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子どもが子どもに注意するとき、どう言葉を選べば聞いてもらえるのか?

#20230413-74

2023年4月13日(木)
 下校後、外遊びに出掛けたノコ(娘小4)が帰宅するなり、怒りはじめる。
 「ママママ、ママママ、聞いて聞いて、ひどいんだよ!」
 まずは靴を脱いで、手洗いうがいを済ませてほしいが、ノコは三和土たたきで足踏みをしながら顔を真っ赤にして憤慨する。

 公園に男子同級生がいて、してはいけないことをしていたので注意したのに、聞かないどころか、ノコを睨んできた、という。
 そこから、その男子だけでなく、学校でもそういうことばかりだ、と声高に訴える。

 ほかの子が注意すると、みんないうことを聞くくせに、私が注意すると聞かないし、睨んだりしてくる。
 ほかの子と私とで、みんな態度が違う。
 ひどい、ひどい、ひどい。
 学校、ヤダ。
 行きたくない。

 どれもノコ自身もほかの子にやっていそうなことなので、言葉に詰まる。睨む目付きなんて、もはやノコの十八番おはこじゃないか。
 「そっか、ほかの子と態度が違うのは悲しいねぇ。”ノコさんにだけ”はキツイねぇ」
 ずいずいとノコは迫ってきて、私の膝に強引に座る。
 「ママ、みんなひどいよ… もう外遊びしたくない」
 さぁて、なんて声を掛けよう。
 ノコが望んでいるのはただ聞いてくれることなのか、その一歩先なのか。

 少し前に仕事から帰ったむーくん(夫)がノコの騒ぎを聞いていう。
 「おまえだって、そうだろ。すぐ睨むじゃないか。注意だって聞かないよな」
 ノコが私にぎゅうううとしがみつく。
 「パパ、大っ嫌い!!!!」
 お願い、耳元で叫ばないでくれ。
 そして、むーくん、事実なんだけど事実なんだけど、私もそういいたいんだけど、それをいっちゃあいけない。

 ノコは自分が友だちに邪見じゃけんに扱われた、疎外された淋しさ孤立感を伝えたいのであって、「注意を聞かない」「睨んだ」という相手の態度の改善を求めているわけではない。もちろん、相手が注意を素直に聞いて言動を改めてくれれば、ノコは淋しさや疎外感を感じずに済むので解決する。
 でも、ノコの言葉の真意はきっとそこではない。

 私は淋しいの。私はひとりぼっちなの。

 そこなんだろうなぁ…
 ノコの髪をなでながら、その手をゆっくり背にまわしトントンと軽く叩きながら考えを巡らす。
 「淋しかったんだねぇ。ノコさんだけ違う態度されるのは嫌だよねぇ」
 ノコは小柄なほうだが、それでも4年生だ。重さに足がしびれてくる。
 「〇〇君がうちの駐車場に入ったんだよ。学校でもよそのお家のところに入っちゃいけませんっていわれてるのにさ」
 「そうだねぇ、それはいけないねぇ。ノコさんはなんて注意したの?」
 ノコが体を揺らし、誇らしげに”私は正義”といわんばかりに鼻をふくらませる。
 「入んないで! そこ、うちだから! 人の家に入っちゃダメなんだよ!」
 うん、うん。
 いってることは間違ってはいないが、ノコの口調は激しくキツイ。
 「もう少しやさしく、違う言葉でいえないかな?」
 ノコはぐるんと上半身をまわす。
 「入んないで。そこはうちだから。人んちに入っちゃダメなんだよ」
 確かにちょっとだけ口調はやわらいだが、私は声音ではなく、言葉を変えてほしかった。
 それはまだ難しいか。
 例題が難し過ぎたか。

 “走ったらダメ”なら”歩こうね”、”立ったらダメ”なら”座ろうね”と否定を肯定に変える
 “Don’t”を”Let’s”にする。
 どう説明したらいいのだろう。

 「ねぇ、ママ、なんか食べたい。おやつ、とか?」
 おやつは下校してすぐに食べた。あと1時間弱で夕食だ。
 「おやつはダメ。もうすぐお夕飯だから」
 あぁ、”ダメ”を使わない声掛けを考えていたのに、つい反射的に”ダメ”が飛び出してしまった。
 「食ぁーべぇーたぁーいぃー!!!」
おやつを食べてもしっかり食事も食べるのならいいが、ノコはそうではない。
 ノコがドンと足を踏み鳴らす。
 「ダーメーでーすー! ほら、急いでご飯作るから宿題やっちゃいな」
 強い態度についまた”ダメ”が飛び出してしまう。
 ”ダメ”を乱用したくないのに。

 よその家の敷地に入ってはいけない。
 うーん、言い換えるとしたら、「道路はここまでだよ」かなぁ。
 ここまでなら入ってもいいよ。
 でも、そんな言葉の言い換えを小学4年生に求めてもなぁ。

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