのためにならない結果を生む。

・よって、社内会議をすべて就業時間外に行うというのは、一見するとお客さま優先の活動のように見えるが、長期的にはお客さまのためになっていない活動である。

私自身も、かつて社内会議が24:00から始まったり、休日の日曜日に会社に召集されて会議が行われたりする会社に出入りしていたことがあります。熱血営業会社を謳っていた会社です。しかも、上記とは違って関係者は(さすがに新人などは除外でしたが、一定の役職者以上は)強制参加となっていました。

その結果は、お客さまへの対応の質が下がって営業訪問先でボールペンを投げつけられる社員が出たり、企画した新商品がまったくの空振りになったりするなど、さんさんたるものでした。今では考え方を変えることができたようで、終業時刻後一定の時間がたつとオフィスと社員のPCがシャットダウンするようにしたそうですが。

会社によって、ビジネスモデルも会社を取り巻く事情も異なるため、一概には言えないものです。よって、就業時間以外の社内会議を一切禁止するというのも、個人的にはどうかと思います。また、「働き方改革」は、いつ働くかの自由度を高める趣旨でもあるはずなので、場合によっては平日昼間以外の会議もありかもしれません。ですので、平日昼間以外の時間帯の会議をどのように考えるかは、程度問題ではないかと思います。

そのうえで、Aさんの示唆は本質的な問いかけになると思います。

「その慣習は本当に、長期的にお客さまのためになっていますか?」

組織活動のあり方を見直す問いになるのではないでしょうか。

<まとめ>
そのルールが長期的に目的にかなったものであるのかを振り返る。


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