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組織づくりのためにあらゆることを行う

1月から転職先に入社した知人Aさんがいます。Aさんの選んだ会社は、有力スタートアップとして注目されることもある企業だそうです。先日お話を聞く機会があったのですが、とても示唆的な内容でした。
下記のような印象的なエピソードを聞いた次第です。

・全員完全テレワーク勤務で、評価は成果のみでなされる。仕事をする場所、仕事の進め方、時間の使い方は裁量を持たされていて自由だが、成果が出ない限り自分で責任をもって時間投入してカバーするしかない。

・入社後1か月間は研修のみに集中する。研修では豊富な教材・マニュアルに基づいて、社内講師が教える。オンラインでも参加可能だが、まだ社内事情も分からないため、研修期間中は出社しての受講が推奨される。Aさんは出社ができない環境にあったため在宅で受講したのだが、受講しやすいよう大型モニターが会社から送られてきた。Aさんいわく「新卒は別として、中途入社者に対して1か月間もここまで手厚い研修をする会社は初めてだ」

・その研修終了時、テストが行われる。そのテストに合格しなければ再試験が続き、合格するまで実務の現場に立てない。不合格が続く間どのような処遇になるのかは、怖くてまだ聞いていない。。また、今現場に立っている人も、会社が新商品・サービスを打ち出すたびにテストがある。そのテストに受からないと同様の扱いとなる。「お客さまに説明するものを自分が理解していないのはあり得ない」と、それぐらい自社の商品・サービス理解の取り組みを徹底している。

・その研修内容でAさんが理解できない部分がたくさんあった。自力で考えていても限界があると感じ、同時期に入社した研修中の中途社員(複数人)に教えてもらえないか頼んだ。すると、複数人が深夜に2時間程度何度かにわたってオンラインでつないで協力してくれた。

・週に1回決まった曜日の時間帯で、1時間程度全社員が集まってのオンライン会議を行う。その会議は、どうしても不可避のお客様対応を除き、全員参加を義務としている。社長によるメッセージや会社を取り巻く社内外の環境、主な取り組みの共有、テーマを決めての検討も行う。社員は随時チャット欄でどんどん感想、意見、質問を書き込んでいき、多方向の意思疎通の場にもなっている。

・3か月に1回程度、全社イベントが行われている。これは対面・実地での実施。強制ではないが参加が強く推奨されている。

・上司は部下の業務支援を積極的に行うこととされている。1on1ミーティングを含めたコミュニケーション機会を充実させている。そのうえで、業務の成果は個人が責任をもってマネジメントする。

・社内の情報やりとりはチャットツールで統一されており、Eメールは使わない。組織やプロジェクトごとにスレッドが設定されていて、関連ファイルなどもすべて一元的に格納されている。1日に数百のメッセージやり取りがある。「ちょっとした雑談」なども、やりとりしやすいスレッドがある。

・社員の出入りは一定割合ある。そのうえで、在籍している社員は基本的に意欲の高い社員ばかり。Aさんのマネージャーは前職から年収が何割かダウンしながらも、組織への共鳴と可能性に魅せられて転職してきた人らしい。

・・・など

この話を聞いて、「一体感がないなど嘆くのは、ここまでやってから言うべきなのかも」というのが率直な感想でした。目的を共有する、十分な意思疎通をする、共に働く意識を高める。組織に不可欠な要諦が見事なまでに網羅されていると思います。

そして、そうした状態が偶発的な人に依存(今組織にいる人がたまたまいい人だからうまくいく)しているのではなく、必然的に起こるよう仕組み化されています。採用にもこだわっていて、Aさんが入社する際も上記についてよく説明を受け、会社のカルチャーやポリシーに同意を求められたそうです。だからこそ、深夜に長時間教え合うことも快くやろうとする社員が多いのでしょう。

オンラインでは意識合わせが難しい、育成が難しい、部下の業務把握に限界がある・・・確かに実地・対面とマネジメントが同条件にはいきません。しかし、特別なことではない、世間で既に言われているやり方を自社流に組み合わせて取り入れて徹底するだけでも、景色がだいぶん変わってくるのではないかと、同社の例を聞いて改めて感じました。

重要な場面では全員参加とする、必要性に応じてやはり実地・対面を的確に使う視点は、重要だと言えます。前回の投稿では、自社で仕事をする意味の明確化やメンタルヘルス問題への対応が、今年の人事の主要テーマになるのではないかということを取り上げました。これらのことへの対応を考える1つのヒントにもなっていると思います。

そして、信賞必罰の視点です。組織として十分な機会は提供しながらも、あくまでも貢献した成果の大きさを物差しとし、適切な人を新たにバスに乗せていく一方で、自他ともに適切でなくなったと判断するならバスを降りる新陳代謝も重要なのだと思います。

<まとめ>
オンラインオフライン問わず、組織力を高めるためにできることはいろいろある。


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