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黒人音楽のリアル: “The spirit must go on”

自分は、黒人の人たちの音楽が大好きで、
好き過ぎてアフリカまで行っちゃってるんですが、

そこまで大好きな1番の理由は、
「リアル」なところ。

表現者の「リアルさ」に、魂をグイッとつかまれる。

渡米した理由も、彼らの歌声に感じていた「真実味」みたいなものが何なのか知りたかったから。。

アメリカ黒人の彼らが通ってきた道は、日本で日本人として生れ育った自分には、想像もつかない。

今も、暴動が起きてるけど、
アメリカの白人優位な社会構造は根深いし、
それが、ダイレクトに格差になっていて、
日常の至るところに潜んでいて、

街を歩いているだけで、肌の色を理由にリンチにあったり。。

自分が通っていたバークリー音大の黒人の先生達は、みんな、自分たちが黒人として、いかに大変な中を生きてきたか、語ってくれた。

自分の祖父母の話、兄弟や友達の話。。

Hip Hop, Jazz, Soul, R&B, Funk, Reggae, Afro, ...

世界中で楽しまれているこれらの音楽は、
彼らにとっては「自分たちの音楽」で、

「Tomokoも、自分たちの音楽をするのなら、そういう事を知っていて欲しい」ということだったと思う。

今回のGeorge Floydさんが亡くなった件でも、何人かの黒人のアーティストの発言の中に、

「自分たちの音楽を演奏する(黒人ではない)ミュージシャン、DJたち、
今、何も発言しないなら、俺たちの音楽を演奏する資格はないと思って欲しい」

という内容が含まれていたりもする。

彼らにとって、音楽は自分たちのアイデンティティそのものだし、
勝ちとってきたものであって、

葛藤や痛みと共に切り開いたもの。

そこから、新しい音楽ジャンルを次々に生み出し、世界中に影響やインスピレーションを与えていった力は、本当にすごいと思う。

現代の音楽は、彼らの貢献をなしには語れない。

ボストンで参加させてもらっていた黒人教会の聖歌隊のことを思い出す。

毎週水曜日のリハーサルでは、涙を流しながら歌い、それを笑いや喜びに変えて、簡単ではない日常の生活に、また戻って行っていた。

「私って歌うまいでしょ」とか
「すげえ演奏できるだろ」とか、そんなんじゃなくて、

「人生大変だよな」
「また今日も嫌なことあった」
「世の中なんかおかしくねえか?」

「でもみんなで歌って演奏して、一緒に励ましあって生きていこうぜ!」みたいなところに、自分は魂を掴まれっぱなしで、

ご機嫌なサウンドも、ただご機嫌なんじゃない。
いろんな苦難がある上の「ご機嫌サウンド」で、

深みがあって、心にしみる。
ネガティブなところも隠さない強さが、ズシンとくる。

「自分もがんばって生きていこう」って思わせてくれる。。

バークリーで、めちゃお世話になった、Donna McElroyって黒人の大御所の先生がいて、彼女の言ってたことが、ずっと心に残ってて、

「観客は、きれいに着飾った「素敵なあなた」を見に来るんじゃない。
いろんな葛藤や苦難がありつつも、
でも、それを背負ってステージに這い上がるあなたの姿を見に来るんだ」

だから、装うのはやめなさい、ってことだったんだけど、

彼女は、他にもいろんな精神面のメンタリングをしてくれて、
それが、今の自分の根っこにあって、支えてくれている。

39REST”の制作でボストンに帰った時、彼女にお礼が言いたくて、会いに行った。

もう15年以上会ってないし、私のことはもちろん覚えてなかったけど、

彼女の言葉が今も響いていること、
大切なことを教えてくれてありがとうって伝えると、

彼女がまた心に残る一言を

“The spirit must go on.”

だから、自分は語り継いでいかないといけないんだ、と。。

黒人の先生たちは、テクニックとか技術的なことを教える人はほとんどいなかった。

みんな、どういう過程で自分たちの音楽が生まれ、続いてきたのか、「歴史」を大切にしていて、

だから、どういうメンタリティや精神で歌うべきなのか、
「正しい軸」を熱量を込めて語っていた。

音楽的なスタイルに捉われがちな生徒たちに、
「それだけじゃない」ことを、伝えようとしていた。

それが、ブラックミュージックのスピリットなんだと思う。

FOUR LEAF SOUNDが、どうして「リアル」にこだわるのか、
掘っていくと、やっぱりそこには黒人の人たちの生き様があった。

音楽=生き様ってことを、教えてくれた人たち。

自分が彼らの「リアル」に救われてきたように、
FOUR LEAF SOUNDを通して、自分の「リアル」が、誰かの心に寄り添えたら、と思う。

喜びも痛みも、もどかしさも楽しさも。。
泥臭かったり、キレイ事だけじゃない人生。

人生の「リアルな等身大」を表現して、

アメリカの恩師達が、自分に注いでくれたものを絶やさずに、
受け継いでいけたらと思う。

その先に、誰かとの共鳴があって、
励まし合っていける関係を築いていけたら、最高だな。。


Tunisia"
黒人の人たちへの尊敬と感謝を楽曲にしたいとずっと思っていて、
ジャズの定番 “A Night In Tunisia” をカバーしました。
ガーナで学んだリズムを取り入れて、
Chaka Khanバージョンとも組み合わせて、
自分なりのリスペクトを表現してみました。


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