思考を現実化させるのは、言葉である ~「書く仕事がしたい」を読んで~
昨年の夏が終わる頃、将来どうしたい?などと、いい歳をした大人でありながら、小学校の先生が授業で児童に語りかけるように、そんな言葉が自分の中を駆け巡った。
2013年改定の「高年齢者雇用安定法」により2025年4月から定年制を採用しているすべての企業において65歳定年制が義務となっているけれど、それにしても、もう時間の問題である。年金は当てに出来ないし、組織に属して安穏と暮らしている場合じゃないよと自分の中の「中の人」の叫びが聞こえてきたような気がしたのだ。
小学生の頃、自分の夢はなんだったのだろうか?
12月に入り、ツイッターでライターという仕事があるのだということを知った。記事を書く仕事は記者経験者がフリーになって書くものだという固定観念があったため、ライターという仕事は極限られた人がやっているものだと思い込んでいたのだ。
今後、自分は何をして生きていくのか、この年齢から将来何かで切り開いていくことができるのか?思案を重ね出した結論は、フリーでライターという仕事をしてみたいだった。
何でもやってみたいと思ったらすぐ行動したい性分に駆られる自分だけれど、何から手を付けていったら良いかわからない。いろいろ調べていくうちに、ついに人気ライターである佐藤友美さん著「書く仕事がしたい」という、この本に出会ったのだ。
「書く」ことは好きである。でも「書く」ということで記者や作家になる以外で仕事に出来ると思っていなかった自分にとっては、魅力的な本だった。
ページを開いて、目に飛び込んで来た言葉「この本は、文章術の本ではありません。」。そうそう、これこれ、これが知りたい。この言葉に触れた瞬間を誰かが見ていたら、きっと、目がキラキラしていたに違いない。夢を心の中に溢れさせている小学生の気持ちに戻ったような錯覚に捕らわれた自分がそこにいた。
著者は「書く仕事で生きていくのに最も重要なのは、文章力ではありません。文章が上手いことと、書いて生きていけることは、イコールではないのです。」という。
これも衝撃的だった。
自分はそう思っていたけれど、たぶん、ほとんどの一般人はそう思っているのではないかと思う。だって、巷には「文章術」を講座にしているスクールが溢れているし、少なくとも誰からも認められる文章力がなければ仕事に出来ないと思っていたから。「文章力は最低限あればなんとかなる。」という言葉に勇気づけられながら読み進めることができ、最後まで一気に読了した。
著者は、思考はふわふわして捕まえどころがないもので、言葉にすることで目に見えるようになると言っている。
書くことを仕事にする。
「思考を現実化させるのが言葉である」
この本を読んで、本当に「書く仕事がしたい」と思えるようになり、私は現在、ライターである江角悠子さんの京都ライター塾で受講を始めた。近い将来ライターデビュー出来ることを思い描いている。
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