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架け橋になりたい

「架け橋になりたい。」
そう思ったのは、大学1年生の頃でした。

私の小さい頃からの夢は、教師になることでした。尊敬する教師との出会いに恵まれて、「未知のものに出会い、世界を広げる」という教育の大切さを身をもって実感していたからでした。

そんな中学3年生だったある日、テレビでショッキングなニュースが流れていました。

マララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さんが、タリバンのメンバーに銃撃されてしまったのです。教育を受ける機会から遠ざけられている女子たちのために立ち上がった同年代の一人の女の子、マララさん。

世界に目を向ければ、「世界には教育を受けられない子どもたちがたくさんいること、教育を受けられるということは当たり前ではなく、むしろそれだけで十分に恵まれている」ということに衝撃を受けました。

幸いなことに彼女は後に国連でスピーチができるまでに回復しました。

”One child, one teacher, one book and one pen can change the world. Education is the only solution.”

Malala Yousafzai

という彼女の力強い言葉に非常に心を打たれ、私の夢は「教師になること」から「世界中の子どもたちに質の高い教育を届けること」へと変わっていきました。

大学に入学し、教育学部に入ろうと思っていた矢先、転機が訪れました。国連ニューヨーク本部を訪問し、国連職員から直接講義を受けることができる国際研修への参加が叶ったのです。

「世界中の子どもたち質の高い教育を届ける」ためには何が必要か、講義を受講しながら自分なりに考えてみました。
学校の建設、建設用地の確保、優秀な教師の配置、道路の舗装など。
障害となるのはこのようなハード面だけではないはずです。
もっと掘り下げて考えてみると、女の子は学校へ行かず結婚すべき、子どもは家族のための労働力となるべきという価値観の存在のような社会的問題とともに、学校に行きたい(行かせたい)けどもお金がない、いう経済的問題もありそうです。
まだまだあげればきりがありません。

東大の進振りで教育学部ではなく、医学部に進学した理由は「教育と健康が密接に関わっている」と気づいたことにあります。
きっかけは国連WFPの学校給食プログラムを知ったことでした。

WFPは世界の子どもたちに朝食や昼食を提供しています。2016年には、世界60カ国の1640万もの児童に学校給食を直接届け、技術提供を通じて支援した児童の数は4500万に上るとされています。
学校給食によって子どもたちの健康状態が改善されるのはもちろん、親が子どもの登校を促すきっかけとなったり、学業成績が上がったりという報告までもあります。このように、給食一つとっても健康が教育に及ぼす影響は計り知れないものがあります。

一方で、世界の子どもたちの健康を改善するカギは、教育が握っていると言われています。

しかし、UNICEF、WHO、世界銀行の報告によると2017年においても依然として世界の5歳未満児6億6,900万人の22.9%にあたる1億5,500万人が発育阻害であると言われています。
このような健康状態の悪い子どもはそもそも学校に通って教育の機会にありつくことはできません。

この意味で「健康と教育は相互依存の関係にある」と考えたのです。

この相互関係に気づいてからは
「子どもたちの健康状態を改善させて教育を受けられるようにすること」と
「子どもたちが教育を通じて健康にありつけること」
を通して「健康と教育の2分野の架け橋になりたい」と考えるようになりました。

例えば、空腹で授業に集中できない子どもたちや栄養状態が悪く教育を受けられない子どもたちに栄養面から支援し、教育を受けてもらう。
そして、栄養・衛生・健康について学んでもらう。
また給食目当てでも学校に来る子どもたちに学校で健康診断を受けてもらう。
そうすれば相互依存の関係にあった健康と教育はお互いにポジティブな効果をもたらしそうです。

このように、様々な要素が複雑に絡み合う社会問題に対して「健康と教育という二分野の架け橋になる」ことを通して解決したいと考え、進振りの際には、文系で入学したにも関わらず、医学部医学科に進学するという大きな決断をしました。

しかし、進学してからは、新しい環境の中で自分の選択に自信が持てず「これでよかったのだろうか」と自問していました。

そのような中、フィリピンのセブ島のNGOにて公衆衛生ボランティアを行う機会をいただきました。地域の保健所での看護師さんのお手伝い、学校を訪問して衛生にまつわるワークショップの開催、予防接種のお手伝いなど仕事内容は多岐に渡りました。忙しくない時間帯は看護師や医師、助産師、薬剤師、歯医者、そして患者さんにまでお話を伺い、セブ島の小さな町の医療の状況を深く知ることができました。特に、学校を訪問してワークショップを行った経験は、興味分野である教育と健康を結びつけることができたイベントとして特に心に残っています。

将来の目標は、世界の子どもたちを笑顔にすること。

現在、医学を学ぶ傍ら、教育、国際協力、開発など幅広く関心をもって勉強しています。
将来「進振りで思い切って医学科に進学してよかった」と思えるようにこれからも学びを継続していきます。


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