難病になってしまった父親と息子の野球を通じた友情を描いています ④

「孤独感」

田中さんちの旦那さん
入院したらしいわよ

週末は雨みたいよ
洗濯物 困るわねー

小学生の俺は
夕日が差し込む
母親の美容院で
毎週月曜日 学校から帰ってくると
おばちゃん達の 会話をラジオがわりに
週間少年ジャンプを読んでいた

待機場所のイスや
時には パーマをあてている
おばちゃんの横で

気が向いたら
コーヒーと茶菓子を持っていき
おばちゃん達の肩までもんでいた 笑

お店のアイドル的 存在だったのかも

今も若い子より おばちゃん達に妙に優しくしてしまう

環境が人を作るというのは ほんとだね 笑

父親が 病気になってから
美容院の予約の電話は
俺がとることが 多くなっていた

さっきから 電話出なくて先生は
買い物でも 行ったかね?
いつくらいに 帰ってくるかね?

そうですねー
買い物かもしれないし
友達とおしゃべりでもしてるんですかね
電話があった事 伝えておきます

さすが 自営業の息子
仕事をサボって
パチンコ屋に行っている事は
内緒にしていた

病気の父親に向き合えず
現実から逃げる為に
母親はパチンコにはまってしまった

旦那が生きている
お客さんにも 嫉妬をしていたらしい

困ったもんだ

多感な時期の俺は
母親は女ではなく
家庭を守る人で あってほしかったのかも

全ての歯車が 狂い始めていた

父親は障害者
母親はギャンブル依存症

同世代に言えない事が増えていくにつれ
俺の孤独感はましていった


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