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お前は真の納豆を知っているか

 労働に勤しむ日以外の昼食には大体納豆を食べている。納豆は健康食と言われているだけあり、栄養価が高いから習慣的に食べることはヨシとされているが、現在夏休み中である私の身には毎日のように納豆を食べることがだんだん苦痛に思えてきた。要は飽きたのである。

 そんなら食べなきゃいいという話であるが、冷蔵庫には未開封状態の納豆が充満しており、わが家は自然派倶楽部系の生協から定期的に納豆が配達されるため、食わずに放置しておくとやがてパックでジェンガを形成出来るぐらいの量の納豆が家に存在してしまうことになる。そんなのは嫌だ。ちなみに生協の注文権利を有しているのは親であり、惨めで哀れなこどおじこと私は納豆の定期配送を中止することもできない。

 故にどうにかして納豆を食べなくてはならないわけだが、やっぱり毎日のように食べていると流石に飽きてくる。しかも生協の納豆というのは(それが生協特有のものなのかどうかは知らないけど)とにかくタレの味が薄い。いちおうタレとカラシが小さい袋で付属してはあるんだけど、それを混ぜてもいまいちパンチに欠けるというか、味覚的に大豆の淡白さが先行してしまうような印象がある。

 だから何回か、ネギを入れたりポン酢を入れたり、キムチを入れたりラー油を入れたり、マヨネーズを入れたりオリーブオイルを入れたりお母さんこだわりの肉じゃがの煮汁を入れたり天下一品の廃棄スープを入れたり夏休みに隣家の少年が必死に育てた朝顔の花弁から美しく滴り落ちる雫を入れたり『ねるねるねるね』のあの例の液体を入れたりラジバンダリしたわけだが(今回あまりボケる隙がないので「2023年に『ねるねるねるね』とかラジバンダリで笑わせるのは絶対不可能だろう」と思いつつ無理やりにでもねじ込んでしまった、という筆者の最悪な自己顕示性が遺憾なく発揮されている)、やはりそれでもどうしても満足感が得られない。

 なぜか。おそらくそれは私が(半ば強硬的に)推察するに、生協の納豆とスーパー等で売られている納豆には明らかな味の差異が存在するからだ。
 だいぶ前に親が生協の注文を怠り、納豆を切らしてしまったことがあった。それでまあ今回はやむなし、という感じで親が苦渋の面持ちでスーパーで納豆を買ってきて食べたことがあったのだが(一体なぜスーパーで納豆を買わなくてはいけないだけで親がそんな苦悶に満ちた表情になったのかはわからなかったけれど)、タレが濃い、旨味がある、普段生協の質素な味わいに慣れているともはやジャンクフードを食べているんじゃないかと錯覚するぐらいの深い恍惚感がそこにはあった。

 かなり雑に簡潔にまとめるならば、生協の納豆のタレは味が薄い代わりに化学調味料的なものが入っていなくて健康的、それに対しCMなどで宣伝されてる納豆のタレは味が濃くて人間の味覚を満足させるけどその代償として何らかの身体に悪影響を及ぼす化学的何かが入っていそう、ということになる。
 もちろん生協のものにも有害性のある何かが含有されている可能性やスーパー等で売られているものに全く何も有毒性のあるものが入っていない可能性も否めないが、世間一般的、世俗的な感性で考えるならば前述したようなイメージがマジョリティであるだろう。

 ここで私は思うのだが、たまにTVショーで「納豆大好きで~」と喧伝するようなアイドルがいるが、果たして貴殿は本当の納豆を知っているのか?という懐疑が沸いてきてしまう。
 どうせスーパーで買えるような味覚がお子ちゃま向けの納豆食ってんだろォ~ん?とまでは言わないが、貴殿は本当にほぼ味のしない納豆、納豆の真髄を味わったことがある上での発言なのかえそれは?ということである。

 昔ながらの下町なんかには今も藁に包んだタイプの納豆を売っている店もあるようだが、そういう店で買った納豆こそが純正の納豆なのであり、スーパー等で売られている納豆も納豆であることには間違いないが、果たしてその納豆だけを食っていて真の納豆好きを名乗る資格があるのか?お前に……ということである。



 まあそんなこんなでいろいろ訳のわからんことを書きましたが流石に僕も生協の納豆には飽きたし、腹も減ってきたんでこれから

コンビニに納豆巻を買いに行ってこようと思います。



おしまい

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