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ウクライナ・マネー(ローンダリング)

バイオラボ

米国務次官ビクトリア・ヌーランドの議会での答弁が露のウクライナでの動きを今までと違った観点から見るきっかけとなったのではないかと思う。要は、ウクライナには米国防省(ペンタゴン)が出資・運営しているバイオラボが存在し、それらに保管されている情報が露の手に渡ると宜しくないとのことで、のうのうと暮らしている米国民にとってはショックだったのではないかと思う。のうのうと暮らしている庶民の他に、何名かのオオモノも反応している。個人的に気になったのは米元議員トゥルシー・ギャバ―ド(民主党)の反応。

というか、ギャバ―ド氏の反応(ツイート)に対するミット・ロムニー米議員(共和党)の中々感情的な反応だ。

波風立てられると、都合が悪いのではないかと思えてくるのだが、それもそのその筈。これは単純に『ロシアン・プロパガンダ』の牽制なのではなく、ロムニー議員の恐怖の表れなのだ。少し歴史を振り返ってみよう。
2011年10月6日、米大統領選挙出馬をしていたミット・ロムニー氏(共和党)が国家安全アドバイザリー・チームを公表。24名から構成されているこのチームにコーファー・ブラック氏も名を連ねている。実は、ブラック氏は、ロムニー候補の2008年大統領選挙出馬時にもアドバイザーとして側にいた人物なのだ。元CIA職員の同氏は1999年、当時のCIA長ジョージ・テネットによりテロ対策センター(CTC)長に昇格させられ、ブッシュJr大統領任期中にもテロ対策に携わっていた(あの9/11の時も、CTCの長を務めていた)。9/11後にも(2004年まで)CIAで務め続け、米のアフガニスタン侵入を計画にも参加している。2011年のミット・ロムニーによる指名当時は、既にブラックウォーター(現:コンステリス)の役員を務めていた。ブラックウォーター自体も中々面白いので、別途、機会があったら詳しく調べるみるとしよう。話しをコーファー・ブラックに戻すと、2017年にウクライナのブリスマ・グループ(非上場、天然資源(シェールガス)扱う企業)の社外取締役に就任し、成長戦略等を担当する。

ブリスマ

ブリスマといえば、現米大統領(当時は副大統領だった)ジョー・バイデンの息子ハンター氏も務めていた話題になっていた。ハンター・バイデンがブリスマの役員に任命されたのは2014年4月。そして、偶然にも同じ2014年の4月(21日)、当時のオバマ政権がウクライナ向けのクライシス・サポート・パッケージを発表。これにより、米がウクライナに取り急ぎ$5千万の支援をし、この目的はウクライナの民主主義、即ち選挙・憲法改革、経済支援、エネルギー安全、汚職防止等々の改善と強化が示されている。

後に、ブリスマの捜査を担当していたのショキン検察官を外しルツェンコ氏を検察官に指名し、且つブリスマ捜査を止めさせたのは外ならぬジョー・バイデン米大統領なのだ(バイデン一族のカザフスタンや中国でのやり取りについてここでは触れずにおくとするが、それもそれで中々興味深い内容だ)。更に面白いのは、この件にトランプ米第45回目の大統領に近いジュリアーニ弁護士も着目し、ブリスマと米支配層の関係に纏わる情報の公開においても一役を担っている(大統領二期目の選挙を控えているトランプ氏の情報キャンペーン考えるとありがたい材料であることは間違いない)。中でも、ジュリアーニ氏自身がリンゼイ・グレーム米議員(共和党)への手紙が面白い。

この手紙の趣旨は、ウクライナにブリスマ関係で証言できその意思もある人物が何名かいるが、駐ウクライナ米大使館が彼らへのビザ発給を頑なに断っているとのこと。リンゼイ・グレームがこれに対し何ら対応をとっていないことと、ジュリアーニ氏が数ある共和党員の中からわざわざグレーム議員を指名し、手紙を公にしていた辺りからの推察になるが、グレーム議員もブリスマの恩恵を受けていたのではないかと思えてくる。ただ、ジュリアーニ氏も弁護士なんだから、本気で裁判までもっていき、証言したいウクライナ人をその場に出したかったのだったら他の手段をとったのではないかという疑問も残る。

終わりに

もう少しブリスマ関連で。オバマ大統領の二期目に国務長官を務めていたジョン・ケリーという名の人物がいた。この人物に関連するローズモント・セネカという会社があった(現在は非稼働の様だ)。ブリスマが、モーガン・スタンレーを使い、ラトビア経由でローズモント・セネカに2014年11月∼2015年一月間、45回にわたり合計$350万を振り込んでいる。そして、ローズモント・セネカからハンター・バイデンを含む数名に転送されていた訳だ。つまり、バイデン一族だけでなく、ケリー一族もブリスマの恩恵を受けていたのだ。時を同じくして、ケリー一族の他に、米下院議長ナンシー・ペロシ―息子ポール氏もウクライナに進出していたエネルギー会社の役員を務めていたこれも偶然だろうか?調べると、他にもシフ、マケイン、ミュラー、クリントン等々と何かとウクライナに関係があると分かる。

要は、米支配層にとって、地政学的な観点・反露主義の観点(露を打倒した先には世界制覇があると個人的に思っている)の他に、ウクライナの地に私的利害もあり、プーチン大統領の動きによってこの辺の雰囲気が壊されるとやはり気に入らない筈だ。もしかしてプーチン大統領は、露の国益だけでなく、欧州のパワーバランスだけでなく、ウクライナを、いや、世界を救うための闘いを繰り広げているのではないか?

今日はここまで。


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