【料理の旅人 再現中華8】 孔府豆腐 kong fu dou fu / 孔子の里の豆腐料理
2023年3月に、常州から約600kmをドライブに出て、
世界遺産、曲阜の三孔 …孔子廟、孔府(子孫一族の住む屋敷)、孔林(一族の墓群)を訪れる旅をした。旅については別に記事を書く予定だが、この地で食した料理の一つを再現してみたので紹介しよう。
孔府の燻し豆腐
孔家に代々豆腐を納めていた農家の豆腐屋に、韓という姓の兄弟がいた。
ある天気の悪い日に豆腐が売れ残り、彼らは無駄にしないために豆腐を小さく切り分けて、高粱 ( 白酒の主原料となる穀物 )の藁でできた簾に広げて乾かしていた。
想像できないことに、天気も悪いのにその簾にどこからか火がつき、煙を上げて燃え広がった。燻され続けた豆腐は、あるものは黒く焦げに包まれ、あるものは黄色くなっている。韓兄弟の弟は、それでもその豆腐が捨てがたく、塩を入れた水で茹でて食べてみた。
そして、尋常で無い味に驚き、それを孔府に持ち込み” 衍聖公 yan sheng gong " ( 宋代から封じられ始めた国の教育部門トップの称号 )にも味見をして貰ったところ、その味が評価され、その後この燻し豆腐を納めるようになる。
清の第六代皇帝 " 乾隆 qian long " が孔府を訪れた際に、宴の料理の一つとして供された。これを食した皇帝からも賛辞を受け、韓弟は表彰を受けたという。
嫩豆腐 nen dou fu
中国には大きく分けて2種の豆腐がある。
” 老豆腐 lao dou fu ラオドウフ " = 木綿豆腐。
北方系、豆乳をニガリで固めた、食感ある豆腐、菜場では作られて水漬けになっているものを量り売りで買える。
" 绢豆腐 Juan dou fu ジェンドウフ " = 絹ごし豆腐。
南方系、豆乳を石膏で固めていて、柔らかな食感。壊れやすいからだと思うが、同じ売り場でもこれはパック充填型の工場製品のみ。水や空気の隙間は無い。
小ネタだが、パック入りの卵豆腐もある。これは、” 日本豆腐 と呼ばれている。なんか面白い。
▲ そして割と新しいタイプの " 嫩豆腐 "。
絹のような滑らかな表面と、木綿のようなしっかりとした強度がある。
丁度中間的な豆腐だ。普通に老豆腐と並んで水に浸かって売られている。
これは夕方。切り分けて、一晩風干しにする。。。
豆腐を燻す。
孔府豆腐
油を熱し、生姜と鷹の爪で玉ねぎと椎茸を炒めた。
昆布は、別件で使った出汁ガラを刻んで、燻し豆腐を加えて崩さないようにチャンプルして出来上がり。
見本の料理
▼ こちらが3月の旅路で食した孔府豆腐。今回の先生。
以上