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【料理の旅人 再現中華8】 孔府豆腐 kong fu dou fu / 孔子の里の豆腐料理

【料理の旅人ー再現中華ー】
2023年3月、既に風天を閉め、会社の清算、廃業申請の認可待ち。
帰国寸前に20年間に及んだ中国との関わり、生活の集大成。
ネガティブな問題の蓄積、結果として離れる中国だが、無駄にせずポジティブな経験とすべく、ギリギリまで中国旅をして郷土中華料理に親しみ、中国の素材を使った料理、日頃距離を置いた( 日本食を扱う仕事の為 )中華の技法を独自に学ぼうと試みた。
仕事と違う側面。日本人料理人による、中華への取り組みを記事にする。
日本人的なアレンジは多少あるが、食べて舌から学んだ料理を再現したもの。
旅の料理人としてのアーカイブ。

再現中華ー寄稿に際してのコメント

2023年3月に、常州から約600kmをドライブに出て、
世界遺産、曲阜の三孔 …孔子廟、孔府(子孫一族の住む屋敷)、孔林(一族の墓群)を訪れる旅をした。旅については別に記事を書く予定だが、この地で食した料理の一つを再現してみたので紹介しよう。




孔府の燻し豆腐

孔家に代々豆腐を納めていた農家の豆腐屋に、韓という姓の兄弟がいた。
ある天気の悪い日に豆腐が売れ残り、彼らは無駄にしないために豆腐を小さく切り分けて、高粱コーリャン ( 白酒の主原料となる穀物 )の藁でできた簾に広げて乾かしていた。
想像できないことに、天気も悪いのにその簾にどこからか火がつき、煙を上げて燃え広がった。燻され続けた豆腐は、あるものは黒く焦げに包まれ、あるものは黄色くなっている。韓兄弟の弟は、それでもその豆腐が捨てがたく、塩を入れた水で茹でて食べてみた。
そして、尋常で無い味に驚き、それを孔府に持ち込み” 衍聖公イェンシュンゴン yan sheng gong " ( 宋代から封じられ始めた国の教育部門トップの称号 )にも味見をして貰ったところ、その味が評価され、その後この燻し豆腐を納めるようになる。

清の第六代皇帝 " 乾隆チェンロン qian long " が孔府を訪れた際に、宴の料理の一つとして供された。これを食した皇帝からも賛辞を受け、韓弟は表彰を受けたという。


嫩豆腐ヌンドウフ nen dou fu

中国には大きく分けて2種の豆腐がある。

老豆腐 lao dou fu ラオドウフ " = 木綿豆腐。
北方系、豆乳をニガリで固めた、食感ある豆腐、菜場では作られて水漬けになっているものを量り売りで買える。
 
" 绢豆腐 Juan dou fu ジェンドウフ " = 絹ごし豆腐。
南方系、豆乳を石膏で固めていて、柔らかな食感。壊れやすいからだと思うが、同じ売り場でもこれはパック充填型の工場製品のみ。水や空気の隙間は無い。

小ネタだが、パック入りの卵豆腐もある。これは、” 日本豆腐リーベンドウフ と呼ばれている。なんか面白い。

▲  そして割と新しいタイプの " 嫩豆腐ヌンドウフ "。
絹のような滑らかな表面と、木綿のようなしっかりとした強度がある。
丁度中間的な豆腐だ。普通に老豆腐と並んで水に浸かって売られている。

これは夕方。切り分けて、一晩風干しにする。。。


豆腐を燻す。

曲阜で食したのは燻しがしっかりしてたが、
現代的に少し軽めに仕上げた。


孔府豆腐

油を熱し、生姜と鷹の爪で玉ねぎと椎茸を炒めた。
昆布は、別件で使った出汁ガラを刻んで、燻し豆腐を加えて崩さないようにチャンプルして出来上がり。


見本の料理

▼  こちらが3月の旅路で食した孔府豆腐コンフドウフ。今回の先生。

                                 以上


 

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