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利益拡大の動き

6月15日の日経新聞で、「上場企業の純利益率、巣ごもり関連・半導体が上位 前期、コロナ前迫る」という記事が掲載されました。
同記事の一部を抜粋してみます。

~~上場企業の収益性が改善している。2021年3月期の売上高純利益率は4.5%と前の期から1ポイント超改善し、新型コロナウイルスまん延前の19年3月期(4.8%)に迫った。個別企業をランキングすると、上位にはスマートフォン向け需要が旺盛な半導体や巣ごもり関連が目立つ。コロナ禍で経営環境が激変する中、稼ぐ企業の顔ぶれも変わってきた。

コスト削減で高い利益率を確保した企業もある。2位の塩野義製薬は病院に行く人が減りインフルエンザ薬などが低迷し11%減収だが、営業活動のデジタルシフトなどで販管費を削減。純利益率は4割近くに達した。

コロナ影響が和らぐ22年3月期以降は各社が増益を見込む。特に半導体関連業種は足元でも需要が拡大しており好調が続きそうだ。下期にかけてはワクチン接種の拡大で経済の正常化が進む見通し。人の流れの停滞が響く業種はなお不透明な状況にあるが、「前期にコストを大きく削っているため、利益が出やすい体質に変わっている」との声もある。~~

上記は上場企業に関する内容です。非上場企業(多くが中小企業)の実情はまた異なるでしょう。コスト削減で高い利益率を確保した上場企業があれば、取引先の中小企業にそのしわ寄せの影響もあるはずです。その上で、景気の全体感としては上昇基調になっているのが伺えるとも言えます。

上記及び関連情報からは、次のような考察ができると思います。

・20年3月期(19年4月~20年3月)決算企業(金融除く)の売上高純利益率は、19年3月期(18年4月~19年3月)に比べて、減収減益になっていた。19年度終盤(2020年1月以降)でコロナ禍の影響が想定される。しかし、それを割り引いても19年度の通年で前の年度に比べマイナスとなっていたであろうことから、コロナ禍に関係なく2019年の途中に景気は反落していた。

・利益水準がコロナ前に迫るといっても、「増収増益」ではなく「減収増益」である。また、「純利益」であるため、本業以外の利益押し上げ要因も寄与している。減収ながら増益になっていた要因としては、投資を抑制していたであろうこと、借入金の金利支払いを抑えてもらっていたであろうこと、配当を抑制していたであろうこと、助成金等の特別利益もあったであろうこと、などが考えられる。

・(先日のnoteでも取り上げましたが)22年度以降については、企業活動のさらなる伸びが見込まれる。よって、名実ともに景気反転を表す「増収増益」が見込まれる。

https://note.com/fujimotomasao/n/n96483e5d3146

最近も複数回、「財務諸表」をテーマにした研修講師を務めました。経営者・経営層でも、財務諸表が読めない、読み方のポイントを知らない人が多いのを感じます。財務諸表の大まかな読み方のコツをつかむのは、難しくありません。

売上とは何か、経費とは何か、利益とは何か、それがどういう意味を持つのかの本質を共有することなしに、「売上目標」「利益目標」などだけが社員まで降りていく組織を見かけることがあります。しかし、財務に関する情報の基本的な見方もわからないまま、そうした目標に取り組んでも、望む成果は上げにくいと思います。

財務諸表に少し慣れ親しむだけで、経済全体や各社の状況、何より自社の状況の見え方が変わってきます。経理の細かい仕訳ルールなどは、担当業務でなければ覚える必要はありませんが、財務諸表の主な見方は覚えておいて損はないと思います。

<まとめ>
今後各社の利益拡大が予想されている。


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