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自分を大切にしたいなら、コスプレを着ること!

近頃「本音で生きる」という言葉をよく見かける。

本当の意味で「本音で生きる」なんてほぼ不可能に近いと思う。まず自分の本音なんて気づいていない人が大半であるし、この世界に「人間関係」というものが存在する以上、本当の「本音」は難しいだろう。

そんな中でも、「自分を大切にしたい」という気持ちはよく分かるし、そういう文脈で「本音で生きる」という言葉をつかうことに対しては「そうだよねぇ」と思う。無理して何かの基準に合わせたり、空気を読むのは疲弊する。

では、自分を大切にしながら(バランス良く本音を出しながら)社会を上手く渡っていくにはどうしたら良いんだろう。

最近、「どんな心持ちで新卒時代を過ごしていたのか」と聞かれる機会が多いので、まとめてみた。

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毎日「コスプレを着ている」と思って出勤していた


これは、長くて先が見えないなあと思っていた新卒時代に思いついたこと。たとえば新入社員のときは、「新入社員のコスプレ」を着ていると思っておけばいいんじゃないのかな!と。

新入社員っぽく、ちょっと早く行って掃除をしたり、張り切って準備をしたり。「でもこれはコスプレで、本当は面倒だと思ってるけど、今はコスプレ着てるから楽しんでやってるんだ!」と思えばちょっと面白くなりませんか?(笑)

本当はぼーっと本を読んでいることが多くて考えるのもゆっくりな私だけれども、前職で不動産の飛び込み営業をすることになり、そんなことを考えながら日々過ごしていた。「キラキラ営業ウーマンのコスプレだ!」と思えば、テンション高く飛び込めた。

「コスプレ」の考え方を思いついたきっかけは、西加奈子さんの『舞台』を読んで「何かを演じる」という感覚について考えたところからだった。

誰かが何かを演じるとき、そこには自己を満足させること以外に、もうそれはほとんど、「思いやり」としか言えないような、他者への配慮があるのではないだろうか。ー西加奈子『舞台』

それは自分を偽るというとは少し違っていて、それぞれの状況の中で自分の役割を全うするということだと思う。新入社員の役割、営業マンの役割、といった具合に。

もしも私が着たのが、キラキラ営業マンの「私服」だったら、自分の本音を見失って疲弊していたかもしれない。だから、すぐ脱げて、たのしんで着られる「コスプレ」を着ていると思うくらいがちょうどいい。本来の自分を持ちながら、ちょっと場に合わせることができるから。

「演じる」というと「自分を作っている」「嘘っぽい」というどこかマイナスなイメージが付き纏うけれども、実は「演じる」にも色々ある。

西さんはこの小説で「自分の気持ち次第で景色が変わる」ということを描きたかったそう。

チーズやワインを買い込んでフランス映画流しながらお家でフランスごっこしてしまう私は、ある意味自分の気持ちで景色を変えているのかもしれない。(フランス人を演じているわけではないんだけどな・・・)


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