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【書評・要約】 Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学

今回はケン・ シーガルの『Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学
』を紹介したいと思います。一見思考法の本かな、と思いますがアップルの歴史にも多く触れており二通りの楽しみ方ができる本です。

結論を一言で

この本の結論は、シンプルさはあらゆるものに適応できる重要な概念だ、です。以下引用を交えて解説します。

シンプルさとは?

そもそもシンプルさとは何でしょうか。感覚的にはわかっているような人も多いでしょうがこの本での定義を確認してみます。

シンプルさを表現するのはむずかしい。それは選択であり、感情や道しるべだ。あなたが足を踏みいれた場所がシンプルさを信じているかいないかはすぐにわかるだろうから、シンプルさは精神と考えることもできる。  シンプルさは、〈頭脳〉と〈常識〉という、ビジネスにおけるもっとも強いふたつの力のあいだに生まれた子どもだ。

ちょっと複雑な言い方ですね。ちなみに私は最後まで読んでもこの定義の表現はピンときませんでした…

だから私は勝手に、シンプルさとは本質だけを残して他をすべて取り払ったものと考えています。

なぜシンプルさが重要なのか

なぜ重要なのか、理由の1つ目は人間が本能的にシンプルさを好むからです。

「選択肢を与えられたときに、正常な人は複雑な道よりもシンプルな道を選ぶ」ということだ。
人は年齢や宗教、文化、政治的信条に関係なく、シンプルさを好む。実際のところ、それは人間に限ったことではない。すべての生きている細胞にその傾向が刻みこまれている。

確かに、物事をわざわざ複雑にしたい人はいませんよね。わかりやすいほうが快適です。

また、もう1つの理由は現代が複雑さに支配されているからです。

技術が発達した現代は情報過多で、多くの選択肢、周りの人の思惑やしがらみ、様々な理論やフレームワークなど非常に入り組んでいて複雑です。

何か一つアイデアを出そうにも形式ばった会議で上層部の顔色をうかがいながらやらなければなりません。

そんな時代にシンプルさは差別化として使えるのです。

シンプルさの具体例

具体的にシンプルさはどのように適用できるのか、本書では10個挙げられています。その中で今回は2つ、日常生活で使えそうなものを選んで紹介します。

・Think Brutal (容赦なく伝える)

要は素直に思っていることをすべて伝えることです。良いことも、悪いことも。変に隠したり、嘘をついてお世辞を言ったりすることは複雑さにつながります。

率直さはシンプルであり、あいまいな言い方は複雑だ。

率直に伝える、伝えてもらうことで、自分が今どこに立っていて、何が目標で期限はいつなのか、何が成功で何が失敗なのかが明確になります。

そして明確さは、集中力の100%を前進する力にそそぐことを助けてくれます。腹の探り合いや顔色を窺って行動するかどうか考えることは本質的ではないため、省くべきです。これは『エッセンシャル思考』とかなり似た考え方をしています。ぜひこちらも読んでみてください。


ちなみにこれはビジネスだけでなく人間関係全般に言えることです。何か不満があるなら率直に伝えてみましょう。逆に、良いことがあったら率直に称えましょう。


・Think Casual (カジュアルに話し合う)

伝えることの大事さを紹介した後は、その伝え方の紹介です。この章の結論は、形式ばったやり取りはやめて、大事な本題だけに集中しようです。

シンプルさはせっかちだ。いきなり本題に入って、大事なことに集中したがる。それはプレゼンターが説得力のある話をするべく準備に費やした時間を侮辱しているわけではなく、プレゼンターが話そうとしていることが往々にして過分だからだ。多くの人は言葉数を増やせば自分の賢さを示せると誤解しているが、実際はその反対であることが多い。

プレゼンだけでなく、例えばビジネスメール。これは形式ばった典型例です。挨拶や敬語、書体などに気を付けることはもちろん大事ですが本質ではありません。伝えたいことに集中し、そのあとで気を付けるべきです。また仕事が山のようにあるなら、そんなところに気を配るべきではありません。


また上にあげた例だけでなくシンプルさは何にでも適用できます。悩んでいる方、困っている方などは以下の言葉を念頭において、自分の環境を考え直してみてください。

シンプルさはさまざまな形をとる。それはアイデアにも製品にもなるし、インスピレーションにも、最終結果にも、一連のプロセスにもなることができる。なぜなら、シンプルさはものではなく概念だからだ。それは、あなたの仕事や、まわりの仕事、会社全体の運営のあらゆる部分に対する物の見方なのだ。ひとたび、世界をシンプルのレンズで見はじめれば、自分たちのビジネスを向上させる機会がたくさんあることに驚くだろう。


まとめ

・シンプルさは集中できるという点で重要

・シンプルさは現代において差別化にもなる

・シンプルさは何にでも適用できる

以上がケン・シーガルの『Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学』の要約です。

最後に、本書の巻末についているスティーブ・ジョブズの言葉を紹介したいと思います。

シンプルであることは、
複雑であることよりもむずかしい。  
物事をシンプルにするためには、  
懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。  
だが、それだけの価値はある。  
なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、  
山をも動かせるからだ。  
――スティーブ・ジョブズ

紹介したのは内容の一部ですので、気になった方は是非買ってみてください。ちなみに本書では、アップル以外の企業(インテルやデル、マイクロソフトなど)を複雑な企業としてかなり痛烈に批判しているところも見どころです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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