ふらぺち伊乃

ラブコメが好き。文字を書くお仕事がしたい。 ꒰ icon : キラキラ鱈メーカー3 ꒱

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雨降り王子は、触りたい 第三話

ただの友達?  数学が終わって、自分の教室に向かっているところ。  すれ違いざまに廊下で呼び止められた。 「おい、赤髪」 「なに……って、チャラメガネ王子か。あ、ちがうわ。ニキビメガネ王子だ」 「それだよ、それ。あんたのせいで出来たあだ名らしいな。……許さねえ」  ──あの日、雨宮の秘密を知った日。私が教室に戻ったのは、昼休みが終わる五分前だった。  席に着くとすぐに、クラスメイトに詰め寄られて……「どうだった?」としつこく聞かれたものだから、私は答えたんだ。  「あ

    • 雨降り王子は、触りたい 第二話

      あんたが原因   驚きを隠せていない私に構うことなく、雨宮はメガネを外しゴシッと腕で乱雑に涙を拭っている。  メガネをかけ直した雨宮は再びこちらに視線を向けたかと思うと、いつもの如く冷たい声を発した。 「話しかけんなって言ったよな?」 「ご、ごめん」  反射的に謝った私は、思わず雨宮から目を逸らした。  これ以上、雨宮の涙を見たくなかったから。  なんで、なんで……  疑念に駆られる私に対して、雨宮はくるりと背を向けた。  そしてこの場を後にするつもりなのか、一歩を踏

      • 雨降り王子は、触りたい 第一話

        <あらすじ> ごく普通の女子高生、小暮江麻にはどうしてもムカつく相手がいる。 それは "チャラメガネ王子"という何とも微妙なあだ名で呼ばれる男、雨宮蓮衣。雨宮は実際チャラいわけではなく、”女嫌い”として有名だ。 移動教室のたびに腹の立つ態度をとる雨宮にもう関わらないと決めた江麻だが、たまたま涙を流す雨宮を目撃してしまう。そして雨宮が”女に触れると涙が出る”という特殊な体質であることを知る。 正義感の強い江麻と、実は優しい性格の雨宮。お互いを知り、徐々に惹かれ合う二人。 江麻に

        • モテるのがしんどいので男子校に入学したら、女子がいた 第三話

          悪魔  聞こえないふりなんて、無駄だった。  初めて来た体育館裏は雑草が生え放題で、狭くて、何だか想像とは違った。もっと明るくて開放的なものだと思っていたのに。  ……なんて、そんなことはどうでもいい。  結局ジャズの演奏には何も集中できないまま、十分休憩に入って。休憩になった瞬間俺はこいつ──麻央に捕まってここへやって来た。  それにしても、強引に引っ張られて来たんだが……想像以上に力が強かった。  やっぱりこいつが女子だっていうのは、俺の思い違いか?……そうであってく

        雨降り王子は、触りたい 第三話

          モテるのがしんどいので男子校に入学したら、女子がいた 第二話

          察知 「爽良ちゃん休みだって~」  チャラついた声が落ちてきた。学校に着いて早々話しかけてきたのは、同じクラスの稲島光騎だ。  光騎は毎日「彼女ほっしー」と騒いでいるちゃらんぽらん野郎。肩くらいまで伸びきった金色の髪をしていて、見たままのだらしない奴。  今日も寝癖ついたままだし、シャツのボタン開き過ぎだし……こいつの場合は突っ込むときりがないので、もはや世話を焼く気にもなれない。  光騎がわざわざ爽良の休みを報告してきたのは、俺と爽良がいつも一緒にいるからだろう。  

          モテるのがしんどいので男子校に入学したら、女子がいた 第二話

          モテるのがしんどいので男子校に入学したら、女子がいた 第一話

          <あらすじ> モテることに嫌気がさして男子校に入学した箕川恭平は、女子のいない平穏な日々を送っていた。しかし、ある日いつも隣にいた友達、爽良から「オレ、女なんだ……」と衝撃の事実を明かされる。恭平は入学当初からポンコツな爽良の世話を焼いていたが、今後どういう距離感で接していいのか頭を抱える。 翌日、爽良は月経痛で学校を休んだ際「爽良くんに返しといてもらえません?」と見知らぬ男子から体操服を渡される。名前は麻央。これまでだったら麻央に何の疑いも持たなかったが、前例を知ってしま

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          禁断恋愛シンドローム 第三話

          第二話はこちら https://note.com/frappucc_ino/n/n70ebc6ba4b3b キスをするには、  ……噴火しそう。  ぐらぐらと煮えたぎってる血液が、もういつ頭から噴き出してもおかしくない。  目を閉じてるから凪岐くんの顔は見えないけれど、またきっと悪い顔してるんだろうな。  私の肩を掴む凪岐くんの両手に力が加わると……凪岐くんとの距離がなくなっていくのを感じる。  触れそうな身体。  もう絶対、私の心臓の音、聞こえてる。 「……もっと

          禁断恋愛シンドローム 第三話

          禁断恋愛シンドローム 第二話

          第一話はこちら https://note.com/frappucc_ino/n/nb6f7698ac01a ドキドキするのは、  屋上。生暖かい風が吹き抜け、凪岐くんのアッシュグレージュの髪がふわりと揺れる。  改めて真正面から見た凪岐くんの顔面は、恐ろしく綺麗なものだった。  シャープな輪郭に、通った鼻筋。綺麗な二重のアーモンドアイ。  口角は元から上がっていて……まるで作り物みたい。  そんな顔面に加えて凪岐くんは、少し着崩した制服や気怠そうな雰囲気に色気がある。

          禁断恋愛シンドローム 第二話

          禁断恋愛シンドローム 第一話

          <あらすじ> 高校二年生の菅原桃子は、衝撃的なシーンに遭遇する。それはクラスメイトである水篠凪岐と音楽教師のキスシーン。 ドキドキと速くなる心臓に、恋愛経験のない桃子は「これが恋……?」と思い込む。 猪突猛進な性格の桃子は、二人が付き合っているのかを確かめるために凪岐を呼び出す。すると「俺は、禁断の恋が好き」と、わけのわからない発言をされてしまう。大抵の人間ならここで引くが、桃子は違った。凪岐が普通の恋愛をする気のないことを知ったので、満足してもらえるような刺激的な作戦を考

          禁断恋愛シンドローム 第一話

          お兄ちゃんって呼ばれたい! 第三話

          第二話はこちら お兄ちゃんって呼ばれたい! 第二話ふらぺち伊乃 (note.com) 怪しいです 「お前、すでに目付けてたのかよ。さすがだな」  後ろから瞳の声が聞こえた。まだいたのか、こいつ。すっかり存在を忘れていた。  ぽんっと肩を掴まれると、俺は小鼻をうごめかす。 「なめんなよ俺のイモ子への愛」 「ドヤ顔うぜぇ……で、どこの誰なん?」 「立花の妹だよ」 「え、立花の?」 「おー」 「……あいつって妹いたっけ」  瞳がぽそりと何かを呟いたが、俺の耳には届いてこな

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          第一話はこちら お兄ちゃんって呼ばれたい! 第一話ふらぺち伊乃 (note.com) ブレないバカさが好き  朝は時間ギリギリまで寝て、最低限の身支度をしたら、コーヒー牛乳を飲むのが俺のルーティンだ。毎日早朝から仕事をしている両親から生まれたとは思えないくらい朝が苦手な俺は、ボーッとダイニングの椅子に座る。  今日は週明け。あの子と出会ってから初めての学校だ。  ……立花の妹、可愛かったな。思い出すだけで顔が緩む。朝は苦手だけど、なんだか今日はいつもより体が軽い気がする。

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          お兄ちゃんって呼ばれたい! 第一話

          <あらすじ> 根本貴也(高三)は、可愛くて童顔で小さい妹系女子に「お兄ちゃん」と呼ばれたい。できれば上目遣いで。しかしなかなか理想の女の子に出会えず、静かな学生生活を送っていた。 そんなある日。始業式の帰りにツインテールの女の子、立花浬乃とすれ違う。浬乃は貴也の思い描く理想そのもの。しかし……顔よし、頭よし、モテモテのクラスメイト、立花紫紀の妹だった。 紫紀と友達になり、浬乃に近付こうと試みる貴也。ところが「お兄ちゃん」と呼ばれたい願望について話すとブチ切れられてしまう。貴也

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          寡黙な加治くんの頭の中は、あんなことやこんなことでいっぱいだ 第三話

          グラビアなんかより私を見て?  間もなくしてやってきた電車に乗って一駅で降りると、心実が行きたいと言うドーナツ屋は目の前にあった。  自動ドアを抜けると、甘い香りとコーヒーの香りが鼻腔を擽る。 「食べたいの、決まってるんだぁ」  そう言った心実はトレーとトングを手に取ると、にこりと笑みを零した。  こういった場所に慣れていない加治は、慌てて心実の動きを真似る。  一目散にピンク色のなにやらたくさんトッピングが施されたドーナツに手を伸ばす心実に対して、加治は一番シンプルな

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          第一話はこちら 寡黙な加治くんの頭の中は、あんなことやこんなことでいっぱいだ 第一話|ふらぺち伊乃 (note.com) よかったら、お礼させてほしいな  愛芽の告白から一夜が経った。今日は朝から学校中が、いつも以上に加治の話題で賑わっている。   「愛芽ちゃんが加治くんに告白したって聞いた!?」 「ね!愛芽ちゃん、さすがだよね~」 「経験豊富そうだし、なんかお似合いだわ」 「でも保留らしいよ」  話題の内容は、愛芽が加治に告白するも付き合うまでには至らなかったというこ

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          <あらすじ> 高校一年生の加治大志は、校内でとても有名だ。 理由は二つ。①ものすごくイケメンだから。 ②イケメンなのに学校でグラビアを凝視しているから。 加治は顔が良いものの、変態認定されているのでまるでモテない。 グラビアを見てあんなことやこんなことを妄想する日々を過ごしている。 しかしある日、女子にも男子にも人気の高いギャル百沢愛芽に告白をされ、加治を取り巻く環境が変わる。 変態である加治のことを好きだと公言することへのハードルが一気に下がったのだ。 変態でもいい。変態

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