パーソナルトレーナー藤井自伝23

昼と夜の週7勤18時間労働生活

夜の仕事に慣れた頃、たこ焼き屋の売上も少しずつ順調になってきた。
というのも僕の大学の同級生である新メンバーが加入し、営業が一新されたからである。

具体的には経費の削減、主にたこ焼き1パックあたりの原価が大幅に下がった。
といっても元々がアホみたいな原価で営業していたため、適正価格に戻したといった感じだ。

その他売り方も変え、元々たこ焼き以外にもドリンクでジュースや生ビール、テキーラなどもメニューにあったが、工夫をすることでドリンクオーダーも増え、客単価も増え、売上も上がったのである。
週末、商店街に来る人の数が多すぎて捌ききれないために逃していた機会損失も上手く回せるようになり、実に順調だ。

そして夜の仕事だ。
女の子の名前なども覚え一通り動けるようになったが、売上を上げるためのシャンパンオーダーはまだ上手くできていない。
店長の他にボーイが自分を含め2人いるのだが、やはり大事な場面では慣れている先輩アルバイトがシャンパンを勧めに入ることが多い。
そのため中々機会が少なくなってしまうのである。

なので自分から攻めていかないとオーダーをとることはできないのだ。
ある日仲の良い新人の女の子に場内指名が入った。
男性なら魅力的だな、と思えるような子でその気にさせるのも上手い。
これはチャンスとすかさず指名を入れたお客さんの背後から近づき、ダウンサービスで片膝を付き、耳元でオーダーに入る

「〇〇ちゃん、ご指名ありがとうございます、可愛いですよね」

「新人の子で場内指名は入るんですけど、実はシャンパンがまだでして」

「せっかくの記念すべき今日、良かったら初めてのシャンパンで乾杯いかがですか?」

15000円のモエ・シャンドンの白がおりた。
初めてのシャンパンである。
嘘も方便とはいうが、初めての1本はどうにも響くようである。

シャンパンのおろし方を理解し、日々数本のシャンパンをおろすようになった。
そのおかげもあり、1日の給料が1.8倍くらいに跳ね上がったのである。

続く

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