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子どもの「わかんない」はすぐ教えてもいいのか。自主学習への橋渡しはどうしたらいいのだろう。

#20230413-75

2023年4月13日(木)
 下校後、おやつを食べるとノコ(娘小4)はすぐ外遊びに出掛けた。

 お怒りモードで帰宅した(※20230413-74)ため、宿題がはじまらない。
 ようやくダイニングテーブルに宿題を広げたが、問題を読んだかどうか怪しい速さで即「わかんない!」と叫ぶ。
 私は夕飯を作る時間で、ノコにつきっきりになれない。
 「問題を読んでください」
 キッチンに立ってそういうと、ノコは声にならない声で読む。
 「聞こえないよ」
 そうすると、小さな声は出たが早口でさっぱり何をいっているかわからない。
 「音読するみたいに読んでほしいな」
 「面倒くさっ!」
 いやいや、それが人に教えを請う態度かい!

 小学4年生。
 本日の宿題は大きい数の復習。「」までの単位を覚えているか、数字の羅列を漢数字で書く問題のようだ。
 「ママ、読んで」
 「えー、読んだらそれが答えになっちゃうから」
 「なんで! ママ、読んで。読めない!」
 どうやら私が読み上げたものを漢数字で書けば答えになることすらわかっていないようだ。もうこうなったら何をいってもノコは怒るばかりで、私のいうことに耳を傾けない。
 外遊びで体を動かして発散し、気持ちよく宿題に取り組むのならいいのだが、外遊びでお友だちといざこざが起きてしまうとかえって厄介だ。
 新学期の疲れもあってこじれていく。
 夕飯を作る手を止めてノコの前に座り、宿題の計算ドリルをのぞき込む。
 問題の真上にしっかり単位の説明が書いてあり、そこを見れば解ける・・・はずだ。
 さぁて、どうしましょ。「わからない」を連発し、聞く気のないノコを問題に向かわせるには?

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 並んだ数字を一の位だけ残して指で隠す。
 「さぁて、これは何?」
 「七」
 バカにしてんのか、といわんばかりの顔をしてノコがいう。
 「あら、読めた!」
 次は指をずらして、十の位まで見えるようにする。
 「五十七」
 「これも読めるのね」
 「当たり前じゃん。ムカつく」
 視線は冷たいままだ。ひとつずつ指をずらしていき、ノコが何の位でつまずくか確認する。
 万の位から混乱する。
 心穏やかに聞く姿勢の子どもになら、教えるのは苦ではない。やる気のない、腹を立てている子に教えるのが難しい。

 「わかりましたぞ」
 ちょっとふざけた口調でノコの興味を誘う。見下しているのかと余計ヘソを曲げる場合もあるので、この匙加減が難しい。
 「こうすれば、ノコさんも読めますぞ」
 4つごと、数字の間に縦線を引いて区切る。
 そして、4つずつ、まずは一の位から千の位までを読むようにいう。ノコが読む。次に隠す指をずらして、万の位から千万の位までだけを見せて読ませる。ノコが読む。
 「そこに"万"をつけるのだ」
 ノコが戸惑いながら読む。
 「千四百九十二・・・万」
 「読めたのう」
 億の位までのばす。
 「三十五億、千四百九十二万・・・」
 数字を隠していた指を離し、すべてを見せる。
 「・・・八千五十七」
 「なんと完璧じゃ!」

 この勢いのまま、例題をいくつか書き、「これは読めるかの?」と次々と読ませる。つまずいたら、即縦線を書き加える。それを5問リズムよく読ませる。
 調子がのってきたところで、宿題に戻る。
 「九百六十七億、二百三十一・・・万? 九千六百六十四」
 「読めたのう」
 「三千四百五十・・・億、二千二十三万・・・千八百二十三」
 「すらすらじゃのう」
 「五十億、二千三百八十万・・・千二百!」
 「完璧じゃあないか!」

 ノコが鼻の穴をふくらませて、漢字で読みを書いていく。
 「わからなくなったら、4つずつ、縦線を引くんじゃぞ」
 そういい残して、私は夕飯作りに戻る。
 これで、千億の位までの読みは大丈夫だ――と思うのは早合点だ。おそらくノコはすぐ忘れる。まだ定着はしていない。きっとまた「わかんない」という。

 そう思った矢先、次の問題でまた「わかんない!」。
 今度は位の移動か。10倍したら位が1桁ずつ上がっていく問題だ。

 小学4年生って、家庭でこんなに手取り足取り教えねばならないのだろうか。
 自分で読んで理解する――自主学習ができるようになるにはどうしたらいいのだろう。

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