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NO96 運用を知らないFPがすすめる無責任な「ほったらかし投資」

運用(投資)を安直に始めてしまった人たちに向けて書きます。

ウマいFPの山内です🐴
昨今の残念な記事を見て、嘆息と共に記事を書きます。
この記事は決して運用をすすめる記事ではなく、
昨今の ”安易すぎる” 運用のすすめに対して警鐘を鳴らすための記事です。

ちなみにタイトルの「運用を知らない」とは、
「バブルやリーマンショック等でお金を失った事のない」
という意味で書いています。

以前はこちらの記事も書きました。
参考になると幸いです。

✅ 利益を上げ続けるシミュレーション?

本当に馬鹿げている!完全にアウトな「下落・暴落を想定していない運用」


今からとんでもない事をお話ししていきます。
「運用肯定派の人」は読まないでください。

昨今では、
運用積み立てを月に〇円で、運用期間が○年で、
運用利回りが〇%」なら、
元本が〇円で、利益が〇円になり、合計で〇円になるという
記事があり、運用をそそのかすお話が巷でにぎわっています。

実際に証券会社や金融庁でもシミュレーションサイトがあり、
利回りと毎月の積立金額を入力すると、○年後にいくらになると、
計算が容易にできます。

私が最近気づいた、本当に恐ろしいお話ですが、
利回りがプラス、つまり利益を上げている場合のシミュレーションしかできない」サイトが多いです。

上記の2サイトでも試してもらえばいいと思いますが、
利回りをマイナスにするとエラーになります。
金融庁のサイトでさえもこんな調子というのが現状です。
本当に「異常な」世界です。

運用とは常にプラスではなく、プラスにもなり、マイナスにもなります。
中でも暴落という現象は過去に頻繫に起きています。
なので、「運用をする際には暴落も当然想定する」必要があります。

では、過去に起きた暴落を紹介いたします。


✅ 株式市場の暴落の歴史


❎ 1929年:ウォール街大暴落

アメリカのウォール街で起きた暴落です。
この時がきっかけで世界恐慌が起きて、日本でもかなりの経済ダメージをあたえました。

その時のチャートはこちらです。

no96 暴落

最高値から安値までにいたるまでに、2か月間で、約半値になっていますね。


❎ 1987年:ブラックマンデーによる暴落

次にブラックマンデーです。たったの1日で大暴落が起きました。
チャートはこちらです。

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❎ 2008年:リーマン・ショックによる暴落

リーマンブラザーズ(アメリカの大手銀行)が破綻した事件でした。
これを境にして下落基調がずっと続きましたね。
こちらは最高値から底値まで、半分以下の数値になりました。
日本では日経平均が1万8千円から7千円までの下落(60%ダウン)となった最悪な出来事です。

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❎ 日本のバブル崩壊

順序が変わりますが、次にこちらを紹介します。
日本のバブル絶頂期の日経平均の最高値は1989年の38915円。
暴落後に下落基調が続き、その5年後、1995年には15000円(60%ダウン)を割っています。

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❎ コロナショック

最も目新しい暴落ですが、
コロナショックでわずか1ヶ月の間に、株価は暴落し、
日経平均が約24000円から約16000円(33%ダウン)といったところで、
2011年には7人に1人が運用をしていましたが、2020年の家計調査では4人に1人が運用していたため、かなりの大騒ぎをしていたのが記憶に新しいです。
その後は急回復もしましたが。

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私が言いたいことは、
長期で運用をすると何度も暴落を経験するということです。


次に、この話を聞いても運用をする人に向けてお話しします。


✅ 暴落想定シミュレーションをしてみよう


こちらは楽天証券のシミュレーションサイトですが、利回りがマイナスでもシミュレーションができますので、実際にやってみました。
皆さんもいろいろ試してください。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/saving/simulation/


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今回は毎月の積立金額が5万円、利回り-14%、で6年間積み立てたらの想定です。1989年から1995年までの6年間で、60%ダウンなので、利回りは平均マイナス14%(0.86の五乗=0.4)だったので、それに合わせて行いました。

結果は元金が360万円で、最終金額が244万円、約116万円(32%)のお金を失って終了です。

このシミュレーションはたったの6年で、実用性が無いので、
最悪の想定のシミュレーションを今から行います。


45歳の人が日経平均が28000円の時に積み立てで運用をして、
20年後に日経平均が35000円(1.25倍)になる想定をシミュレーションします。
利回りはその時の日経平均の増加に合わせて、
1%のリターン(20年後に1.22倍)で計算します。

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結果は元本1200万円に対して、利益が127万円プラスの、
合計1327万円になりました。

ここまでは問題ないですが、その年に積み立てをやめて、
そのまま運用したところ、大暴落が起きて50%ダウンになったらどうでしょう?

65歳時の1327万円が66歳で664万円になり、

元本1200万円に対して、500万円以上の損失、
退職金で老後資金が賄えられればいいのですが、
運用資金で老後資金で賄う予定の場合は、恐怖以外の何物でもありません。
再び上昇するのを祈りながら待てればいいのですが、
多くの人は泣きながら売却します。
いわゆる「狼狽売り」ですね。

では次のお話をします。


✅ ライフプラニングに資産運用の成績をいれないで!

FPの業務上、ライフプラン表を作成をしますが、
FPの中にはライフプラン表に、利回り2%等の想定で運用結果を入れる人がいます。
今までの内容を理解してくれた人ならわかると思いますが、
これは、「本当にやってはいけないライフプラニング」のうちの一つです。

どうしてもライフプラン表に運用成績を入れたい人は、
暴落想定のライフプラン表を作成する事」をおすすめします。

FPにライフプラン表を作成してもらう人は、
この「暴落想定」を入れてもらって作成を依頼するといいでしょう。
そして、暴落しても老後に生活ができるライフプラン表を作る事をおすすめします。

そのために大事な事を次に述べます。

✅ 大事なのはアセットアロケーション!


アセットとは資産で、アロケーションとは配分です。
株式や債券などのリスク資産と預金などの安全資産の配分の仕方を整える事が重要です。

次の6つの要素が、リスク資産の割合の妥当性を決めます。

① 年齢
② 収入(職業)
③ ライフプラン(将来の収支)
④ 資産残高
⑤ 年間運用拠出金額(家計の収支)
⑥ 投資レベルや経験(暴落時の処置の経験等)

では、順番に見ていきます。

① 年齢 

若いほうがリスク資産の割合が高くできます。
運用は早くから始めて失敗しろと言いますね。
逆に老後に退職金を使って運用をして失敗すると崖っぷちになります。


② 収入(職業)

収入は安定感があったほうがリスク資産の割合を高くできます。
悪い意味で不安定だと、収入が減少した時とリスク資産が暴落した時に崖っぷちです。


③ ライフプラン(将来の収支)

収支が増加傾向にあればリスク資産の割合を高くできます。
子どもがいれば教育費もかかるし、パートナーが正社員からパートや無職になれば収入減が起きるため、ライフプランを考慮して、長期的な視野で投資をする事が重要です。


④ 資産残高

資産残高が高ければ、その分死後の財産が増えるため、リスク資産の割合は必然的に高くなります。
逆に言うと、半年分の支出も確保できていない人は
投資をやっている場合ではないですからね。


⑤ 年間運用拠出金額(家計の収支)

運用に回すお金を拠出できる金額(年間貯蓄額)が高い人ほどリスク資産の割合を高くできます。教育費がかさむ時期に家計の収支が赤字で、
資産を全額リスク資産で運用している人がいましたが、非常に危険です。


⑥ 投資レベルや経験(暴落時の処置の経験等)

最後はこれですね。暴落経験をしていない人はリスク資産を減らすべきだと思っています。

自分の経験上ですが、暴落を経験しない状態ではリスク資産を50%以下にする必要があり、
投資経験を3年以上積んでいる人は、暴落した時に余力のお金でリスク資産の買い増しを検討するくらいの予備知識と心構えがほしいです。

え?私ですか?
私は賃貸用不動産が46%で、預金が17%で、株式37%です。
株式口座のうち、半数は余力資金なので、実際の株式は20%以下です。
暴落時には預金の一部も使って株式を買い増す予定です。
みなさんも自分にあったリスク資産の割合を計って見て下さい。

昨今では
「ほったらかし投資」なんてとんでもないフレーズを聞きます。
投資の大原則ですが、暴落時はパニックで資金を失うのは
資金にも心にもゆとりが足りない人」です。

ほったらかしでいけるほど投資の世界は甘くありません。
多くの人が暴落時に屍になるとき、
少数の金持ちがバーゲンセールで安く買いたたくのが世の常です。

これは私の戯言ではなく、歴史の道しるべです。

今は高値、いつでも暴落が来るかもと認識して、
資産配分の変更を顧みてほしいです。

4人に1人が投資をする時代、
不幸な人が大量発生しない事をお祈り申し上げます!

長文でしたが、今日もありがとうございました~~🎸🙌🐴


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