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読書による気づき~「言語化の魔力」

精神科医樺沢紫苑先生の新刊「言語化の魔力」を読みました。
言葉にすると「悩み」は消える、というキャッチですが、その意味は自分の経験に重なるものでした。

子どもが不登校に

今から約4年前、子どもが不登校になりました。その原因は複合的なものと思われ一言では説明できませんが、本人は学校に行きたくても行けない自分を責め、人生が終わったと言って精神的にも厳しい状況に追い込まれました。
親としてもどうして良いか分からずパニックになりました。

そんなとき不登校の親を対象としたセミナーが近隣で開催されることを知り、思い切って参加してみることにしました。
さほど広くない会場でしたが、驚くことにそこは50人ほどの人で溢れかえっており、こんなにも同じ悩みを抱えている人がいるということを感じただけで、何か救われた気がしました。

セミナーの中で不登校の中学生は全国で約14万人というデータが紹介されました。その両親の数を単純計算すれば中学生の子の不登校で悩む親は約28万人いるということです。
また、無理に学校に復帰させるのではなく、まずはしっかり休ませることが重要だという気づきを得ました。
さらに、近くに座った人同士でのワークの時間が設けられており、自分の悩みを話すことができました。

セミナーの帰り道、行きとは違い気持ちがすごく楽になったことを覚えています。
子どもが不登校であるという事実は何も変わっていません。変わったのはそれ対する私の感情です。
今、本書を読んで当時を振り返ってみると、これこそが言語化がもたらす効果だったのではないかと感じています。

もし、思い切ってセミナーに参加しなかったら本書で紹介されている「心理的視野狭窄」に陥り、自分の視座だけで考え悩み続けたでしょう。
他人の視座を借りることで楽になりました。
それをきっかけに、不登校に関する本を読んだり、検索したり、親の会に参加するという行動につなげることができたのです。

悩みの再設定

悩みの再設定という言葉が本書で紹介されています。
「コントロール不能」な悩みは、「悩みの設定」を変えるだけで、一瞬で「コントロール可能」な悩みに変換できるというものです。
これを私は子の不登校に当てはめてみました。
親が中学生の子の不登校に悩んでいるとして、本当に悩んでいることは何かと考えたとき次の3つが挙げられます。
①勉強が遅れてしまう
②社会に出てやっていけるのか将来が不安
③高校に行けないのではないか

不登校自体が悩みだとすると何としても無理にでも学校に行かせようと思ってしまいます。
もちろん行ける状態になれば一番良いのですが、限界が来て不登校になっている精神状態でそれを行うことは良い結果が望めません。

不登校に関する本や検索によって調べる、経験した当事者に相談することで対処法が見えてきます。
①については、学校以外の学習サポートの場の活用、あるいは大人になった経験者の話を聞くことで後からいくらでも取り戻すことができることが分かる。
②については、小中学校で不登校を経験しても25歳の時点で80%が社会人として立派に活動しているというデータがある。
③については、出席日数が足りなくても枠を設けている公立高校があることや、様々なニーズに対応した通信制高校も多くあるが分かる。

これらによって不登校の状態が継続しても悩みはある程度解消すると考えられます。
言語化し「再設定」する。本書における最も大きな気づきです。

それはそれとして

不登校の子を持つ親の中には自分の育て方が悪いと自分を責めてしまったり、何か負い目を感じてしまい、ずっと悩んでしまう方もいるようです。

本書で紹介されている「それはそれとして」。
様々な場面で、自らの感情や思考を「切り替える」言葉として使えます。

子の不登校の悩みをそれはそれとして、親も好きなことを楽しむ時間を持つと良いと考えます。

伝えたいこと

今、不登校だった我が子は高校3年生。通学するコースがある通信制高校に入りました。高校入学後、すんなりとはいかず悩ましいことも色々とありました。それでも中学校で遅れた勉強を取り戻すことができ、現在は大学受験に向けて励んでいます。

私は自分の経験を、特に父親の立場としてやってきたことを悩みの渦中にある人の役に立てば良いと思い、2年前からnoteによる発信を続けています。
先日は親の会を通じてイベントに参加し不登校を経験した親と子のパネルディスカッションにパネラーとして初めて登壇しました。

今回、本書を読み、私が発信し伝えていきたいことは、不登校の解決法ではなく、それに対する捉え方、向き合い方なんだということが明確になりました。
悩みは解決するものではなく、解消するもの。
言葉にすれば「悩み」は消える。

本書による気づきは私自身の更なる自己成長につながりそうです。

「言語化の魔力」。素晴らしい本に出会えたことに感謝するとともに、一人でも多くの方に読んでいただき、悩みを消して楽になってもらえることを願います。


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