幸福日和 #051「呼吸を実感する」
あまりに当たり前過ぎて、
忘れてしまうということがあります。
例えば、呼吸。
その活動が止まれば、
その人の一生は終わってしまう。
それなのに、なぜか無自覚に
日常を過ごしています。
意識しなくてもいいくらいに、
自分の中に溶け込んでいる。
呼吸。
それは喜ばしいことで健全なことだけれど、
時にそんな行為を自分でたしかめてみる。
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大きく深呼吸してみる。
するとどうでしょう。
口や鼻から入った酸素が、
血管を通じて身体中を巡り
体内に行き渡るのがよくわかります。
やがて手足の指先まで酸素が行き渡り、
ふっと全身が軽くなる感覚を覚える。
そして、その数秒後には、
酸素が脳へと到達して、
頭の中に立ち込めていた靄が、
軽やかに晴れわたります。
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「呼吸ができなかった」
という経験があるんです。
その時、酸素マスクをつけていて、
食べることよりも、寝ることよりも、
呼吸をすることに必死でした。
生きて行く中で当たり前のことが
当たり前にできなくなることがあるのだと
身を持って実感した出来事でした。
一つの呼吸によって、
体内に張り巡らされた血管や
臓器の働きまでが左右されてしまう。
ときに周囲の人々の生活にまで影響を及ぼしてしまう。
病床の窓辺から見えた先の、
夜空に広がる星々と同じくらいに、
神秘に満ちたこの体内の小宇宙が、
呼吸ということによって全てが支えられている。
その時に、生命の儚さを知りました。
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呼吸をたしかめる。
吸うときは、小さな鼻で吸って、
吐くときは、大きな口でゆっくり吐いていく。
時に世界と自分との境目が
感じられなくなることもあります。
ただそれだけのことで、
日常の多くの悩みが、悩みではなくなることも。
無意識に日常に溶け込んでいるものこそ、
実は一番大切な役割を担っている。
仕事も人間関係も、
あらゆる全てがそうである気がするんです。
最後までお読みいただきありがとうございます。毎日時間を積み重ねながら、この場所から多くの人の毎日に影響を与えるものを発信できたらと。みなさんの良き日々を願って。