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【イスラエル・ハマス戦争状態①】報道されない各国の動きと減衰するアメリカ

(複雑な中東問題を少しは理解できるようになる。)

2023/11/05 伊藤貫×室伏謙一

①中東がアメリカの世界戦略でどういう立場にあるのか。
②過去75年76年間のアメリカの中東政策がどういう風に失敗してきたのか

この2つの問題がコンビネーションになっているので、
簡単に説明できない問題である。

手短に話すと、1947年にアメリカは、アメリカがソ連を封じ込めて
世界を支配するためには、ユーラシア大陸で3つの重要な地域がある。

この3つの重要な地域をアメリカが支配すれば、
アメリカは世界を支配してソ連を封じ込めることが出来る。

その3つの地域とは、ヨーロッパ、中東、東アジアである。
この3つの地域を同時に支配し続けなければいけない。
1947に3つの戦域で2つの戦争が
同時に出来るようにする世界戦略を決めた。
この戦略は1989年まで維持された。
1989年にベルリンの壁が崩壊。
米ソ冷戦が終了した。
冷戦が終了して1993年、
クリントン政権が始まって
軍人、ペンタゴン職員を100万人以上縮小してしまった。
軍事費も殆ど停滞させてしまった。

クリントン政権の後半期になると、
アメリカは3つの戦域のうちの一つでしか勝つ能力を持たなくなった。
3つの戦域で2つの戦争に対処できない状態になった。
ペンタゴンはこのことに気が付いていたけれども、
公には公表できなかった。

次の、ブッシュの息子の政権になってイラク戦争を始めた。
3つの戦域で2つの戦争に対処できないどころか、
1つでも勝てないということが世界に広まってしまった。

次の、オバマ政権になって、
公式にアメリカは3つの戦域のうちの1つでしか
戦争は出来ないと認めるに至った。

なぜ、このことが重要なことであるかと言うと、
今、ハマスとイスラエルが戦争を始めると
レバノンにいるヒスボラというシーア派イスラム主義の政治組織、
イランに近い勢力が攻撃すると脅しをかけている。

それと同時にシリアも実は、イスラム教でいうとシーア派であるので、
レバノンのヒスボラとイランに近い勢力で、
この戦争に参戦してもいいと考えている。

イスラエルは下手をすると、ハマスと戦争するだけでなく、
レバノンのヒスボラ、シリアとも戦争しなくてはいけない。
これらの3つの勢力のバックにはイランがいるので、
イランとも戦争をしなくてはいけなくなる。

イスラエルとイランが戦争すれば、アメリカが必ず出てくる。

アメリカの金融業、マスコミ、シンクタンク、
民主共和両党の政治資金ネットワーク、
この4つの大部分を支配しているのはユダヤ人である。


そのため、米国政権はイスラエルを支援するこを拒否することはできない。

アメリカはイランと戦争することになる。
しかし、アメリカはウクライナで戦争を始めてしまって、
ミサイル不足、弾薬不足でかなり苦しい立場にある。

表面的には、イスラエルとハマスの戦争のように見えるが、
その後ろにはイランがいて、
そのイランを応援しているのはロシアと中国である。

アメリカは軍事的恫喝、軍事的脅しをかける能力を
どんどん失ってきている。

イランもアメリカがイランを相手にしたらロシアと中国に対して
アメリカが物凄く脆弱な立場に追い込まれることを知っているので
そう簡単にイランを攻撃できないことを知っている。

オバマ政権でCIAのNo2であったマイク・モレル前CIA副長官
もし、ヒラリーが大統領になったら、国務長官になっていただろう


2023年一月にイランの持っているウラン濃縮度は86~87%に達している。
90%に達するのは時間の問題である。
数週間でイランは核弾頭を5発から6発作れるだけの濃縮ウランを持つことができるようになる。
イスラエルは、イランが核兵器を作る準備する段階で、
イスラエルは即座にイランを攻撃すると2010年頃から公言している。

イスラエルは、
ハマス、レバノンのヒスボラ、シリアの軍事勢力の3つと
戦争始めればイランと戦争はできない。
イランは、この時期に核弾頭を作るチャンスがある。

【イスラエル・ハマス戦争状態②】報道されないパレスチナ問題の歴史|伊藤貫×室伏謙一

https://www.youtube.com/watch?v=bLHcs53SP2U

1947年からアメリカが中東政策で何をやってきたかを早口で説明しますね。

1947からイスラエル、ユダヤのシオニストの武装勢力が
パレスチナの民間人を虐殺を始めた。
それが1948年のイスラエルの勝利につながった。

当時、ユダヤの武装組織はイギリス政府からテロリスト集団という認定を
受けていた。それは、無差別にパレスチナ人を殺しまくったからである。
どっちが先に、テロを始めたかと言うと、
歴史的にイスラエルのほうが先にパレスチナに対するテロを始めた。
パレスチナ人が持っていた土地の78%を取って
イスラエルが独立宣言をした。

ジョージ・マーシャル

その当時、国務長官だったジョージ・マーシャルは、
イスラエルのやり方に反対した。

トルーマン大統領

トルーマンは1948の大統領選挙で、
ユダヤ人から政治資金を貰わないと選挙に戦えない立場にあった。
イスラエルのやり方はパレスチナ人に対して不正なやり方であると
知りつつも、しかもジョージ・マーシャル国務長官、国防長官、CIA長官も猛反対したが、選挙資金欲しさに決行してしまった。
これがそもそもの問題であった。

1967年になるとイスラエルはもう一度戦争を起こして
パレスチナ人が住んでいた残りの22%の土地も占領してしまった。
それから現在までずっとパレスチナ人は22%の土地に閉じ込められて、
アパルトヘイトシステムで独立できず、
イスラエルから明白な人種差別を受けてきている。

クリントン政権からバイデン政権まで
アメリカの正式なパレスチナ政策というのは、
「two state solution」「2つの国家を作る解決策」を公に唱えてきた。

そう言いながら、アメリカ政府は
イスラエルの右翼の入植者にやりたい放題で、
この入植者は全員重武装している。
機関銃からバズーカ砲まで持っている。
こういう連中がWESTBANKのパレスチナの農場に出かけていって
マシンガンを押し付けて恫喝して土地を盗むんでいる。

それをアメリカ政府は全く止めさせようとしない。
口先では「2国家解決」を我々は推進している。

パレスチナ人が独立した国を持てるような政策を
我々は支持していると言いながら、
その一方では武装したイスラエル人がWESTBANKに乗り込んで行って
機関銃とか手榴弾でパレスチナ人を脅して追い出している。

それどころか、アラブ諸国が国連安保理に
パレスチナ人に独立した国家を持たせようと決議案を出すと
それを必ず拒否権を使って潰すのがアメリカ政府である。
いまでは、「2国家解決」ができなくなるところまで
追い詰めてしまっている。

イスラエル政府が本値で考えていることは何かというと、
ガザとWESTBANKヨルダン川西岸地区からパレスチナ人を
全員追い出してしまって、
ガザとWESTBANKを全部奪うことがイスラエルの最終目的である。

パレスチナ人は過去76年間、こうして苦しんできている。

もう一つ言うと、テロは絶対に許されないというが、
テロとは何かというと、非武装の民間人に対する無差別虐殺である。
過去76年間、パレスチナ人によって殺された非武装のイスラエルの民間人と
イスラエル軍部、イスラエルの右翼、イスラエルの入植者によって無差別に
虐殺された民間人の数を比較すると、
パレスチナ人はイスラエル人の100倍以上被害に遭っている。

1953年、アメリカは民主主義政権であったイランを
CIAを使ってクーデターを起こさせて政権を転覆させた。
現在まで70年間、アメリカはイランを苛めて続けている。

イラクに対しては、
クリントン政権が非常に苛烈な経済制裁と医療品制裁を起こした。
1996年、CBSが当時のオルブライト国連大使に、
「経済制裁と医療品制裁でイラクの子供が50万人以上死んでいることをどう思いますか」とインタビューした。
オルブライトはそれに対して
「the price is worth it」「その犠牲は価値がある」と言った。
翌年、オルブライトは国務長官になり、この過酷な制裁を続け、
少なめにみて70万人から80万人のイラク人を死亡させた。
次のブッシュ政権でイラクを侵略、
オバマ政権になってISISが出て来て内乱状態にさせ、
150万~160万人のイラク人が死んでいる。

次にオバマ政権はシリアのアサド政権(シーア派)を追い出すために、
イスラム教原理主義思想を持っているスンニ派の武装勢力に
資金援助と軍事援助をして戦争をさせて現在も続いている。
この連中が後にISISになったり、シリアのアルカイダになったりした。
ですからアメリカは2001年にアルカイダがニューヨークを攻撃して
怪しからんと言いながら
2011年にシリアにおけるアルカイダとISISもしくはイスラム国に
軍事援助、経済援助をしている。
意図的にシリアを内戦状態にして、シリアでも70万死亡させている。

同じ2011年にオバマ政権はリビアを空爆して
カダフィを死亡させて内戦状態にさせ、現在も続いているが、
80万人死亡させた。

中東に住んでいるアラブ人からみると、
アメリカはアラブ諸国に対してデタラメなことをして、
何百万人のアラブ人が死亡しようと、
アメリカ政府は全然気にしていないと思うようになった。

アメリカ政府の中東政策を見るには、
1947年から現在までアメリカ政府が何をやってきたかを
少しは覚えておかないと、何でここまで失敗してきたのか
分からないと思う。


【イスラエル・ハマス戦争状態③】日本のこれから|伊藤貫×室伏謙一


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