市役所の副業に1200名が応募!費用をかけずに拡散力あるWebプロモーションやデータに基づく意思決定が可能に~ 神戸市
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市役所の副業に1200名が応募!費用をかけずに拡散力あるWebプロモーションやデータに基づく意思決定が可能に~ 神戸市

フリパラ(フリーランス協会公式note)

フリーランスとフリーランスを活用する企業のさらなる成長や活躍を目指し、今年も開催される「フリーランスパートナーシップアワード2021」。

本記事は、活用企業部門1次審査を通過したファイナリスト、神戸市の広報戦略部と首都圏プロモーションチームの副業・兼業人材活用の取り組みをご紹介します。

広報戦略部の副業・兼業人材募集では1,200名を超える応募があり話題になったほか、首都圏プロモーションチームでは副業人材を含めた初のプロジェクトチームを結成し、首都圏からの移住施策のための最新市場データ収集・分析を行い、短期間で目標を達成したと言います。また、職員の方々にとっては副業・兼業人材から受けた影響も大きかったという今回の事例。実際にはどういった取り組みが行われたのでしょうか。

広報戦略部からは部長兼広報官の多名部重則さんと奥田雄大さん、中村紀彦さん、首都圏プロモーションチームからはチーフ・エバンジェリストの栗山麗子さんと東京事務所の伊藤友美さん、片岡航一さんにお話を聞きました。

最後に、投票フォームもありますので、取り組みへの共感や参考になった場合は投票をお願いします。

神戸市役所が外部人材、副業・兼業人材を活用する理由

—— まずは神戸市が外部からの人材の活用を推進した背景から教えてください。

栗山さん:最初のきっかけは、2013年に久元喜造市長(現職)が外部人材の活用を始めたことに遡ります。その後、現在広報戦略部長の多名部が、新産業課長時代に2015年4月スタートアップ関連施策を進める中で、外部人材を中核とした取り組みにチャレンジし、徐々に外部人材の活用が盛んになっていったという経緯があります。

実は私自身も民間からの中途入庁で、2年ほど前まで大手食品会社に勤めていました。多名部の面接も経て入庁したのですが、おそらく多名部がいなかったら転職していなかったと思います。私が所属する新産業課の中核メンバーは、今ではほとんどが外部人材という市役所らしからぬ非常に特殊な部署です。

副業・兼業人材については、2020年に市内企業の事業推進および関係人口拡大の目的で、市内企業への活用推進の取り組みを始めました。この取り組みに可能性を感じた市長からの声掛けもあり、同年秋からは神戸市役所としても副業・兼業人材の活用をスタートしました。

多名部さん:市が抱えている課題は役所の中だけで解決するのは無理があります。特にスタートアップ施策ともなればなお更です。それで外から人を連れてこようと考えました。最初は公募ではなく、この人ならばという実績のある方を探し出し、直接説得して来てもらったのですが、非常によい方で、それが庁内全体で外部人材の受け入れに前向きになったきっかけになったと思っています。穏やかな人柄で、コミュニケーション能力があり、こんな人がいるのであれば外部人材をもっと活用していこうという雰囲気が自然と拡がっていきました。


周到に戦略を練った採用活動で、1200名以上の応募

—— 副業・兼業人材はどのように募集をかけて採用したのでしょうか?

栗山さん:広報戦略部で大規模な副業・兼業人材の募集を行い、その後、首都圏プロモーションチームで副業人材と職員でのプロジェクトチームを組みました。まずは神戸市役所内で副業・兼業人材活用の大きな流れを作った多名部の所属する広報戦略部の経緯からご紹介します。

【広報戦略部】

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左から、広報戦略部の中村紀彦さん、多名部重則部長、奥田雄大さん

多名部さん:きっかけは「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフー株式会社が2020年7月に副業人材を約100人募集することを発表したことです。メディアでかなり話題になりましたよね。これを見た久元市長から「広報関係でこんなことはできないですか」と7月下旬に打診があったのです。

それで考えてみたのですが、広報業務のうち、動画撮影、編集、バナー作成などは外部の方にやっていただく方が効率的との思いに至り、お盆明けに市長に「できます」と伝えました。そこからすぐに取り組みをスタートし、9月下旬から「クラウドワークス」のクラウドソーシングプラットフォームを活用して募集を開始しました。

クラウドワークスの広報担当者も交えて周到にSNS戦略を練った結果、1200名を超えるご応募をいただきました。スキルや経験はもちろん、提案力や緊急対応の可否なども重視し、AIを活用した選定や面接を経て、幅広い業務内容で40名近い方を採用することができました。

【首都圏プロモーションチーム】

栗山さん:首都圏プロモーションチームは、人材探しに「JOINS」のマッチングプラットフォームを活用しました。年末の慌ただしい時期、しかも、かなり高いレベルのスキルが必要な求人を出したので集まるか不安だったのですが、22名もの応募をいただき驚きました。私たちの場合は仕事を切り出して発注するのではなく、プロジェクトチームの一員として迎えるため、面接ではスキル以上に人柄、特にメンバーとの相性を重視しました。

伊藤さん:実際に募集をかけてみて、よい意味で本当に悩ましかったですね。2回の面接を通じて私たちの求めている内容をお伝えし、応募いただいた方々からも取り組みご提案をいただきました。提案いただいた内容がとても充実していたのでそれだけでも学びになりましたし、どのようなレベルの方が、どのような動機で応募してくださったのかを知ることもできました。

栗山さん:採用は本当にかなり悩みましたね。こんな高いスキルをもった魅力的な方々を私たちが不採用にしていいのだろうかと。とはいえ、枠は限られているので、経験やスキルの他に仕事のポリシーや趣味など幅広いお話を伺った上で、波長が合ったデータサイエンティスト1名とマーケター1名を採用させていただきました。

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左から東京事務所首都圏プロモーションチーム前所長の中山裕介さん、副業人材のお二人、栗山さん、片岡さん、伊藤さん

副業人材の力を最大限発揮してもらうための、下請けではなく同じチームの一員という意識

—— 副業・兼業人材にお願いした仕事の内容や進め方を教えてください。

【広報戦略部】

多名部さん:お任せしている内容は人によって異なりますが、SNS記事作成、写真・動画の撮影編集など、いずれも納品内容が明らかな業務です。中でも一番多いのは撮影関連業務で、神戸市ならではの風景などを主に月に4~5件お願いしています。

あとはHPのモニタリングですね。市役所サイトのデザインやテキストを、読者の立場に立って確認していただき、アクセス数の多いページを中心にわかりやすく書き直していく校正作業をお願いしています。

中村さん:副業・兼業の方と仕事をする際に大切にしていることは、専門家に対するリスペクトを忘れないことですね。下請け的なお願いの仕方ではなく、企画段階から一緒に打ち合わせをしてどのように進めたらいいかを一緒に考えたり、動画を撮る前にその見せ方を話し合ったりと、上流工程から関わっていただくように意識しています。

また、Slack等を活用した密なコミュニケーションを行い、業務内容の狙い・想いなどを丁寧に説明することも心がけています。スケジュール管理等、相手の立場に立って無理なお願いになっていないかということにも気をつけて仕事を進めています。

【首都圏プロモーションチーム】

栗山さん:私たちのチームのミッションは、移住に関する最新の市場状況を調査し、そのデータに基づき神戸市のPRや移住施策の方向性を決定することでした。これは行いたくても時間的な制約の中で普段はなかなかじっくり取り組めていない課題でした。

このプロジェクトには、副業人材2名、神戸市職員4名、ふるさと回帰支援センター職員1名が携わり、コミュニケーションを密に取るために、メッセンジャー等を活用して気軽なやり取りをすること、また質問には即時返答することを心掛けていました。また、1月から3月までという短い期間内に成果を出すために、目標とスケジュールは常に共有し、期日から逆算しながら互いに進捗を確認し、週1回のミーティングで方向性を修正していくという進め方をしました。

私たちは単に最新情報を把握したいというだけではなく、さらにその先の神戸市の移住プロモーションに使えるようなデータを抽出し、すぐに使える形に整えてもらいたいという希望も持っていました。副業人材のお二人は非常にモチベーションも高く、我々との打ち合わせの他に、別途お二人での打合せもしてくださり、チームとして非常にスムーズに仕事を進めることができました。お二人からは、次年度以降の取り組み提案もしたいとのご提案をいただきお願いしましたが、プロジェクトスタート前の打合せで、時給ではなく、月固定の報酬で契約していたことで、お互いストレスなく最大限の力を出してもらえたと思っています。

数字の成果と同時に、職員への良い影響という成果も

—— タスク型の依頼でも、中長期のプロジェクトでも、密なコミュニケーションが大切なんですね。どんな成果があったのか教えてください。

【広報戦略部】

多名部さん:多岐にわたる成果が出ています。やりたいこと、やるべきことを迅速に、費用を抑えて実現できており、副業・兼業人材の方々には本当に感謝しています。具体的には、SNSの投稿回数やバリエーションが増えたこと、LINEでは「世界に誇る神戸のパン」などの人気配信コンテンツが確立できたことなど、いろいろあります。写真については神戸市のフォトアーカイブである「PHOTO PORT」にも掲載し、より多くの方にご活用いただけるようになっています。

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広報戦略部における副業人材の活用例

現在では、他部署からの業務依頼も受けており、より風通しのよい組織にするための原動力にもなりつつあると感じています。

—— 印象に残っているエピソードはありますか?

多名部さん:災害に強い街づくりというテーマで、大企業で長年広報を務める副業人材の方に動画制作を依頼したことがありました。しかし、「それって動画が最適な方法でしょうか?」と聞かれたことで、最初から動画ありきで進めていた各部局はハッとしました。最近は、SNSや動画などデジタルのプロモーションが主流になってきていますが、市民の方に災害対応を知っていただく目的を果たすために最適な媒体は何かと考えると、動画より紙媒体を使った方が効果的かもしれないと思うに至りました。外部人材の方の意見がなければそのまま進めていたかもしれません。

奥田さん:私が印象に残っているのは、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種をノエビアスタジアム神戸で行うプロモーションを行った時のことです。副業人材の方が撮影・編集してくださった動画が、広告も出さずにYouTubeで1万回以上の再生を実現できたのも、プロフェッショナルな仕事があったからこそと感じました。

参考動画:ノエビアスタジアム神戸で、ワクチン接種後にピッチサイドウォークしよう!

【首都圏プロモーションチーム】

栗山さん:自治体の施策は、その効果が分かりやすい売り上げと利益で出てくるわけではなく、効果検証が数値で出しにくいものがほとんどです。そのため、民間企業のように詳細データを取り、市場分析を行って、PDCAを回すということが行いにくく、その習慣もあまりないように感じています。私自身、もっと深く市場分析を行いたいと思いながら、時間的にも、データ素材も十分ではなく、漠然とした焦りと感じていました。しかし、今回は期間が定められたプロジェクトだったので、今やらなければいつやるのかという思いと勢いで、チーム一丸となり集中して取り組めました。データのプロである副業人材に、移住関連のデータをさらってもらい、神戸市として意味のある形で納品してもらいました。施策検討時に意思決定のベースとなる市場データに自信が持てる状況になったことは、大きな意味があり、短期間でやりきったという感覚をメンバー全員で共有できたと思っています。

伊藤さん:移住プロモーションは、今までは「なんとなくこうだろう」という先入観で進んでいた部分があったのも正直なところです。改めて、外部の方にお願いすることで、データに基づいて整理し、方向性を決定できました。

副業人材の方とのプロジェクトは、2021年3月末に契約満了となりましたが、導き出された結果を基に、4月に入ってすぐに関係部署を全て集めて取り組み結果を共有する場を、副業人材のお二人も交えて行うことができました。今回の取り組みが、今後につながる資産になったと思います。

栗山さん:もう1つの成果は、副業人材の方のバイアスのかかっていない新たな目で多面的な分析をしていただき、その結果をターゲットごとに深堀りし、それをチーム皆で共有する機会ができたことでした。

片岡さん:個人的には外部のプロ人材と一緒に仕事をさせていただくこと自体が全て勉強になりましたね。役所勤めが7年目で、その文化にどっぷり浸かっていたので、エネルギッシュでスピーディーな副業人材の2人にはとても影響を受けました。

例えば、自分が出したアウトプットに対してしっかり責任を持つ姿勢があり、「報酬は成果報酬でお願いしたい」という発言を聞いたときは衝撃的でした。仕事の進め方も、次の打ち合わせまでに何が何でも形にし、データを示して、誰に対しても根拠を持って説明できる形に仕上げていく姿勢にも刺激をいただきました。

今後もこうした形で外部の方と協業しながら、仕事のやり方を勉強する機会が欲しいと感じています。

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組織の垣根を越えて一丸となり、3か月のプロジェクトを完走

栗山さん:我々と一緒に取り組んだくださった副業人材の方々は、自分たちのスキルを上手く活かしてほしい、意味あるアウトプットを出したいという思いを持たれていました。本当に素晴らしいパートナーと巡り会えたと感じています。昨年度から神戸市では市内企業への副業人材活用推進も行っていますが、企業様の中には自社の人材を成長させたいから、副業人材を入れることに躊躇するというお考えの企業様もいらっしゃいます。自社社員の成長のチャンスが失われることが心配とのことですが、実際は逆ではないかと考えています。企業での副業人材活用も複数件見てきましたが、副業人材と一緒に働くことで自社社員が学び、新しい風が吹いて組織が成長し、強くなることが多いのです。

—— とても素晴らしい成果でしたね。最後に今後について教えてください。

多名部さん:広報戦略部では、今年度からの新たな取り組みとして「行政支援獲得サポーター」制度でも副業・兼業人材の方にご活躍いただいています。今後、他の部署やプロジェクトでも副業人材の活用が進んでほしいと考えています。また市役所での取り組みを、市内企業での副業・兼業人材活用推進にもつなげていきたいですね。

栗山さん:今回のプロジェクトで、データに基づいた最新の移住市場状況を把握し、今後の移住施策方向性を導き出すことができました。副業・兼業人材と一緒に仕事ができたことはチームにとってよい刺激になりましたし、プロジェクトの進捗管理にもつながりました。今後は他部署とも情報を共有することによって、次の戦略策定・実行のステップにつなげていきたいと考えています。

—— 1つのプロジェクトがこれで終わりではなく、今後につながる素敵なお話をありがとうございました。

◆ ◆ ◆

この取り組みに共感いただけた、参考になったという方は、他の「フリーランスパートナーシップアワード2021」ファイナリストの記事もご覧ください。そして、ぜひ大賞決定の投票もお願いします!

■フリーランスパートナーシップアワードとは
プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が、フリーランスおよびフリーランス活用企業の更なる成長・活躍と、マッチングサービス業界の健全な発展を目的に開催しています。
5万4千人を超えるフリーランス協会会員・フォロワーに、未来に繋がる良い事例をWEB投票で選んでいただき、最も得票数の多かったファイナリストをアワード対象者として表彰します!
最終結果発表・授賞式は、11月1日(月)18:00-19:00にオンライン配信。ファイナリストが勢ぞろいするトークセッションもお届けしますので、ぜひご視聴ください!
▽活用企業部門:雇用形態や勤務場所にとらわれずに多様な人材をチームの一員として招き入れることで事業成長に導いた企業
▽エージェント部門(個人):フリーランスのチカラが最大限に活かせる環境を見出し、マッチングを支援したマッチング企業の担当者
※投票は1人につき1票となります。

▽活用企業部門 ファイナリスト一覧
・株式会社アナムネ
 https://note.com/frepara/n/ndaef15e81b18
・山川醸造株式会社
 https://note.com/frepara/n/n18a59c03e0a8

▽エージェント部門(個人) ファイナリスト一覧
・中谷香織さん(エッセンス株式会社)
 https://note.com/frepara/n/ne9b7dbc662e9
・中西亮太さん(株式会社サーキュレーション)
 https://note.com/frepara/n/n8acb89736bc9
・光宗拓哉さん(レバテック株式会社)
 https://note.com/frepara/n/n394091fc7120


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フリパラ(フリーランス協会公式note)
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