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「いろんな点を打ったことが、後から線に繋がった」freeeラジオvol.3 写真家/エッセイスト・古性のちさん

3月27日に下北沢「BONUS TRACK」で開催されたイベント、「フリーランスゆるつな会〜オールfreeeデイspecial〜」。確定申告を無事に終えたであろう個人事業主やフリーランスが集まり、“ゆる”〜く“つな”がって一年の労をねぎらうことをテーマとした本イベントは、当日約400名もの方々が集まり大盛況となりました。

イベントでは様々な職種のフリーランスをゲストに迎えたトークイベント「freeeラジオ」を実施。履歴書を書く機会がほとんどないフリーランスの方々に「フリーランスの履歴書」を作成していただき、これまで歩まれてきた人生の変遷を振り返りながら、仕事、お金にまつわる話を聞きました。

▲当日はゲストの他にも、フリーランスの方々の履歴書を展示。それぞれ個性が溢れた内容に、来場者は興味津々。

本記事では「freeeラジオ」、当日のトークの様子をお届けします。
三人目のゲストは写真家、エッセイストの古性のちさん。聞き手はme and youの野村由芽さんです。

それではfreeeラジオ、オンエアです!

心の声を、なるべく守ってあげる

─よろしくお願いします。まずはフリーランスになるまでの経緯を教えてください。

10代の頃からとにかく学校が嫌いで、高校生のときはほぼ不登校でした。私はずっと、学生時代を会社で働くための練習期間のようにずっと思っていたので、挫折してしまったとき、私は会社に所属できないのだと深く落ち込みました。そのときはフリーランスという言葉を知らなかったのですが、自分の力で生きていかないと大人になれないのでは、と思うように。思えば、あれがフリーランスの道の始まりだったのかもしれません。

─自分の生き方を探っていかなければならない、という意識が生まれた。

その後、不登校で暇だから外に出歩いていたとき、偶然立ち寄った本屋さんで作家の高橋歩さんの本と出会ったんです。高橋さんは旅人で、写真と言葉を軸にして旅に対する想いや受け止めた感情を書籍にしていました。会社に所属しなくても、生きていける人がいるんだ!と目から鱗。高橋さんみたいに生きたいと思いました。

─今、のちさんがいろんな国をめぐったり住んだりしていることに、繋がっているのですね。

高橋歩さんが世界一周をしていたので、私も絶対に世界一周をするぞ!と。そのとき一度も海外に行ったことがなかったのに、強く思っていましたね。

─のちさんの履歴書を見ていると、美容師の道に行ったり、ウェブライターになられたり、いろんな挑戦をされています。目標は都度、こまめに設定しているのですか?

全然そんなことはないんです。自分の気持ちを言語化するのはそんなに得意ではないですし、目標を立てても大体挫折します。やってみてから、なんでこれをやりたかったんだろうと振り返ってみて、ハサミ一本あれば世界中で仕事ができるから美容師だったんだな、とか、後付けで思うことが多いですね。

─やる前に理由がわからなくても、とりあえずやってみるのですね。

理由はわからない「衝動」って、心の声だと思います。ですからなるべくその声を守ってあげる。それで転々と、職を変えてきました。

身を置きたい場所は、日によって違う

─美容師、ウェブの仕事、デザイナー、ライター、写真など、いろんな職を経験してきたことが、今ご自身にとってプラスになっていると思いますか?

友人や周りの人は、一つの職業でキャリアを積んでいるのに、私はまたゼロから。それもまた途中でやめて、またゼロからを繰り返していたので、劣等感を感じていました。ですが、いろんな点を打ったことは、後からちゃんと線に繋がるんですよ。美容師も、デザインも、ライティングも、写真も撮れる人なんて、真似しにくい。当時はコンプレックスだったのですが、器用貧乏でもその人なりの生き方があるということに納得できて、結果よかったなと思います。

─人生で得てきた経験が、今の仕事に集約されているのですね。のちさんは現在、タイのチェンマイ・岩手を行き来しながら多拠点で活動されています。そうした生活をしているのは、なぜですか?

日によって着たい洋服や聴きたい音楽が違うように、私にとっては身を置きたい場所も日によって違うんです。東京がいいときもあれば、しんどいときもある。そういうときに、自分の心が気持ちがいい場所に住みたくて、多拠点生活を始めました。

─自分の心やテンションにあった場所を選ぶ。

そうですね。書き物に集中したいときは、東京にいるよりは岩手とか。岡山にも家があるので、瀬戸内のそばも気持ちがいい。反対に、誰かから刺激を受けたいときは東京に。海外の人ともっと触れ合いたいときは、チェンマイに。気持ちに合わせて動きたいんです。

─フリーランスで多拠点ということで、気をつけていることはありますか?

体調ですね。体調管理は本当に大事だと思うので、食べるものや寝る時間、運動。精神と体のタフさがないと、多拠点生活している間に、移動で疲れてしまって、仕事のパフォーマンスが落ちてしまうと思います。

仕事で両手が手一杯だと、新しいものを掴めない

─ではここで、freeeユーザーのりりあんさんからお便りが届いています。「のちさんのインスタライブで、昨年全ての仕事を思い切ってやめて、一度仕事から離れたと伺いました。私もフリーランスとして走り続けてきたので一度お休みしたいのですが、仕事がなくなるのが不安で踏み切れません。どうしたらよいでしょう」。

もちろん、仕事が全部なくなるのは不安で、私は去年の6月に仕事を全部手放して、収入がゼロに。一度まっさらにしたのですが、2週間くらい不安で夜眠れませんでした。本当に大丈夫か不安で、意味もなく夜中に目が覚めたり、起きた後も何もすることがない、メールもslackも仕事の連絡がまるできていない事実に直面して、世の中から必要とされなくなってしまったと感じましたね。
すごく不安だったのですが、その2週間を乗り越え、何かが吹っ切れて、人生の夏休みへ。留学中のタイでいろんな国の人たちとお絵描きしたり河原でシャボン玉したり、3ヶ月くらいたくさん遊んで夏休みを満喫しました。

そのときみんなに、仕事がなくて不安だという話をしていたら、手放した分、新しいことがたくさん入ってくるから大丈夫と声をかけられて。仕事で両手が手一杯なときって、新しい何かを絶対に掴めない。捨てたら入ってくることを覚えておけば、大丈夫と言われました。そこから安心して、3ヶ月のニート生活をスタート。その後、仕事を再開させて、今は元通りに仕事をしています。最初怖くても一回手放して、リスタートできることがわかると、その後は何回でも手放せると思いますよ。とりあえず、「不安にはなるぞ」と心構えさえしておけば大丈夫です。

─ありがとうございます。それでは最後の質問です。経理作業のとき、どんな音楽を聴いていますか?

私はモーツァルトを毎回聴いています。人によっては、もしかしたら眠くなるかも……(笑)。
私は集中力が皆無で、何か作業をしながら他のことにも手を出してしまうのですが、経理だけは作業だけに集中しなきゃ、ミスが起こってしまう。集中力に関する本を色々と読んだ結果、モーツァルトの曲は集中力をあげるという研究結果をみて、聴くようになりました。モーツァルトの力を借りて、経理作業を頑張っています。

─古性さん、ありがとうございました!次はSnow Shoveling中村秀一さんにお越しいただきます。おたのしみに!

〈オールfreeeデイ〉
毎月最終水曜日は『オールfreeeデイ』
確定申告の提出期限ギリギリの3月に、領収書の山を取り込んだ経験はありませんか?

【有料ユーザー様限定】で領収書の整理をする“もくもく作業イベント”をオンラインで開催中!『みんなで』税務相談もできます。

開催日:4/24(水)・5/29(水)・6/26(水)
開催時間:AM10時〜AM12時
お申し込みは下記のURLから

〈古性さんの履歴書〉

〈プロフィール〉

古性のちさん(写真家・エッセイスト)

1989年横浜生まれ。写真家・エッセイスト。2016年から世界30カ国を旅し日本に帰国後、タイ・チェンマイに移住。現在約20万人のファンを抱える自身のSNSでは写真と言葉を組み合わせた作品の発表をはじめ、暮らしに関するコラムやエッセイを展開中。若い女性を中心に人気を集める。著書「雨夜の星をさがして 美しい日本の四季とことばの辞典」、2024年5月にKADOKAWAより新書発売予定。

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