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デザイナーの社会人遍歴 其の1  VS ブラック印刷会社編。

現在40歳。早生まれなので周りの友人は41歳の年。
人生折り返したという事で、これまでの自分の社会人遍歴を振り返る。

中学生の時から漠然とデザインの仕事がしたいと思っていた。
そのまま高校の進路を決める時になっても、まだデザインの仕事がしたい気持ちに変化は無かった。

世は就職氷河期。これからは福祉の仕事が重要になる。というのと、進路を決める高2の時にあったドラマ、ビューティフルライフ。
水色タンクにベージュのシートのTWに乗った美容師になる!とこの2つの職種が人気だった記憶。

大好きなファッションかそれとも幼少期から大好きだった絵を描く方面か。
まだ右も左も分からないようなガキンチョに毛が生えたような年齢ながら、食っていくには後者かなんて思いデザイン専門学校のグラフィックデザイン科に進む。

デザインなんてちゃんと食っていけるのか分からないような学校に、何も言わずに進ませてくれた両親に感謝。

イラストとグラフィックデザインを学ぶ日々。
初代 iMacがズラーーっと並ぶ教室は圧巻だった。


それまでの大嫌いだった勉強と違って、毎日が美術の授業で凄く楽しかったのを覚えている。


そして就職氷河期世代の就職活動。


と言っても、就職?俺はしねぇよ?なんて本格的に思ってる馬鹿さ加減だったが、のちに人生の親友となる友達が、まじめに就職活動していたので、まぁとりあえず受けてみるか…で受けた印刷会社に友人と共に内定。

初めて担当させてもらったデザイン案件は、鮮明に覚えている。

『春風亭昇太 独演会 マゼンタ/スミ 2色刷りチラシ』

もう20年も前の話だ。
今では、笑点の司会や社会現象レベルだったドラマ 半沢直樹に出演するなどの大物落語家さんに。今でもテレビで春風亭昇太さんを見ると、この事を思い出す。

何回も何回も何回もダメ出し修正の繰り返し。
それでも仕事として『作る』作業はとても楽しかった。

そんな中、いきなり社会の壁にぶつかった。

印刷会社なのでデザインのみではなく、印刷で入稿されたデータを、正しく印刷できるデータに変えて、刷版にまわすという様な業務もあり、夜にきたデータを朝イチ作業・納品できる様にと、新卒入社したての自分と先輩の2人で、日勤と夜勤の交代制で勤務するという事態に。

全員いなくなった会社に入社して1ヶ月程度の二十歳の小僧が、深夜まで一人。なんというブラック企業だ。
それでもなんとかかんとかこなしていたある日、事件が起きる。

画像の色味を長年の印刷知識と感覚でこなす、画像職人の様なおじさんがいたのだが、(トマトの写真をこの辺の数値にしたら、印刷時に美味しそうな赤色のトマトになるといった感じ)その案件が夜勤で一人の時に入ってきた。翌日朝イチで納品しないといけないらしい。

何が何だか分からずに、とりあえずやったが、もちろん超クレームとなる。

その他にも、夜勤中に鬼の様な量の案件が舞い込み、一人で深夜までやるしかない様な事もあったなぁ(遠い目)
この時は、仕事終わりに呑みに行ってた同職種の先輩が、帰りに会社前を通ったら、まだ電気が点いているのを見て顔を出してくれて、もうひとりの先輩も寝ているであろう時間帯なのに家から駆けつけてくれた。会社は超絶ブラックだったが、このお二人の先輩はめちゃくちゃ良い先輩だった。

しかし、こんな日々が毎日続き、どんどん精神が病んでいく。
自分一人しかいない夜に、自分には出来ない案件が来る事が怖かった。


そんな時に更なる事件。

その会社には、白髪のおかっぱ頭で口ひげ、尋常じゃないくらい声が高く、担当業務はチャリで2分の取引先の所に納品するだけという、超絶クセ強おじさんがいた。

こいつは新入社員をいびりまくるのが趣味で、新卒で入社したメンバーは、のちの親友になる友人と俺以外、すでに全員辞めていた。

次のターゲットが俺に。

既に精神が病んでいた俺は、このおかっぱ口ひげ声高おじさんの甲高い声でギャーギャー言われた時に、

──────── ブチ切れた ────────

その辺の物を蹴り飛ばす勢いで。
あの顔を思い出すに、新卒にブチ切れられたのは初だったのだろう。

翌朝、いつもより早く出社して、社長の元に行き、机にバンッと退職届を突き出して、『辞めさせていただきます(完全にキレ顔)』と言った。

するとデザインチームの長に呼び出されて、昨日の件も踏まえて、おかっぱ口ひげ声高おじさんは今後黙らすから考えなおして欲しいと言われるも

『もう決めたんで変えられないです(完全にキレ顔)』

その後、社長とデザインチームの長で、おかっぱ口ひげ声高おじさんを詰めまくったらしい。 その後にその話を聞いて、もう一度考え直して欲しいと言われるも

『もう決めたんで変えられないです(完全にキレ顔)』


そして、コンビニでバイトするよりも断然低い給与の印刷会社を辞めた。
新卒最後の二人となった友人と、第7サティアンと呼んでいた
その会社は数年後には無くなっていた。

俺は、新卒という名のゴールドカードをドブに捨ててしまったのだ。


思ったより長くなったので次回


もうデザインの仕事なんか一生やらねぇ。
古着屋で働きたいよ!編


に続く。


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