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テナント保護措置 ✖️ Pinot Grigio

4月3日の投稿で、国交省から、ビルの所有者に対して、テナントに対する賃料の支払いについて柔軟な措置の実施を検討するよう要請が出された旨、コメントしました。
それを受けて、「丸の内の大家さん」三菱地所は丸ビルや新丸ビルに入居するテナントの賃料支払い猶予を認めたり、イオングループは3〜4月の賃料の一部を減免したり、徐々に対応が出始めました。
ただこれは、いずれも余裕のあるオーナーだからこそ出来た技。
彼らには、日本の不動産賃貸ビジネスや小売ビジネスを背負っているという自負や責任感もあったのでしょう。

一方、なかなか中小のオーナーには浸透しませんでした。
それに政府や都道府県からいくら給付金・協力金を受けても、本来最重要視すべき人件費として使われず、費用としての家賃に使われて、人々の不安がなかなか解消されないという問題もありました。
勿論、オーナーも家賃でご飯を食べている訳なのですが、相対的に考えて社会的弱者なのはテナントの従業員であることがほとんどでしょう。

そのような中で、今回新しく報道されているのが「テナントから賃料を減免した場合、その損失額を損金算入できる」というものです。
「損金算入」とは税務上の課税所得を小さくすることができるということ、つまりオーナーの立場から言えば、税金の支払いが少なくて済むということです。
これはオーナーに対して、政府が賃料減額分の6割程度を穴埋めをしていることと同義になります(私の理解&計算が正しければ!)。
大きな一歩と言えるでしょう。
問題はオーナー側の受け取り方です。
税金の支払いが少なくて済むとは言え、賃料を減額したうちの4割程度は自らの利益が減る訳なので、少しでも利益を減らしたくないと考えるオーナーは応じないでしょうし、その程度であれば…と許容できるオーナーは条件を飲むでしょう。

ただ、今我々に求められているのは「痛み分け」です。
ダメージの大小は違えど、従業員<飲食店<オーナー<政府…と全ての段階において痛みを分散していく必要があります。
飲食店やそこで働く従業員は大きく傷ついている、政府もそこまで余裕がある訳ではない(ケチとか、新札を刷れば良いとか、感情論で言う人もいますが…)となると、オーナーに何とか理解してもらうしかない、ということになります。

幸いにもここ数年の日本の不動産賃貸マーケットは非常に好調でした。
この騒動が2〜3ヶ月で済むと考えれば、その数年で積み上げてきた利益のうちの数%が毀損する、恐らくその程度の「浅い傷」で済むでしょう。
なので、赤字が継続しているテナントのことを考えて、できれば賃料減免を受け入れてあげて頂きたい。難しければ、せめて支払い猶予でも構いません。
切にそう思います。

もう一つあります。投資家に対してです。
上場している企業の背後には株主や債権者等の投資家がいます。
企業の経営陣はその投資家に対して善管注意義務や忠実義務を負っています。
ですので、企業が容易に賃料を下げにくいことは理解できます。
投資家からのプレッシャーがありますから。
昨今それら投資家が企業に求めてきたのが、SDGsやESGに対する取り組み姿勢です。
SDGsやESG、つまり皆んなで団結して持続可能な社会を作り上げて行きましょうという指針ですが、その中には「Social(社会)」という項目も大きく取り上げられています。
具体的には、労働環境の改善や従業員満足度の向上、社会貢献等が挙げられます。
私個人の意見としては「テナントとの共生」もここに含まれて然りだと思いますし、現状においては社会貢献に繋がるものだと考えています。
仮に、賃貸ビジネスを営む企業がテナントのために賃料減免措置を採ることに批判的な意見を挙げる投資家がいるとしたら、それこそこれまであなた方が強く企業に求めてきたSDGsやESGって何なの?という話になりかねないと思います。
賃料減免措置は受け入れ難いとしても、性善説で考えれば支払い猶予措置は企業業績のいわゆる「期ズレ」ですよね。
だから、ぜひ投資家にも理解して欲しい。
ファンド・マネージャーの成績が1ヶ月〜数ヶ月単位のパフォーマンスで決まることも知っています。今回のショックで損失を出してしまって、その補填に余裕がない投資家もいるでしょう。
また、投資家も更にその背後にいる投資家の資金を受託して運用していることも分かります。
でも、それでも分かって頂きたい。

この国難を乗り越えるには、皆んなで支え合って、損失を吸収していくしかないのです。


さて、熱くなってまた話が長くなってしまいました笑
本日のワインは、オーストラリア・ビクトリア州モーニントン・ペニンシュラのPinot Grigioです。
「ペニンシュラ」とある通り、周囲を海に囲まれた「半島」にワイナリーが点在しています。メルボルンからも車で1時間強の距離にあり、マリンスポーツが盛んです。
ワインのエチケットもまるで海をイメージしているかのようなブルー。一見、マリンボーダーのような柄ですが、よーく見ると英語で「MORNINGTON」と横に寝かせて書かれているのが分かります。

海のミネラル柑橘の爽やかさ、ほろ苦さがある。
良く冷やして、海辺のレストランのテラス席で飲みたいワインです。
私だったら、「ウニと甘エビのカッペリーニ(冷製パスタ)」や「鯛と八朔のカルパッチョ」なんかと合わせるかなー。
夢が膨らむワインです。


以下、飲食店様向けに提供している「無料ソムリエ」の概要です。
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■ お店が東京都港区、中央区、千代田区、新宿区、渋谷区に所在していること。
■ 料理のジャンルは問いません。
■ ワインも1本1,000円台から、最近流行りのオレンジワインも大丈夫です。
■ コンサルティング料として金銭的対価は不要です。
  代わりに料理を食べさせて下さい。
  食べないと適切なペアリングはイメージできませんしね!
  月イチとかでなく、相談に乗るごとで結構です。
■ コース料理の方がペアリングは考えやすいですが、そうでなくてもOKです。
■ コンサルティングできるのは基本的には平日夜、もしくは土日祝となります。
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ご興味のある方はメッセージお待ちしております。
※ 実質的には足元の騒動が収まってから宜しくお願いします!

私がnoteを書き始めるキッカケとなったこちらのページも是非ご覧下さいね。


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