アブニールを探して
新しい風が吹く。豊かな風が20分だけ吹いている。あなたは、なにをかんがえているのだろうか?私は、きっと悪夢のさめた朝で、何かを変えようと、もがいている。どうしたものだろう。朝布団の中で、感じた悲しみは、どこまで行っても、悲しささえなかった。いや、悲しさがなく、人々の怒りめいたものさえ、感じたのだ。いったい、この20分の間にどれだけのことができるだろうか。私さえ、この身になにを置くべきだろうか、と悩む。人々は死者を見送りはしない。私の言葉で、形作るべし。すべてのことは、私自身の言葉で、形作らなければならない。私は、今日筋トレのサービスの入会して、すぐに筋トレを始めた。どれだけのことができるだろう。どれだけの身をたかめることができるだろう。夏目漱石のこころを思い出す。向上心のないものは、馬鹿だ。夏目漱石は、その台詞に対して、どう答えたのだろう。私は、いつもゆれている。人々の確信の間だでゆらゆらと動いている。そう。私は、私でしかありえない。私は、私の経験したことにちょっとスパイスをかけるだけなのだ。それだけしかありえない。人々はなにも特殊なことをしているわけではない。人々はありふれたことをある程度特殊に行っているだけだ。こうかんがえると、私の中で描写というものは、やや軽くなるのだろう。さあ、ひとりの人間が向こうから迫ってきたぞ。なにをどう感じるのか?なにをどうかんがえるのか?私自身が問われている。大きな問題がむこうから、迫ってくるのだ。やや、小さな石のようなつぶてから、すべての物語を洗い流す大河がうまれくるものだから。彼はなおも、歩き続ける。彼の人生は、やはりおわりのないひとつの物語なのだ。手をすこし求めるならば、人々は、その手をふりほどくことはない。4分早い。この時計は進んでいたのだ。私はそのことに気づいた。スタッフっぽい人は掃除をし続けている。私は文章作成機で(いかにも、わけのわからない機械でありつつも、なお、たいしたものであり、その機能を存分に表しているものだな)記述をし続ける。10時からすこし時間が、遅くなりつつある。私の中の実時間は進みつつある。ヨーガの秘宝を手に入れたいか?私を大きな声が導いていく。ここから始まるのだ。物語は、ここから始まるのだ。アヴィニールを探してというほんの題名をおぼえている。なぜか、わからないが、理由もわからずアヴィニールというものを探している本だったように思う。(そのまますぎる)ただ、そのくらいの記憶しかないものの、表紙に書かれた女の子がかわいかったのを覚えている。
どこまで行っても、空白はまだないのか?彼は言う。いや、彼は問うのだ。圧倒的な意思力でもってして、答えのない問いについて、問い続ける。私は少し戸惑っている。なんだか、よくないような、よくあるような、良質という点では、圧倒的に劣る何かを抱えて生きているようなそんな感覚だ。私は、いつも彼を見つめている。彼はゆるやかになめらかな動きで、首を横にふる。寂しくなった。彼を見つめる私の瞳は潤んでいき、その果てに大粒の涙があふれてきた。ああ、私のひとつの可能性は、開かれて、大切な何かが、私にとってひとつの始まりになるんだと。自然なものごとが、はじまりを告げていく。なんだろうな。あの日見た私のささやかな物語は、まだ始まっていなかったのか?どこまでいっても、始まりはおわりでしかない。繰り返し、繰り返し、私はあなたに言うだろう。「ここは、あなたの寝室ではないが、あなたは、ここで眠る権利がある。まっとうなものだ。それは、君が生まれるずっと前から2000年前から、君の生まれた土地の人間が勝ち取ったものだ。それまでは、彼らとて、安心して眠れる場所なんて、なかっただろうさ。たいしたものだ。よくやったと仲間をほめてやろうじゃないか」はじまりのないおわりの祭司たちが、踊り子たちを前に祈り始める。古代楽器の演奏が滞りなく行われている。長い長い楽器のひとつが、高い音を奏で始める。なくなった音楽が彩り鮮やかに澄んでいく。私は自然あふれるものを望みながらも、自然をまったく書いていなかったという事実に愕然とする。私は、私でさえある。私の物語をひとつのはじまりとして???ありがとう。私は重ねてあなたに問い掛ける。何か目的のないひとつのはじまりを、ああ、この世界の果てに何かあなたに似たものはあるのだろうか。稀代の役者たちが演じるハムレット。恐るべき熟達者のリア王。歌劇は、やがて、悲劇へ、そして、喜劇へと。私たちは20世紀という熟達した世代を乗り越えてここまできたんだ。私の物語は、私の再生をはかるべき物語なのだ。私は私の方向性をあきらめない。私は私の方向性を決して、投げ出さない。信じてくれるかい?S氏?私の可能性を信じてくれるかい?S氏。二度私は問いかける。いつものように人々が笑顔で過ごせるように、私は、私の奇妙な英雄譚を書かなければならない。ふいに、鳥の鳴き声が聞こえてくる。クルゥクルゥと泣いている。鳥の涙を見たことはないが、悲しみの中にあるものかもしれない。いつも鳥は泣いているのかもしれない。どうだろう?私は、そのことをしっているだろうか?
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