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信頼関係×場の構築

前回は、「行動変容の難しさを理解する」をテーマにしました。そして、コーチングという場面で、コーチの側も行動変容の難しさを踏まえたうえで相手に関わるということについて考えました。今回も、引き続きコーチングに関連して考えてみます。

「藤本さんはオーラが出ていました」

これは、先日私が参加したコーチング勉強会にて、コーチングの演習で私がクライアントとしてコーチングを受けていた時に言われたことです。

そして、それは場面が限定されたものでした。「○○について話し始めた時に、オーラが出ているように感じた」というフィードバックを、コーチングの最中に受けたわけです。

オーラというものは、アイドルや著名人などに出ていると言われるもので、私自身には無縁の言葉だと思っていましたので、そのようなフィードバックを受けて少々驚いた次第です。これまで、自分にオーラが出ていると他者から言われたことはなかったと思います。

ふと「オーラ」とはどういう言葉だろうと思って、言葉の定義を探してみました。例えば次のように説明されています。

・人体から発散される霊的なエネルギー。転じて、ある人や物が発する、一種独得な霊的な雰囲気。(デジタル大辞泉)

・オーラとは、生体が発散するとされる霊的な放射体、エネルギーを意味する。転じて、ある人物や物体が発する独得な、または霊的な雰囲気や、なんとなく感じる力、威圧感なども指す。なお、オーラという言葉は、「微風」「朝のさわやかな空気」を意味するギリシア語「アウラー」、「風」「香気」「輝き」などを意味するラテン語の「アウラ」に由来する。(ウィキペディア)

これらを参照すると、私がもともと言葉のイメージとして持っていた「選ばれし者だけが発することができる、カリスマ的な何か」を必ずしも指すのではないのかも、と思えます。その人なりの霊的なエネルギーが、その人なりの輝きで発揮される状態だと捉えれば、オーラを発するというのはだれにでも可能なことではないでしょうか。私をコーチングしてくださった方は、そのような意味合いで言っていたのかもしれません。

つまりは、私が「○○について話す場面では、生き生きして見える。逆に言うと、別の話題について話す場面では、そうでもない」というフィードバックだったのでしょう(○○が何なのかは伏せておきます)。○○が、それほど自分が求めていきたいこと、自分の中で大きな存在だという自覚がこれまであまりなかったため、とても核心を突いた貴重な、かつ普段あまり言われたことがない新鮮な気づきを得られたフィードバックだったように、私としては感じています。

上記は、コーチング勉強会で居合わせた方とのコーチング演習で起こった出来事です。継続的にその方からコーチングを受け続けているわけではありません。しかしながら、これまでも別の勉強会などの場で何度もお会いし、コミュニケーションも取っていました。以前から、経験豊富で、言葉も丁寧で、とても信頼のおけそうな人柄という印象をもっていました。

20分少々という短い時間での演習でしたが、とても密度の濃い時間になりました。そのような時間になったのは、その方のコーチング技術によるところが大きいのはもちろんですが、私がその方に対して信頼関係を感じていることが大きな要因だったのではないかと思います。コーチング技術を使った場の構築×信頼関係です。

話題は変わり、先日、別の方から次のようなエピソードを聞きました。

・自身がコーチとなって定期的にコーチングを実施している人がいる。

・先日、(直接は問いかけていないものの、別の問いかけが呼び水となって)その方の抱えている闇の部分の深い話をし始めた。

・その方とは長年の付き合いで、酒を飲むことも多い間柄。しかし、いくら酒を飲んでもその話はこれまでに聞いたことがなかった。

・しかし、しばらく前から正式に「コーチング」という形をとって気づきを得たいという依頼がその方からあり、コーチングセッション中にその話を聞き「そんな一面があったのか」と驚いた。

・これまで酒の場で話を聞いてきたつもりが聞けていなかったんだ、と思ったと同時に、コーチングというかかわり方による可能性の大きさを改めて感じた。

そのような深い話が出てきたということは、何かを変えていきたいということの表れ、そして変えていくうえで克服しないといけない過去の囚われでもあるのだろうと想定されます。そして、これまでどんなに酒が入ってもその話が出てこなかったということは、基本的に他者に話したくない内容なのだろうと推察します。

そのうえで、そのような話さえも出てくる展開になったのは、その方が相手の方と十分なラポール(信頼関係)が築けているからこそではないかと思います。

最近体験した例から2つ挙げてみましたが、

・話す人と聴く人の間の「信頼関係」
・その場をどういう目的の場にするか、それに合った技法(聴き方)などの「場の構築」

のどちらか一方だけではなくて、両方が揃っていたのが、よい展開になっていった背景のポイントではないかと考えます。

ちなみに、「○○について話している時に、オーラを感じます」というフィードバックは、そう言われてとてもうれしく感じる、有効な言葉だと個人的には思いました。(相手によってどこまで有効かは変わってくると思いますが)今後自分も応用して使ってみたいと思います。

<まとめ>
「信頼関係」と「場の構築」の掛け合わせで、普段は話したくない話も引き出されやすくなるかも。

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