読書記録。~変えられるし変われる~
『敏感すぎて生きづらい人のこころがラクになる方法』
長沼 睦雄・著
永岡書店
HSPを知ってまだ間もない頃。
書店で偶然にも見かけ、2冊並べて陳列されていたところを両方とも購入。
初めて自分で買って読んだ、HSPに関する本でした。
内容は精神科医の視点で書かれた専門的なものがベースですので、心理学を学んだ今改めて読み返すと、
読み始めた当初では気がつかなかった新たな発見が見出せました。
「生きづらさは変えられる」と教えてくれた本
敏感な気質を持っているだけでは、生きづらいとは断定できません。
HSPが生きづらいのは、発達段階での問題など過去の経験や、社会の構造などが原因となっていることが多いのです。
長女だったことや両親が厳しかったこと、自分自身が頑固な性格だったということ、少人数制教育のためにクラス内でのトラブルが肥大化し、その影響をじかに受けてしまった経験…
過去の経験が生きづらさに影響していることは誰でもあるかと思いますが、私の場合は敏感な気質であることがそうした過去の経験による影響をさらに大きくしているのだと思います。
そんな生きづらさを、敏感さのせいにしたり、過去の経験のせいにしたりして、内心より良く生きることを諦めていました。
でも、そんなことをしなくてもいい。変えることができる。
この本はそのように教えてくれるのでした。
過去は変えられる
あの時のあれはなんだったの?私のせいでそんなことが起こったの?
そう思わずにはいられない瞬間を何度も経験しています。
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家に1人取り残された時がありました。
その時は何も事情を知らなかったので、不安で仕方ありませんでした。
その不安が私の想像力をものすごく働かせてしまい…
実はこの家が狙われていて、何も知らない私を犠牲にして皆は逃げているのではないか…とさえ考えていたのです。恐るべし想像力。
しかし家族は普段通り家に帰ってきました。妹の習い事の関係で発表会に行っていただけ。
それを聞いた時点で、「不安で孤独な経験」に事実ベースの事情が加わって、同じ出来事が私の頭の中で「ただの留守番」に変わったのです。
事実自体は変えられないとしても、思い込みによって不安や恐怖を抱いていた過去に対する感情や捉え方は、変えることができるのです。
私は幼い頃から疑り深く、親や先生などに褒められても心から喜べずにいました。
きっとお世辞だとか、「まだまだできるからもっと頑張れ」という意味だろうとか、ここはできているけどあれはダメだと暗に示しているのだ…など。
その背後にはいつも、「この人は私のことが嫌いだから、信用していないから」という思い込みがあり、相手がその気ならと私も相手を信用できない…という悪循環に陥ってしまうのでした。
ですから今でも、たとえ事実を知ったとしてもそれが事実だと納得できず、思い込みがなかなか外れないことが多くあります。
そういった時、「これじゃ昔と変わらない。私はもっとこうなりたい!」という新しい考え方を自分の中に思い描くことができたらと思います。
親との関係と拒食症
この本では、HSPと親との関係や愛着障害に関する解説が多く書かれていました。
私自身、拒食症になってからというもの親をはじめとした家族との関係や家庭環境について考える機会が多くなっていたので、改めて読むことで参考になりました。
自分も過保護な両親のもとで育ったのに、妹が過保護にされていると嫉妬する。
小学校高学年で留守番を頼まれた経験があるのに、中学生の妹が留守番する時に親は過剰に心配する。
両親を怒らせたら家庭崩壊するから、絶対に怒らせてはいけない。
ましてささいな経験1つ1つとっても、妹との小さな喧嘩や言い争いにも勝つことができず自分ばかりが負い目を感じて…それが無意識に自己否定につながっていたのかもしれません。
この本を読んで、そんな自分の自己否定が決して不自然に起こったわけではないのだと自覚しました。
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またこの本では、親との関係と摂食障害についても言及していました。
親との関係が私の持病——拒食症にも関係しているかもしれない。
母親の愛情を拒否した覚えがあるかと聞かれると正直分かりませんが、接すれば接するほど親に負担がかかると思い、できるだけ接点を減らしていくうちに、親からの愛情も受け取ろうとしなくなったのかもしれません。
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だから拒食症に最も効果があると言われているのは家族療法と言われているのだろうと思います。
もちろん、発症年齢が比較的若いからという可能性もあるのですが…
19歳で発症した今、「若くして発症した」という感覚はないものの、これから親との関係を改めて見直す必要があるみたいです。
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だからといって、私の生きづらさは全部私の気質や持病のせいなのだろうか。
家庭環境が複雑なのは、私のせいなのだろうか…というと、この本は「あなたのせいでもあなたが悪いわけでもない」と言います。
高校までは学校の先生に色々な相談をしていましたが、大学生になってからはそのような相談相手がいませんでした。
それが拒食症になってから、大学の保健センターに親以外の相談相手ができました。
親との関係で悩んでいるのに、親に相談するわけにはいかないと思った時。
親ばかり頼るのはどうしても心もとないと思った時。
保健センターの先生や地元の主治医の先生に、思ったことを話すことができる。
それが私自身の自立にも、つながっているのだと実感しました。
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HSPや拒食症について学び、向き合ってきた中で、どうしてもえ家族関係が切り離せない関係であることを実感せずにはいられませんでした。
本当は家族に迷惑をかけたくないので、家族ぐるみで問題を解決するつもりは無かったのですが…
それほどに家族の存在が、心の健康に大きく関わっているということが(嫌というほど)分かりました。
家族との関係を通して生じた課題や問題点、トラウマ等を見つけた時には…
それと向き合いながら、自分の気持ちを十分に受け入れることで、いくらでも改善の可能性はあるのだと思いました。
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