紅蓮の炎、群青の月 第五話
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「でかした」
雉子牟田の報告を聞いて、桃太郎は満足げに微笑んだ。
「苦労しました。土御門や倉橋には伝わっておらず、野に潜んでおるとは」
「鏡もそこにあるのか」
「そこまではなかなか。鏡自体が姿を消したのが桃太郎さまと同時、つい先だってのことですので。しかし、安倍家代々に伝わるという珠がございます。おそらくはそれが手掛かりになるかと」
「行くぞ。鏡の行方はいかようにもなる。安倍が知らずとも、頼光一味が血眼になって探すだろう。目の前でさらうか、奪い取ればよいのだ。それま