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「営業サポート」をやめた理由

先日、ある経営者様から興味深いお話をお聞きしました。同社様では、営業活動や営業主担当者を実務面で補佐する職種を「営業サポート」として募集し雇用していました。人材募集広告にも「営業サポート」として掲載していました。それをやめて、ネーミングを「カスタマーサポート」にしたというお話です。

営業サポートとして入社した人材と会社(営業サポート以外の社員)との間で、以下のような行き違いが起こっていたと聞きます。その結果、入社後しばらくして退職するということが続いていたそうです。

<本人>
・社内の営業主担当者をサポートする役割だと思って入社した。しかし、実際には、社外のお客さまと直接やりとりする業務が多くて、想定と違った。

・事務作業が業務の中心だと認識していた。しかし、実際は社外のお客さまとのコミュニケーションや訪問などの業務内容も多く、想定と違った。

・定時に帰れるイメージだった。もちろん、日によっては定時を超えて仕事をすることもあると聞いていてその認識だったが、お客さまのご依頼にお答えしようとして定時に帰れない日のほうが多い。イメージと違った。

・これらのこともあって、自分としては希望する業務内容や条件でもなく自分の得意領域も活かせないと思うので、勤続を希望しない。

<会社(営業サポート以外の社員)>
・自社の営業サポートは、営業担当社員のサポート業務もさることながら、お客さまへの対応業務の一部も担うことを前提としている。採用プロセスの中でも、そのことは伝えていたはず。

・しかし、営業サポートとして入社したこれまでの人の傾向として、社外のお客さまとのやり取りに対して概して後ろ向き、しり込みする人が多い。仕事を依頼しにくいし、お願いできる業務に広がりが出ないため、想定した人員強化の採用になっていない。

・そもそも営業活動というのは、お客さまがいて成り立っているものである。社外の人とまったくやり取りしないですむ営業サポート機能など、ありえないはず。営業サポート職として入社する以上、ある程度社外の人とやり取りする業務を担当するのは、一般的な感覚からしても当然ではないか。

今回、人材紹介会社の勧めもあって「営業サポート」ではなく「カスタマーサポート」という職種名で採用することにしたそうです。すると、イメージ(営業に対するマインドなど)に近い人材が応募するようになったそうです。そのうち1人を採用し、後日着任するそうですが、今回はマッチングに対してこれまで以上に手ごたえを感じているとのことです。

同経営者様は「職種名のネーミングひとつで、こんなに違いがあるとは思わなかった。カスタマーサポートとしたことで、明らかに社外の人に対しても積極的に関与する業務を担うイメージを持った人が集まっている」と話しています。

以前別の企業様では、時間単位で働く従業員の呼称を「パート」から「アルバイト」に変えたところ、やはりイメージに近い人材が集まりやすくなったと聞いたことがあります。

「パート」だと、どうしても女性に限定されたイメージで、腰かけ的な感覚のように映り、そうした人が中心に集まってくる結果になっていたと言います。「アルバイト」のほうが、性別関係ないイメージで、将来的に正社員化も視野に入れているような人が集まりやすくなったそうです。その企業様としては後者のような人を求めていたため、「アルバイト」のほうがネーミングとして適していたというわけです。

やっていること・期待する役割自体は同じなのですが、ネーミングが変わるだけで、それに関わる人に与える印象・メッセージがずいぶん違ってくるという事例でした。たかが呼び方、されど呼び方ということで、こだわってみてもよいと思います。

<まとめ>
ネーミングひとつで、それを見る人が受ける印象が変わる。 


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