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iDeCoはおトク。だけどフリーランスが加入するのはタイミングが重要なんです

こんにちは。ファイナンシャル・プランナーのタケイ啓子です。
おトクに老後資金準備ができるiDeCo(=イデコ、個人型確定拠出年金)、2017年から基本的にすべての国民が加入できるようになりました。フリーランスで働く人も、もちろん加入できるのですが、自分は始めるべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

かく言う私も加入を検討する時にはかなり悩みましたが、結果的にiDeCoに加入しました。
現在も、月1万円ずつ掛金を出しています。
ただ、加入の決め手は「おトクだから」だけではありません。ファイナンシャル・プランナーとして仕事をする上で、さまざまな金融商品を知る必要があり、その情報収集の一環として加入したという側面もあります。

では、ファイナンシャル・プランナーでないフリーランスの方は、iDeCoに加入したほうがいいのでしょうか
今回は、フリーランスで働く方がiDeCoに加入する際に、気を付けておきたいポイントをお伝えします。

iDeCoの基礎知識 3つの「おトクなポイント」

iDeCoは、おトクに老後資金準備ができる制度と言われています。
基本的な仕組みは、毎月一定金額の掛金を出して運用し、60歳以降に年金として受け取るというもの。掛金は毎月だけではなく、ボーナス月に合わせて年2回などという選択もできます

iDeCoのおトクなポイントは3つあります。

①掛金が全額所得控除
掛金は毎月5000円から、1000円単位で設定できます。掛金は全額所得控除ができるので、所得税や住民税の負担を軽くすることができます。
ただし、加入している公的年金の種類に応じて、月1万2000円~6万8000円の上限額が定められています。

②運用益が非課税
掛金は投資信託などで運用されます。運用して利益が出たら、通常なら20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの場合は非課税なので利益がそのまま受け取れることになります。

③受け取り時も税制優遇

60歳以降に受取る場合、年金として受け取る場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象になります。

このように、おトクなiDeCoではありますが、どのような点に気を付けたらいいのでしょうか。

あくまで年金! 途中引き出しできないものと考えて

iDeCoの正式名称は、個人型確定拠出年金。貯金ではなく、あくまでも年金です。
そのため、基本的に60歳まで引き出せないことは十分考慮して加入を検討していただきたいと思います。

「基本的には」、というフレーズはよく目にしますが、iDeCoの場合はまず引き出せないと考えて間違いありません
iDeCoをやめてお金を受け取るには、脱退一時金の給付がありますが、受け取るには国民年金の保険料免除者になるなどの一定の要件を全て満たした場合に限られます。

ですから、「定期預金を満期前に引き出したことで、金利が普通預金で計算される」とか、「生命保険を途中解約したので元本割れした」、というレベルではないのです。
多少損してもいいから引き出したい、と思っても現金化できるケースは非常に限定的であることに注意が必要です。

会社員や公務員であれば60歳までの収入はある程度保障されているので、60歳まで引き出せないデメリットはあまり大きくはないかもしれませんが、フリーランスは収入の変動が大きくなりがちです。
収入減や突発的なトラブルに対応できる備え=貯蓄が少ないうちは、iDeCoへの加入はまだ早いと考えていいでしょう。

拠出を止めても手数料はかかり続ける

iDeCoは60歳まで引き出せませんが、掛金を出すことをストップしておくことはできます。支出を減らしたい、という場合にはいい方法かもしれません。
しかし、掛金の拠出を止めても手数料はかかります

iDeCoに加入して運用している間には、口座管理料がかかります。支払先は3カ所です。

国民年金基金連合会の手数料:年間1260円
事務委託先金融機関(信託銀行)の手数料:年間792円
運営管理機関の手数料:金融機関によって異なる

また、運用が投資信託の場合は、信託報酬手数料もかかります
これらの手数料が、掛金の拠出をストップしている間も差し引かれていきますので、よほど運用益が出ない限り減っていってしまいます
今月はちょっとピンチだからスキップ、といった理由で気軽にするには損が大きいと言えるでしょう。

必要な自己投資を削らないように注意

それから当たり前のことですが、iDeCoの掛金に出したお金は、他のことには使えません。
フリーランスで働く人は、自分で自分の価値を高めていくことも求められるのではないでしょうか。そのためには、知識や技術の習得、情報収集にお金をかけることも必要になっていくでしょう。

また、人脈を広げるためにさまざまな会合などに参加することもあるでしょう。
そのようなことにお金を使い、仕事の幅が広がって、将来の収入を増やすことにつながれば、とても有意義なお金の使い方と言えます。

老後も大切ですが、せっかく自分の裁量で好きな仕事をしているのですから、可能性が拡がることを重視してお金を使うことも考えたいですね。
老後資金を心配するあまり、必要な自己投資まで削らないようにしたいものです

加入するなら収入の安定&年収分の貯蓄をクリアしてから

フリーランスで働く人は、iDeCoの加入を急がなくてもよいと考えます。
60歳までは引き出せませんし、掛金をストップしても手数料がかかるので、ストップはせずに続けたほうがいいのです。それには、収入が安定して、少なくとも年収分程度の貯蓄は必要。

突発的なトラブルに対処できるよう十分に備えてから、iDeCoの加入を検討しても遅くありません。
そして仕事の発展のためにも、有意義なお金の使い方をしてほしいと思います。

タケイ啓子
ファイナンシャルプランナー(AFP)。36歳で離婚、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職し、営業を経験。その後、保険の総合代理店に転職し、保険の電話相談業務に従事。生命保険の見直し相談や、保険のしくみの解説などを中心に、約1万件の相談に応じる。
順調に思えたが、43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。

タケイさん

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