見出し画像

「知名度がない商品を買ってもらうためのチェックリスト12」

私は中身がわからない"謎の箱"「フォーチュンボックス」を販売しています。

知名度はまったくなく、今までにないカテゴリーの商品ですから、どうしたら売れるだろうか、と真剣に考えました。

また、「フォーチュンボックス」は何か緊急性、必要性がある商品でもありません。そのため、工夫しなければ価値をイメージしづらいと考えました。

ですが、私は諦めたくはありませんでした。今は知名度がなくても、高くなるまで諦めるつもりも、その理由も今のところありません。「フォーチュンボックス」は楽しみや質の高い喜びを提供できると確信していますし、こういう楽しみを多くの人に知って欲しいからです。

それに、最初はどんな商品も知名度は低いはずです。

そこで、まず、もし「フォーチュンボックス」を買ってもらえない理由があるとすれば(たくさんあると思いますが)どんなものが考えられるか?と考えてみました。

人に何かを「そのままでは買ってもらえない理由」は12個リストアップできましたので、次に、それらを1つずつチェックしながら、逆に、どうすれば知名度がなくても買ってもらえるかを考えて工夫していきました。

このリストは私自身が多くのメーカーの社長たちに会って、「売れないんだよ」「どうしたらお客さんは買ってくれますか?」と相談されたときにプレゼントしているリストです。

知名度がまったくなかった「フォーチュンボックス」も、今ではおかげさまで2,000個以上も購入していただいており、ほんの少しですが知名度が出てきました。0→1は脱出できたのかもしれません。

なので、知名度が低いと悩むメーカーのみなさん、がんばってください(売り込みも待っています)!

★この記事の最後に「知名度がない商品を買ってもらうためのチェックリスト12」としてまとめていますので、よろしければ活用してください。

少しでもお役に立てればうれしいですし、SNSなどでより多くの人にご紹介いただけましたらありがたいです。

よろしければ「フォーチュンボックス」にもぜひ興味を持ってください。

では、さっそく、最初のチェック項目からスタートです。

.1.そもそも存在を知ってもらえているか?

そもそも「フォーチュンボックス」はだれも知らない商品です。そのカテゴリーすらありません。似たカテゴリーは「お取り寄せ」「ギフトパック」「お任せ便」みたいなものですが、その中で戦って勝てるほどのブランドや経営資源もありません。

公式サイトを作って「フォーチュンボックス」を並べておくだけではアクセスもなく売れるわけがありません。

アクセスを増やすには広告が一番です。ですが、テスト的に広告をする予算もほとんどありませんでした。そこで結果としては成果報酬制の「クラウドファンディング」がぴったりだと判断しました。

もちろん、絶対に「クラウドファンディング」という仕組みを活用しなければいけない、というわけではありません。

また、仮に広告予算があっても「なんだか怪しい」という別の理由で買ってもらえなかったと思います。

「クラウドファンディングサイト」という人が集まっている場所に出店し、あとは受け皿であるプロジェクトページをしっかり作り込む、その中でもきちんと目立つ工夫をする、という方針で行くことにしました。

また、メディア出演につながるような働きかけをしっかりと行う必要があると思いました。そこで、「フォーチュンボックス」ではだれも興味を持たないので、「謎の箱」「18歳起業家」「クラウドファンディング」など、人がすでに興味を持っているキーワードを使っての広報活動(PR)を行いました。その結果、いくつかのメディア出演をさせていただくことができ、アクセス増にもつながりました。

もっともっと多くの「必要な人」に存在を気づいてもらえるように、このようなコンテンツ配信も含め、力を入れています。

また、以下のチェック項目にあるような要素を満たしていくことで、たとえば、小売店へ卸販売をしたり、多くの顧客を抱えている通販会社などに取り扱ってもらえるように交渉したり、広告費が歩合制でいいアフィリエイトなどを利用したり、さまざまな方法があります。

つまり、「知名度がない商品」にとって重要なのは、次の項目からだと思います。

.2.今の自分に関係があることだと思われているか?

「フォーチュンボックス」の存在を知っていても、今の自分には関係がないと思う人も多いはずです。その人の気持ちを「今の自分に関係がある」と思ってもらえるように魅力や用途を説明していく必要があります。

そのためには「フォーチュンボックス」がどういうものか?ということをこちらの立場から一方的に説明する前に、相手の生活の中でイメージできるようなストーリーや問いかけが有効だと思いました。ストーリーテリングという手法です。

具体的には、クラウドファンディングのプロジェクト詳細ページでの説明の冒頭文を、「家に帰ったら謎の箱が届いていたらどうですか?」「中身がわからない謎の箱が届いたらどうでしょう?怖いかもしれませんが、どきどきしませんか?」というような問いかけにしました。

.3.価値は多めに適切に伝わっているか?

「フォーチュンボックス」のどこに価値、魅力を感じるか、ということは人それぞれですので、伝えるべき価値は多い方がいいと思います。

そこで、まずは、その価値を思いつく限りリストアップしました。

物事の価値をリストアップするときは、次の質問リストを使うようにしています。

 <価値のリストアップに役立つ質問>
1.精神的な価値は何か?どんな気持ちになれるか?
2.肉体的な価値は何か?健康的な効果はあるか?
3.物理的、物質的な価値は何か?(機能、効果、必要性、など)
4.金銭的な価値は何か?(安く買える、コストダウン、収益強化、など)
5.得られる情報の価値は何か?(知識、話題、体験など)
6.場所、空間的な価値は何か?(置く場所を取らない、携帯性、どこでも、など)
7.時間的な価値は何か?(時間短縮、早期に、など)

その結果「フォーチュンボックス」の価値は、次のように少なくとも23個あるとわかりました。

1.精神的な価値は何か?どんな気持ちになれるか?
 ・開ける前にドキドキ、ワクワクする
 ・一つ一つの商品を手に取っていく楽しみがある
 ・開けたあとの品質の高い商品と出会って喜べる
 ・買ったことは間違った選択ではなかったという安堵、満足がある
 ・新しいビジネスの可能性に触れて楽しい
 ・だれかにプレゼントして喜んでもらえたときにうれしい
 ・知名度が低いメーカーを応援できたという満足感がある

2.肉体的な価値は何か?健康的な効果はあるか?
 ・食品であれば身体にいいものが入っている
 ・商品解説文を読むと健康へのヒントが書かれている
 ・宅配便で届くので出かけていって買う体力がいらない
 ・全国各地を坂内が回ってくれるので買いに行く体力がいらない

3.物理的、物質的な価値は何か?(機能、効果、必要性、など)
 ・すばらしい商品が手に入る

4.金銭的な価値は何か?(安く買える、コストダウン、収益強化、など)
 ・自分で出かけるための旅費などがいらない
 ・(メーカーさんの協力で)お得に買える
 ・長く使える物であれば長期的に見て安く済む

5.得られる情報の価値は何か?(知識、話題、体験など)
 ・「学べる通販」なので商品についての雑学などが学べる
 ・「選ばなくていい」新しいスタイルの通販体験をSNSなどで発信できる
 ・家族などとのコミュニケーションのきっかけになる

6.場所、空間的な価値は何か?(置く場所を取らない、携帯性、どこでも、など)
 ・邪魔になるものはない
 ・保管に苦労するものはない

7.時間的な価値は何か?(時間短縮、早期に、など)
 ・届くまでの期間ずっと楽しめる
 ・自分で買いに行く時間がかからない
 ・気に入ったらずっと愛用できるかもしれない

単純に「フォーチュンボックス」に23個も価値があれば、多くの人がいずれかの魅力に該当して、価値を理解し、生活に取り入れたいと思ってもらえると思いました。

さらにすべての魅力を一気に伝えようとしても伝わりにくいことがあるため、メリハリをつけていくことにしました。

あとは、これらを説明ページなどで、優先順位を間違えずに、丁寧に伝えていくだけだと思いました。

もちろん、「最初から何が送っているかわかっている方が良い」「自分で旅行して選ぶ方が楽しい」といった考えの人がいることも気づいていますが、今の段階で私が売ろうとするべきお客様ではないと思いました。

また、そのようなお客様は後日「みんなが買っているからきっといいに違いない。そろそろ買ってみようかな」と思ってくださるように事業を成長させていけばいいと思っています。

ここまでの3つの内容をチェックし、クリアするだけで「欲しいな」「買ってもいいかな」とお客様が思ってくれると思います。

ですが、この先の条件を満たしていかないと、なかなか買ってもらえないと思います。

.4.妥当な金額だと思われているか?

「フォーチュンボックス」を1つお届けするために、次のような費用がかかります。

・商品の仕入れ代金
・送料
・梱包料
・決済手数料
・クラウドファンディング手数料
・商品説明文などの印刷費用

それからようやく残りが出張旅費などの活動費、そして私の生活費になります。

ですが、こういう事情はお客様には基本的には関係ありません。こういう費用をオープンにして理解を求めるという選択もありますが。

「フォーチュンボックス」の価格の説明はたとえばこのようにしています。

(例)「フォーチュンボックス」1個 8,000円(税込み、送料込み) 
 ※合計通常販売価格9,000円分の商品(5~8個)が入っています

このように書くと「普通は9,000円で販売しているものが8,000円で買えるのか!」とお得さも感じてもらうことができます。

ですが、お得さを提供するのが「フォーチュンボックス」の本来の趣旨ではありません。高すぎない、安すぎない(利益をしっかりいただく)ということを意識して価格を決めなければいけませんが、初回の「フォーチュンボックス」は売れるかどうかわからないという不安が大きかったので、かなりお得にして赤字になりました。

安すぎても逆に期待できなかったり、不安になるお客様もいらっしゃると思っていますので、より高く買ってもらえるよう、価値を高めていきたいと思っています。

.5.使い切れない、持て余すと心配されていないか?

「フォーチュンボックス」には何が入っているかわからないので、「すでに持っているものだったらどうしょう?」「いらないものだったらどうしよう?」「アレルギーで食べられない食品があったらどうしよう?」というような不安を感じる人が多いだろうと思いました。

ですので、「自分では使わないものが送られてきてもいい。(お知り合いなどに)プレゼントしよう」という考えの人だけご購入ください、という注意書きを載せました。

また、あまりにも使いにくいものが入っていないように「食品や日常雑貨が中心です」「使用するのに特殊な道具などが必要なものなどは入っていません」というように書いて、不安を消すような工夫をしました。

.6.それを買うのが自分らしくない、売り方が気に入らないと思われないか?

本当は欲しくても「あの人と同じと思われるのがイヤだから買わない」とか、そういう理由で買わない、という人も多いと思います。「フォーチュンボックス」には、まだそういう要素は少ないと思います。

ただ、「中身がわからないものを買うなんて」「また無駄遣いして」と家族などから馬鹿にされたりすることがあれば、買いにくくなるでしょう。ですから、その理由として「知名度が低いメーカーさんを応援できる」というような社会的意義をしっかりと打ち出しました。

実際に「フォーチュンボックス」に入っていたことをきっかけにそのメーカーの商品のリピーターになった、という報告をいくつもいただいていますし、メーカーさんにも喜んでもらっています。

また、売り手が気に入らないから買わない、という人も多いはずですので、私自身が軽率な発言をしたり調子に乗ったりして、嫌われないようにしないといけないと思いました。

.7.まだ怖い、早いという不安を感じないか?

ほとんどだれも支援していないクラウドファンディングは支援しにくいと思います。人は新しいものは好きですが、「新しすぎる」ものには不安を感じると思います。

「フォーチュンボックス」は新しいものですから、「新しすぎる」と感じて敬遠されないように工夫しました。

「浅草」という有名な場所にある物産館の実在するお店の店長2名に「推薦コメント」をもらって掲載したり、少しでも「大丈夫だろう」と思ってもらえるように工夫しました。

また、1年をかけて準備したこと、その証拠の写真なども多めに掲載し「準備不足ではないか」「まだ買わない方がいいのでは?」といった不安を消せるようにしました。

クラウドファンディングの1つの利点として、「売れている空気」「ほかの人が買っている感じ」がきちんと伝わるということがありますが、「フォーチュンボックス」も、売れ始めてから加速度的に支援してくださる方が増えてくれました。

「フォーチュンボックス」自体は、本当の最初の頃は「特別お試し版」として、「私の初めてのお客様になってください」ということも書いたりと、どちらかというと「初物(だからその分、不安も多いので安くします)」「限定感」を売りにしていましたが、おかげさまで今では、「2,000個突破」というように「(少し)売れている感じ」も伝えていくようにしています。

.8.どれを買っていいかわからなくなっていないか?

「フォーチュンボックス」をサイズ別、価格別に複数用意する案もあったのですが、お客様も迷わせてしまうのは買ってもらえない大きな理由だと知り、とりあえずクラウドファンディングのリターンの種類も1種類のみにしました。

.9.買ってからの不安が残っていないか?

これから買おうとするお客様に「若いけどちゃんと対応してもらえるのか?」「買った後にわからないことがあればどうしたらいいか?」「不良品があったときには誠実に対応してもらえるのか?」といった心配をさせないようにしなければいけないと思いました。

具体的には、アフターフォローがしっかりしていることを印象づけるためにも当社への連絡先以外に、「メーカー様連絡先一覧」を作成して同梱しておくことをプロジェクトページに明記しました。

.10.買うのを先延ばししたりしないか?

クラウドファンディングの利点の1つはプロジェクトの終了が明確なことです。これによる「締め切り効果」で、迷っているお客様に意思決定を促すことができます。

実際に終了間際に、駆け込みで支援される方が多いです。

そもそも「フォーチュンボックス」自体が、原則として二度と同じ商品を入れないようにしていますから、数量限定、期間限定なのです。

「お客様の背中を押す」という言葉もありますが、無理に焦ってもらうのは申し訳ないので、適度な限定感を伝えつつ、本当はいつでも購入してもらえるようにしていきたいと思っています。

.11.注文しにくい仕組みになっていないか?

CXの分野の話ですが、ネット通販の場合はどのサイトも「買いやすさ」をかなり重視して買い物かごの設計をしています。決済手段の多様性も大切です。

知名度が低い分、少しでも注文しにくいときは、すぐに注文をあきらめられます。いつも買っている商品なら、価値がわかっているので、少々不便でも注文を途中で止めないと思います。

「フォーチュンボックス」は、今のところ、クラウドファンディング、BASEを使っての公式サイトECで販売しています。

現在は「選ぶ必要がない通販」ですが、今後は発展させて「買う必要がない(申し込む必要がない)通販」というものへの発展していっても面白いと思っています。

お客様から年間予算の上限だけを聞いておく、もしくは予算枠を選択してもらっておいて、その予算の中で、私が届けたいと思った商品に出会ったタイミングで送る、というものです。

オペレーションの問題など、細かいことをクリアしていけば、きっと実現できると思っています。

.12.いつでも買えるようになっているか?

BASEで販売している「フォーチュンボックス」が品切れになっていて、それに気づかず「最近、ご注文がないな」と思っていたことがあります。品切れしていたり、決済ボタンに不具合があったりしているのは「売っていない」のと同じです。

ときどき飲食店でも「この店、やっているのかな?」と思えるようなところがあります。基本ですが、できていないときもありますので、アラート機能などを活用して定期的に在庫設定を見直していっています。


.「知名度が低い商品を買ってもらうためのチェックリスト12」

こちらに「知名度が低い商品を買ってもらうためのチェックリスト12」をまとめておきますので、何かを売りたい人は当てはめてみてください。

「買ってもらうためのチェックリスト12」
1.そもそも存在を知ってもらえているか?
2.今の自分に関係があることだと思われているか?
3.価値は多めに適切に伝わっているか?
4.妥当な金額だと思われているか?
5.使い切れない、持て余すと心配されていないか?
6.それを買うのが自分らしくない、売り方が気に入らないと思われないか?
7.まだ怖い、早いという不安を感じないか?
8.どれを買っていいかわからなくなっていないか?
9.買ってからの不安が残っていないか?
10.注文を先延ばししやすくなっていないか?
11.注文しにくい仕組みになっていないか?
12.いつでも買えるようになっているか?

※「知名度が低い商品を買ってもらうための理由チェックリスト」はこれからも増やしていけるかもしれません

.最後に

おかげさまで「フォーチュンボックス」は多くのお客様にご購入いただいています。少しずつ注目していただいている人が増えている実感もあります。

そういう感謝を忘れず、悩んだときにはこのリストをもう一度振り返って、それなりに「フォーチュンボックス」が知名度を持ったときに調子に乗った自分が、お客様が「買ってくださらない理由」を増やしてしまっていないか、チェックするようにしていくつもりです。

お読みくださり、ありがとうございました。

フォーチュンファクトリー株式会社 代表取締役。新潟出身。東京在住、20才。「CAMPFIRE AWARD 2017【特別賞】灯火賞」受賞。「フォーチュンボックス」や自社ブランド「五感プレミアム」シリーズを販売中。