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白と黒しかないから、敵と味方というのだろうか。

#20230427-88

2023年4月27日(木)
 下校したノコ(娘小4)が玄関で怒っている。
 早く靴を脱いであがればいいのに、三和土たたき地団太じだんだを踏んでいる。

 クラスで宿題忘れが多い5人の席が最前列になったという。
 男子4名に女子1名。ノコが紅一点だ。
 ノコがいうには、ほかにもよく宿題忘れを注意されている男子がいるらしい。だが、先生はその男子には強く注意もしないし、ノコと扱いが違うと腹を立てている。
 「先生にいてみたら?」
 そういうと、「ヤダ!」と即返す。
 「ママは変だって思わないの?」
 私は手招きをして、ノコに洗面所で手洗いとうがいを済ますよう促す。
 「何か事情があるのかなあって思うよ」
 「事情って何?」
 語気荒くノコが問う。
 「さぁ、それは知らないけどね。そんなに気になるなら先生にお尋ねしてごらんよ」
 「ヤダよ。あのさぁ、〇〇君のママが先生に『叱らないでください』ってお願いしたんじゃない? ねぇ、ママが先生にいてよー」
 「ママは別に気にならないから、自分でいてごらん」
 ノコは乱雑に手を洗い、うがいした水を口から勢いよく洗面ボウルへ吐き出す。
 「ああ、そう! ママは先生の味方なんだね。ママは私の敵なんだね」
 敵/味方とまでいうか。
 その極端な表現に思わず笑いそうになる。
 「先生にママからいてほしいくらい気になるの?」
 「うん。だってズルいじゃん」
 このままでは先生に不信感を抱き、〇〇君を嫌悪しかねない。仕方がない。あまりよそのお子さんのことをお尋ねしたくないが、明日にでも先生に連絡を取ることにする。

 そんなやりとりをしているうちに、ピンポーンとインターホンが鳴る。まだおやつを食べないうちに、ノコの友だちが遊びの誘いに来てしまった。
 遊びたくてノコがジタバタする。
 「今、おやつ食べないなら、帰ってからは夕飯前だからおやつなしよ」
 「それでいい!」
 そう叫んでノコは公園へ走った。

 帰宅したノコが開口一番いう。
 「ママ、おやつ食べたい」
 あまりにも予想通り過ぎて笑いそうになるが、慌てて口許を引き締める。下手に笑みを浮かべると、快諾だと思いかねない。
 「ダメよ」
 はっきり、きっぱり返す。
 ただでさえ、おやつは食べても食事は食べないノコだ。夕飯前におやつなんてとんでもない。
 ノコはテーブルの上にある私が作ったスケジュール表に目を落とした。時間表は紙から磁石がくっつくホワイトボードに、やることの項目は付箋紙からマグネットシートに改良した。
 ノコはその「3時のおやつ」を手に取ると、迷うことなく投げた。
 腹を立てるのはいい。
 物に八つ当たりするは、私の心が…あぁ、ざわつく。

【追記】
 翌日、先生にノコの不満を伝えた上、尋ねた。
 〇〇君は宿題を忘れていないとのこと。ただ丸つけをしていなかったり、見直しをしていなかったりするため、そこまでするよう指導しているそうだ。
 だから、宿題をしない、宿題を忘れるノコとは違った。

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