障がいと共に生きるアーティスト達とそこにある世界を発信するフリーペーパーHugs 2022年初夏号 vol.1
お仕事としてのアート
「その仕事を受け取って喜んでくれる人がいる、そういうところで自信を持ってもらえたら」。そう話すのは一般社団法人アートスペースからふる(以下、からふる)理事長·妹尾恵依子(せのおえいこ)さん。「アートを仕事に」という大きなテーマに向き合いながら、それぞれの表現や魅力をどう見つけて引き出しているのか伺いました。
-どんな活動をされていますか?
妹尾:私たちはアート活動自体を仕事にしているので、毎日どなたかが作品制作をされています。制作した作品やグッズを展示販売したり、作品をレンタルして企業や施設に飾ってもらったり、アーティストが保育園等に出向いて一緒に活動したりもしています。
-職員の方のフォローが適切で、コミュニケーションを大切にされている様子が伺えました。
妹尾:支援ってどこまでしたら良いのかはいつも悩みます。手を出し過ぎると、その人の作家性を侵害してしまうし、逆に関わり方が浅いとその人が何に困っているかに気付けない。支援員は杖やメガネの役割ですから、よく観察して、知って、こういう時には手を貸さないといけないなというシーンを私たちが学習していかないといけないと思います。
-それぞれの方の表現や魅力はどのように引き出しておられますか?
妹尾:繰り返し試すことしかないですね。伊藤恵さんは、今でこそ、店頭に出せばすぐ売れてしまう人気のトートバックの刺繍を担当していますが、それまではもう手が無いっていうくらい、いろんな画材や素材を試しました。でもどれもあまり続かなくて、3年くらいはずっとそういう感じで答えが見つからなくて。
あるとき、本人が布製のバックを持ってきて、そこに付いていた織物の飾りは自分で作ったものだと教えてくれたんです。もしかして布や糸が好きなのかもと思い、刺繍を試したんですね。左手に麻痺があり力が弱いので、最初の頃は刺繍と言うより、とりあえず薄い布に糸を通すだけでしたが、これには飽きなかった。もういいって言わなかったんです。続けていくうちに今では人気のバックをつくる人になりました。布が厚いので、結構力が要るんですが、すごく頑張って制作できるようになりました。本当によかったと感じます。
-からふるさんの活動をどのように受け取ってほしいとお考えですか。
妹尾:おそらく、うちが他と決定的に違うのは、彼らの作品は全て商品であるということ。仕事として制作するってどういうことなのかを時間を掛けて理解してもらおうと意識しています。
もちろん楽しく制作するのもいいのですが、その先に、その仕事を受け取って喜んでくれる人がいる、そういうところで自信を持ってもらえたらと思います。
一般社団法人アートスペースからふる
現理事長・妹尾恵依子さんが主宰していたアート教室が発展し、2014年から就労施設として活動。鳥取市元町の商店街のビルが拠点で、1階が制作、2階が展示スペースとなっている。2019年に「ギャラリーからふる」として鳥取県はーとふるアートギャラリー第1号認定を受けた。
アート作品を発表したい人のためのプチコラム 知ろう著作権!
01:著作権ってなに?
著作権は、作品を創作した人が持っている権利のこと。作品がどう使われるかを決めることができます。とっても大切なことだからこのコラムで毎号まみちゃんと一緒に考えていこう。
Hugs 2022年初夏号 vol.1
2022年6月1日発行
発行/あいサポート・アートセンター
〒682-0821 鳥取県倉吉市魚町2563
TEL:0858-33-5151
FAX:0858-33-4114
E-Mail: tottori.asac@gmail.com
HP: https://art-infocenter.jimdofree.com/
企画・製作/一般社団法人アートスペースからふる
編集/水田美世
撮影/藤田和俊、水田美世(*印のみ)
デザイン/森下真后
協力/鳥取県
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