前回の投稿では、採用活動では応募者に対し、現場の実態をきちんと伝えるべきだということについて取り上げました。無理して入れても辞めてしまうだけでなく、次の候補者に悪影響を与えるためです。今回もその続きです。
3つ目の理由は、採用した人材が、低い労働生産性で自社にとどまり続けてしまう可能性があるため、です。この視点は、すぐに辞められてしまうことより、ある意味重大とも言えます。
6月30日のプレジデントオンラインで「日本人の「勤め先に期待しない割合」は世界最悪…経産省が「これはヤバい」と顔面蒼白になった衝撃データ」というタイトルの記事が掲載されました。経済産業省内に設置された「未来人材会議」がまとめたものに関する内容です。以下に一部抜粋してみます。
上記のギャラップ社のデータは、いろいろなところで引用されています。個人的には、以前投稿した「日本人社員の熱意のなさはどの程度なの」で考えてみた通り、上記の%を額面通り認識してよいかは、疑問の残るところです。しかしながら、今私たちが身を置く環境に関する課題を表しているのは、間違いないと思われます。
上記を参照すると、自社というバスに乗るべきでない乗客が入ってきたとして、出ていくことなく、エンゲージメントの低い状態で、不満を持ちながら、淡々とバスに居続けることになる可能性も高いわけです。このような場合の生産性が、高いはずがありません。
適切でない人をバスに乗せたことで、適切な人を新たに雇う予算が取れなくなり、低い生産性のままバスを進めていかないといけない。これでは負のサイクルが回るだけです。これから新たに採用する人を、職場の実態を隠してまで無理に引き入れる意味はないと言えると思います。
私たちの考えるべきは、仮に今すぐ頭数を増やせないとしても、今バスに乗っている人材に投資も行って生産性を上げ、適切な人を選んで採用し、人材に関する正のスパイラルを回していくことだと思います。回りきるまでは苦しいですが、安易な頭数確保よりも、そのほうが妥当な視点ではないでしょうか。
上記によると、典型的な日本企業の44歳の部長の年収は、典型的なタイの企業の32歳の部長の年収をすでに下回っているというイメージになります。このあたりも、対応しないといけない課題だと言えそうです。
同記事には、次のような内容もありました。人材投資に関する課題を示唆していると思います。
<まとめ>
自社にとっての適切な人を採用し、人材投資を行い、人材に関する正のスパイラルを回していく。