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文章を見ればわかるのに聞き取れない


「読む・書く」が得意なのにリスニングが苦手な子の分析をしました。
 
単語や文法は理解しているのにリスニングが苦手というA君。
彼の場合、「音声知覚」が鍛えられていないと評価しました。
 

■リスニングが苦手な原因■
 
リスニングが苦手な可能性として、以下の2つがあります。
 
①    単語の発音がわからない
②    発音は理解しているがネイティブの話す英語が聞き取れない

 
A君の場合は、一人で文章を読み上げないので発音を理解していないところと、ネイティブの実際の発音と彼が想定している発音に差があるので聞き取れない、つまり上記①&②の両方にかかる課題があるようです。
 
①    に対しての解決策
A君は、今まで声に出して文章を読む習慣がありませんでした。
彼とは、彼の志望校の受験問題の文章を教材に、一緒に発声練習をし、単語と発音の知識を繋げていきます
(例:cut 「カット」ではなく「カッ」)
 

②    に対しての解決策
外国映画を見ている時のことを思い出して下さい。こんな経験はありませんか?
知らない単語だと思ったのに、実は知っている単語だった」
聞くだけならわからないけど、文章を見ればわかる
それには、以下のような原因があります。
 
単語同士を繋げて発音されていて、知らない単語に聞こえていた
発音されると思っていた音が聞こえない
(発音されない・弱く発音される)
 
これは、ネイティブの話す英語が速すぎて理解できないわけではなく、彼らの発音の法則を私たちが習っていないことが原因です。
そこをクリアするための法則があるので、よく使う単語を重点的にその法則を掴んでもらいます。
 
 
 
■ ネイティブ音を聞けるようになるためのトレーニング■
 
ここからは、リスニングの課題を乗り越えるための練習方法です。
 
1)    声に出して読む
発音知識のインプットが目的。
アクセントや音に集中して1単語ずつ発声したり、一緒に手拍子をしながら英語で読み上げリズムを掴みます。
 
2)    ディクテーション
どこが聞き取れないかを明確にすることが目的。

リスニングから聞き取った英語を紙に書き出し、どこが書けなかったかを分析します。
文字で見れば理解できるけれど、書き取れなかったところが課題箇所です。
 
3)    オーバーラッピング
ネイティブの発音を聞き取れるようになるためのトレーニングが目的。

リスニング教材に合わせて、読み上げられる文章を文字で見ながら、ピッタリと声を重ねて読みます。
2つの単語が1つの単語のように発音されたり(例:meet you → ミーチュー)、発音がされない単語(例:mountain → マウンン)など、耳から聞こえる音と、頭にある知識の距離を縮めていきます。
 
4)    シャドーイング
自分で音を再現できるようになることが目的。

音声を聴きながら、1~2語遅れで発音します。発音や間、抑揚を正確に再現する練習することで、ネイティブの会話に耳と口から慣れていきます。
 
 
■ ネイティブが話す内容の理解度を上げるトレーニング■
 
ネイティブの発声音をある程度聞き取れるようになったら、次はその意味の理解を進める練習です。
 
文章を最初から最後まで、聞こえてくる順番通りに訳しているうちに、訳がわからなくなってしまった経験はありませんか?
 
英語は、「内容のカタマリ」がいくつか集まって、文章が構成されています。
そのカタマリの出てくる順番が日本語とは違うので、聞こえる通りに理解していくのが難しいように感じる人は多いです。
 
この課題をクリアするためには、文章の内容の1カタマリごとに、次にどのような意味の文章がくるかを想像しながら発声するトレーニングが有効です。
 
✨中学2年生の教科書から例を出しますと・・・↓
You can enjoy this food at food stands in the Netherlands.
 
これを内容のカタマリに分けると↓
 
You can enjoy this food/
あなたはこの食べ物を楽しめる
 
at food stands/
屋台にて
 
In the Netherland/
オランダにある
 
 
これを最初から日本語に訳すと
 
「あなたはこの食べ物を楽しめる屋台にてオランダの。」
となり、文章が長くなったり複雑になるにつれて、頭がこんがらがっていきます
 
 
この文章を聞くときには、頭の中では以下のように考えながら、カタマリで区切って発声してみましょう。
 
You can enjoy this food
ふむふむ、この食べ物を楽しめるって言ってるな。どこで楽しむんだろう?

At food stands
ああ、屋台なんだな。どこの屋台なのかしら?

In the Netherland.
ああ、オランダの話だったのね。
 

ネイティブの話を聞きながら次を想像するこのトレーニングを積むと、ネイティブが話した順番通りに理解していくことができるようになり、頭がこんがらがるのを防げます
 
1カタマリで理解する癖をつけることができれば格段に楽になりますYO✨
Yey‼️
 
 
A君の話に戻りますと、彼の受験では英語のリスニングがありません。
そのため、彼の貴重な時間をどれくらいリスニングに割くかという話になると、そんなに長時間は当てられない、という結論に至ります。
ただ、彼の将来の武器としての英語力を磨くのが、本当は何より重要なはずです。
そして、彼が英検を受験する予定があることを考えると、リスニング力は可能な限り鍛えたいところです。
 
そこは、Aくんと相談しながら、彼にとって一番良いと二人が思う方向で、二人三脚での学びの道を進んでいきたいと思います。
 


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