見出し画像

やっても効果がないことを示すためにやるしかなかった

遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
詳しくはこちらのホームページから。

新聞記事に「里山資本主義」や「デフレの正体」の著書で有名な藻谷浩介さんが寄稿されていました。

・毎日新聞「時代の風」 2023/09/24

この中でアベノミクスに対する批判を書かれていますが、後半に書かれた以下の部分に考えさせられました。

注目されるのは、当事者だった日銀の元幹部の、まるで第二次大戦を山本五十六が総括するようなトーンの告白だ。
「効果のないことはわかっていたが民主主義国家である以上、やっても効果がないということを国民に証明するためにも、やれるところまでやるしかなかった」と言うのである。
この発言は以下のような、ある意味で正しい理解を素直に示す。
「無謀な政策遂行の責任は、それを強く主導する首相を支持した有権者にあるのだから、そのツケを国民各自が払うのも仕方がない」と。
だが、安倍氏こそ真の指導者だと浮かれた者たちが、「自分たち安倍氏の岩盤支持層こそが、日本経済を壊した張本人である」と自覚することは、果たしてこの先あるのだろうか。

お寺を運営していると、住職としてリーダーシップを取らなければなりませんが、檀家の代表である役員を無視する事はできません。
しかし、自分が主体的に動こうという方よりも、お寺の取組に対しても「評論家」になる方が少なくありません。
特に新たな取組をはじめる時はリスクを並び立てて、うまくいかなかったらどうするのか、と聞いてきます。
こちらとしては、リスクが分かるならそれに対する対策を一緒に考えてほしい、と言うのですが、そこには踏み込んできません。
そして以前からの方法で今のところ回っているから、それでいいではないか、と言ってこられます。

以前からの取組のままでは悪化する要素があるのでそこを伝えるのですが、「あの役員に代わってから変わった事をやった」と言われたくないためにタッチしてきません。
結果としては以前と同じ事をして、悪化していく状況を改めて示さないといけなくなり、改善のスピードが遅れていきます。

もちろん新しい取組をやったら上手くいくわけではなく、役員が指摘するとおりリスクもあります。
しかし、結局一年くらいは同じ取組のままで「このままでは効果がない(悪化する)ことを示して」やっと動き出すのです。
そして改善の遅れはお寺の運営や檀家の次の世代に悪影響を及ぼしてきます。

藻谷さんがいう指導者の中に、住職も現在の役員も入っている気がします。
その住職と役員の決断のツケを将来の檀家全体がかぶる事になるのです。

残念ながら、住職である現在の私には、将来のお寺のビジョンを具体的に示す事ができません。
ただうちのお寺に限らず、将来の業界の方向性としてお寺の統廃合は避けられない、と感じています。
それが、現状維持や急場しのぎの方法であるならば、檀家も希望が持てずに、ますますお寺との距離ができていくでしょう。
お寺の統廃合をしていった先に、何か一つでも明るい展望があれば、そこに希望が見いだせます。

住職である私自身がすべきことなのは、現状を改善していこうとする手段を提示する事でなく、お寺の将来というビジョンを提示することなのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?