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幸福日和 #072「あたたかい空気の中で」

世の中に人の数だけの想いがあるように、
ある場所や空間にも、そこに溢れる雰囲気や空気というものがありますよね。

空気って、本当に不思議。

それまでは気持ちが晴れなかったのに、
その場の雰囲気で心地よくなったりするものだし。

その場に、優しい想いを持った人が居てくれるだけで、
周囲の雰囲気も自然と暖かくなっていることに気がつく。

✴︎ ✴︎ ✴︎ 

同じ時間を過ごすのであれば、
やはりあたたかい空気が溢れる場所にい続けたい。
そう思うんです。

例えば飲食店に行くとそうしたことを強く感じるんですね。
お店によって店員さんの雰囲気もそれぞれに違うし、
それぞれの店舗の空気がある。

時に、思いが溢れているようなお店に出会ったりすると嬉しくなってしまい、何度も何度もその店に通ってしまうこともあります。
朝にコーヒーを飲みに行って、夕方に同じ店で食事をとるなんてことも。
気がつけば我が家のように、そのお店を使ってる、、、、笑

一時期、あるカフェチェーン店のスープハンバーグが好きで、
週に一度は必ずそのチェーン店のお店に通ってたんです。
いつも行くのは自宅近くのA店、仕事で忙しい時は、やはり同じ系列の
B店、どこにいってもそこには好みのスープハンバーグがある。

そんなある時期、友人のお見舞いのために、病院に通っていた時があって、
その病院の前にも同じチェーン店があるのに気がついて、そこに通っていたんですね。

いつものスープハンバーグをそのお店で食べた時、
そこの味だけはなぜだか、他の店舗では出会ったことのない優しい味がしたんです。

同じチェーン店のはずです。
決められた食材で、決められた調理法でお客さんに提供しているはずで、レシピを変えてるわけはありません。

それなのに、なぜかそのお店は特別な味がする。
優しい味がする。

何度か通っているうちに、あることに気がついたんです。

それはお店の空気が違うということ。
思えば、そのお店の店員さんは皆にこやかで、
病院近くということもあって、利用しているお客さんも患者さんや、
その家族の方が多いんですね。
どんな話をしているのだろうと、聞き耳をたてていると、孫の話だったり、健康がありがたいという話、そんなあたたかい話ばかりが聞こえてきてなんだか微笑ましくなるんですね。同じチェーン店なのに若者の多い店舗や、観光客の多い店舗では出会えないような空気がそこにはあったんです。

なによりも、お客さんが皆礼儀正しいんです。
ある老夫婦は食事を終えてレジへ向かう時、必ず飲み終わったカップやソーサーを丁寧に重ねて、店員さんが片付けやすい場所に食器を移動させてから席をたつんですね。

そうした光景を眺めていると、この店の暖かさというのは、お店の仕組みや店員さんが作り上げているのではなくて、お客さんの温かみが自然と店へと伝わり、提供する料理にも伝わっているのだと感じるんです。

やはりその場の空気というものは
良い意味で伝播してゆくのだと思った。

✴︎ ✴︎ ✴︎ 

人の温かみや、そうした想いが育ててきた空気は、
その場を変えてしまうほどの何かがあります。

あとどれくらい、そうした場の空気に触れることができるのか、
そう思うと毎日が待ち遠しくもなります。

心地いいと思える空気に浸りたい。

そんな場所をつくりたい。

この孤島を、そうした場所にできればと密かに思ってるんです。

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