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どうなっている?西側vs露 最終回(とりあえず)

前回は、露が何を主張しているのかについて書いた。そして今回は西側の反応についてもう少し詳しくそしてウクライナの立ち位置について考えてみたい。

 まず、露の安全保障に関する条約案に対し、米とNATOが今年の1月くれに回答について。余談だが、これら米とNATOの回答がスペインのEl Pais紙にリークされていたが、これが本物だと米国務省報道官のプライス氏が事実上認めた。詳しく見たい方は、上述の露安全保障に関する条約案と米の回答を比較してみるといいが、結論から言うと両側の主張が平行線となっている状況。時を同じくして、米が東欧での軍隊人員を数千人程度増員する計画を立てていると報道され始めた。英米とバルト3国がウクライナへの軍事支援をし始めた。ところで、またもや余談だが、英が継続的に露国内の様々な活動に多大な資金を費やしていることが大分前から明らかで、英も最早この状況を隠そうともしていない。一方で、西側主要国の国内情勢を鑑みると、ウクライナ辺りで紛争を起こす根本的な原因とまでいかなくてもなぜこのタイミングを選んでいるのかが分かる。 

この騒ぎでのウクライナの立ち位置について書く前に一応、露が西側に要求している安全保障に関する条約案にはウクライナという単語すら出て来ない(一方、旧ソ連諸国という記載はある)。つまり、露からするとウクライナ自体が、露の安全保障を担保する上で今すぐ何等かの対応を要する喫緊の課題の位置づけとなっていない。 

で、ウクライナに一体何が起きているか?
あまり遡ると長くなるので比較的最近の出来事に集中すると、ウクライナの今の不安定な状況の引き金ととなったのは2014年2月に、所謂色革命の結果当時のヤヌコヴィッチ大統領が落とされポロシェンコ氏が大統領に就任する。この結果を認めたくない露よりの地域が出てくる(クリミア半島、ウクライナ東部のドンバス地方にあるドネツク州およびルハンスク州)。クリミアは、国民投票の結果、露の一部となるがドネツクとルハンスクに関しては一筋縄ではいかなかった。露からの(軍事を含む様々な)支援のもと、ウクライナと対立しながらも最終的にウクライナの一部(特別自治区)として存続する意向がミンスク議定書にも明記されている。このミンスク議定書には露が何かの義務を負うと書かれておらず、基本的にウクライナが国内情勢の安定化に向けてドネツク・ルハンスクと協議をし、両人民共和国を特別自治区であるステータスを定めるべく法整備をすることになっている。ちなみに露とOSCEがこのミンスク議定書の実施をモニタリングする第三者の役割を担っている。つまり露がこの諍いの一員となっていない。 

色々(と書いて「西側の圧力」と読む)あって、ウクライナ側は上述のミンスク議定書を遵守していないどころか、2014年からいままで何度もウクライナとドネツク・ルハンスク人民共和国間で武力衝突が起きている。そしてこの話しが再び炎上してきたのは、米でバイデン氏が大統領に就任したからなのだ(興味ある方は、バイデン族のウクライナでの私的利害について調べてみると良い)。ものすごく表面的に考えると、バイデン政権はウクライナを利用してすくなくとも、露を孤立させるとともに露欧関係の弱化と欧の米への依存度向上(特に軍事面)を図ろうとしていると言える。 

実際問題、露通関当局の集計によると2021年の露―ウクライナ間貿易規模が前年比で22.8%増の120億ドルに達成している。露内務省の集計によると2021年に新規での就労資格取得を受け取ったウクライナ国籍所有者が3万9千人もいた。とても戦争寸前にある国家間経済・人流の関係に見えない。ただ、露がウクライナのNATO加盟とかを許さないだろうし、米もウクライナを駒として使い続けるだとうから、このままいくとウクライナが当面の間、両大国間争いの最前線となるだろう。 

今日はここまで。次回はまた違う話題に触れてみたい。

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