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地元のスーパーで買い物、カフーリゾートホテルで夕食を。【4月沖縄旅行物語】Vol.5

「ここだね、どんな部屋かな。」
里央はホテルの部屋の入り口に立ってドアを手前に開けた。
「うわー!すごいー!広いー!ゴージャスー!」


予定をしたのは1月。付き合って2年以上経った二人は未だ本州から出たことがない。
その事実に気づいてしまった里央は、隆に有給休暇の取得をねだった。
「沖縄に行きたいの。」

行ったことがない沖縄、何がどこにあるのかもわからないのは不安だが、
それこそがこの二人の関係に刺激を与え続けてくれている。
「よし。いこう。」

隆は次の日には有給休暇の申請をして、二人分のフライトを確保した。
4月上旬の金曜日、二泊三日の1日目は美ら海水族館へ行き、ホテルへ向かう途中、地元のスーパーでの買い出しをすることにした。
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「今日の夕飯はルームサービスが良い。お部屋でゆっくり食べたいの。」
里央は家でもそうだが、疲れている時に外食を嫌がる。
「じゃあ地元のスーパーでお酒とつまみを何か買っておこう。」
美ら海水族館のある海洋博公園からホテルへと向かう道すがら、ちょうどよいスーパーを見つけた。

ザ・ビッグエクスプレスもとぶ店
隆は旅先でスーパーに立ち寄るのが大好きだ。
きっと見たこともない食品が売られているに違いない。

「ここでお土産も買えたらいいと思うんだよね。」
里央は友達や家族へのお土産をこのスーパーで買おうと思っているようだ。
この考え方には、隆も共感するところがある。

旅先のスーパーほどお得に現地の特産品、名産品を買える場所はない。
しかも意外と品揃えは豊富だったりする。
そんなことを話しながら入り口から店内に入ると

すぐに土産物コーナーがあって、山のように商品が積まれていた。
「あ、早速あった!しかもかなり充実してるじゃない。」

里央は嬉しそうにあれこれ物色をし始めた。
少し見てみると、ちんすこうが6個入り120円(税抜)で売っている。
黒糖やソーキそばといった沖縄土産として名前が上がる食品は、ほとんど売っている。しかも安い。スーパーの価格だ。

ちょっと目を離した隙に、既に買い物カゴが2ついっぱいになっていた。
(う、さすがだ。)
「ちょっと隆、これとこれ、どっちがいいかなぁ?」

そんなこんなで30分以上は土産物を選んだであろう。
カートにカゴを載せて、ホテルで飲むためのお酒を調達する。
やはりここはオリオンビールだろう。

「こんなのもあるよ〜!シークァーサーのお酒だって。美味しそう。これも買おう。」
沖縄にしか売っていない限定のチューハイだった。
ここでしか買えないものがたくさんある。素晴らしい。

飲料をひとしきり見繕った後、今度は食材コーナーへと向かった。
鮮魚コーナーには現地で採れた新鮮な魚介が並ぶ。
近海で獲れたまぐろの刺身を1パック購入して先付けにすることにした。

他に、もずく酢を買い物カゴに入れ、どんどん奥へと進んでいく。
そして惣菜コーナーに差し掛かった時、見慣れないものがそこに並んでいるのを見つけた。

「なんだ、これ。グルクン・・・の唐揚げ?見たことないものが売っている!」


赤い色をした魚が唐揚げになって売られている。
しかも安い。1尾97円(税抜)だ。
こういうの待っていた。こういう出会いを待っていた!

迷わず1尾をビニール袋に入れて買い物カゴへ入れた。
あとで食べてみるのが楽しみで仕方ない。

その他に、乳製品コーナーで見慣れない乳酸菌飲料を目にする。
森永ヨーゴ
沖縄限定と書いてある。なんだ、これは!ヤクルトのようなものなのか!?
未知の食品、飲料との邂逅。しかも美味しそう。まさに旅の醍醐味。

結局その他も含め3カゴ分も買い込んで、二人は車へと戻った。
その時、向こうから歩いてくるカップルの男性が声をかけてきた。
「あれ、里央?里央じゃない?懐かしいな!」

なんだ、このドラマみたいな展開。
隆は相手に軽く会釈してみせた。
どうやら二人は高校時代の同級生だったらしい。本当に奇遇だ。
数年ぶりの再開が沖縄だなんて奇跡としか言いようがない。

これで二人が元カップルだったりしたら本当にドラマみたいだが、
里央に聞くと、そういうことでは全くないそうだ。
まぁ、そうだよね。相手も旅行で来ていたそうだ。
良い旅を。

「よし、買い物も終わったし!ホテルに向かうぞ!」

夕暮れの沖縄の道はほどよく混んでいて、所々で信号待ちになるので、
景色を見る余裕もあり、暮れなずむ沖縄の夕陽の余韻を感じながらのドライブとなった。

ホテルは恩納村というエリアにあるリゾートホテルだ。
美ら海水族館のあたりから、だいたい1時間くらいだろうか。
ホテルに着く頃には夜の帳が降りていた。

カフーリゾートホテル

隆は直前まで仕事をしていたので、ほとんどホテル情報を見ていない。
覚えにくい名前のホテルだと言うことくらいの認識しか持っていなかった。

車を正面入り口に横付けする。ポーターさんが駆け寄って来て荷物を手際よく車から下ろしていく。動作がキビキビしている。しかも丁寧だ。
(これは良いホテルかもしれない。)

車は駐車場に自分で停めるスタイルだ。
里央にチェックインの手続きを任せて、隆は駐車場に車を停めに行った。
戻ってくると、里央はまだ説明を聞いていた。
傍にスーパーの買い物袋がカートに積まれているのが面白かった。

ホテルのロビーは高い天井で、所々に芸術的な装飾品が飾られており、なかなかに優雅だ。
そして花がたくさん飾られていた。あたりを見回しているうちに、チェックインの手続きが完了してポーターさんが部屋まで案内してくれた。

部屋は3階だった。
隆はあまり低階層に泊まったことがない。
ホテルといえば高い階の方が良い部屋があると思っている。

まぁ、今回は里央が見つけてきた激安プランだったし、
3階か、そんなには期待しないでおこう。


しかしその考えは浅はかだったと、後に気づくことになる。

「ここだね、どんな部屋かな。」
里央はホテルの部屋の入り口に立ってドアを手前に開けた。

「うわー!すごいー!広いー!ゴージャスー!」

スィートだ。
しかも自宅とほぼ同じかそれ以上に広い1LDKに相当する広さ。
60平米以上はあろうその部屋は、玄関ですら広い。

「なんじゃこりゃ!広すぎ!」

寝室が分かれており、ベットがリビングにも2つ置いてある。
そのためベットは全部で4つある。
バスルームとトイレ、洗面所はすべて別。
テーブルと椅子、ソファとローテーブル。キッチンも完備されている。
二人で泊まるには十分すぎる広さだ。

そして何より最大の特徴はバルコニーだ。
12畳程度はあろうか。広大なバルコニーが部屋の外に広がっていた。
バルコニーには椅子2脚とサマーベット2台ずつ置かれていた。

3階だからこそのバルコニーの広さだった。
4階より上の階のバルコニーとは比較にならない。
デッキウッド調のバルコニーは、月に照らされて
最高のベランダタイムを過ごさせてくれることを約束してくれていた。

部屋が3階だったことに少しがっかりしていた隆は、
数分前の自分を戒めなければならない。

隆は前日の夜中まで仕事していた上に、早朝から動きっぱなしで
おまけに車の運転を長時間していたので疲労がピークに達していたが、
部屋の広さに覚醒した。

「すごい部屋じゃないか。さすがだな里央。あの値段でよくこんなところ見つけたな。」
「すごいでしょ!たまたま見つけたんだよ。オフシーズンだしね。」
4月の沖縄旅行はコストパフォーマンスが最高だ。素晴らしい。

「あとね、ここのホテル、ルームサービスで色々と借りられるみたいなんだよ。」
里央はそういって、貸出可能な家電などのカタログを見始めた。
長期間滞在する人向けなのか、炊飯器などもカタログには記載があった。

「アロマデフューザーと、空気清浄機借りよっと。あとは何かある?」
「オーブントースターがあるね。これ借りてもらえない?グルクンの唐揚げを焼いて温めたいんだ。」

「おっけー。料理も頼んじゃおうよ!もうお腹減っちゃったよ。」
「賛成。俺も腹ペコだ。でもちょっと待った。とりあえず、乾杯しないか。」
「いいね!」
スーパーで買ってきたオリオンビールで乾杯。

カフーリゾートのルームサービスはメニューが充実していて、
沖縄料理もあれば、洋風、和風、中華と数日いても楽しめそうだ。
二人は、シュリンプサラダ、ゴーヤチャンプルー、ソーキの炙り焼き、ラフテーチャーハンを頼んだ。

買ってきた刺身はすぐに開けて食べた。
オーブンが到着次第、グルクンの唐揚げを部屋のオーブンで焼いて温めて食べる。
これで完璧だ。

ピンポーン

まずはレンタル家電が届いた。
空気清浄機、アロマデフューザー、オーブントースター。
スタッフの人が台車に乗せて持ってくる。

部屋でそれらを設置していると、今度は料理が届いた。
一皿一皿が大きい。

「あれ、大きいな。こんなに食べきれるかな。」
「ほんとだ、これ、結構頼んじゃったみたいだね。」
一皿が3〜4人分の量だった。

シュリンプサラダとソーキの炙り焼きはなんとかなりそうだ。
だが、ゴーヤチャンプルーとラフテーチャーハン、これは食べきれるかどうか。
しかし、どちらも食べたくて頼んだのは隆だ。

妙な闘志が湧き上がる。
やってやろうじゃないか。
今夜も隆のフードファイトが幕をあける。
グルクンの唐揚げをオーブンにセットして試合開始だ。

二人は今日あった出来事を話しながら楽しい夕飯を過ごした。
昨夜からほとんど寝ないでタクシーに乗って駅まで行き、
始発の電車に乗り、飛行機に飛び乗って沖縄へ。

バスに乗ってレンタカーを借りに行き、次はレンタカーで美ら海水族館へ。
長い長い移動の旅だった。

グルクンの唐揚げは、身が淡白な味だった。
白身の少しパサついた身だったので、醤油につけたりして食べてみたりした。
唐揚げなだけに、ビールにはよくあう。
きっと沖縄の人たちもグルクンの唐揚げを酒のつまみにしているにちがいない。

どの料理も美味しかった。シュリンプサラダはエビも野菜も新鮮だった。
ソーキは肉が柔らかくてジューシーだった。
ゴーヤチャンプルーは言うに及ばず、あっさりとした味付けで野菜の旨味を引き出している。
チャーハンはラフテーが入っており、香ばしい。

買ってきたオリオンビールは二人で6本飲んでしまった。
料理もあらかた食べきって、隆はもう満腹で何も食べられない。

お腹がいっぱいになればもう、二人とも眠気をこらえられなくて、
食後にテレビを見ながら結局ソファーで眠ってしまった。
数時間後、中途半端な時間に目を覚ました隆は里央を叩き起こしてかろうじてシャワーだけは浴びて、ベットに潜り込んだ。

程よい硬さのベットに体を沈めて、乾燥したシーツの感触と、
贅沢にも二つ重ねた枕に顔を埋めた。心地よい疲労感が全身を覆う。
すぐに意識を失い、その日は夢を見ることもなかった。

楽しい時間はすぐに過ぎ去っていく。
1日目の沖縄は夢のようにあっという間に終わった。

次の日の朝、目覚まし時計の音で目覚めた隆は寝ぼけ眼でリビングをみて、
爆撃機が通った後のようなテーブルを目の当たりにした。

飲み散らかした空き缶を片付けるところから二日目はスタートする。
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ザ・ビッグエクスプレスもとぶ店
http://www.aeon-ryukyu.jp/store/thebig/motobu/

オリオンビール
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アサヒ南国チューハイパインとシークァーサーhttp://www.asahibeer.co.jp/products/sour/nangokuchuhi/

カフー リゾート フチャク コンド・ホテル
http://www.kafuu-okinawa.jp/

カフー リゾート フチャク ホテル ルームサービスのメニュー
https://www.kafuu-okinawa.jp/stay/roomservice.php


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