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<なつみの本紹介> #18 スナックちどり/よしもとばなな

あらすじ

 四十歳を目前にして離婚した「私」と、親代わりに育ててくれた祖父母を亡くしたばかりの、幼なじみで従妹のちどり。孤独を抱えた二人は、一緒にイギリスの西端の田舎町・ペンザンスに小旅行に出かける。淋しさを包みあう二人の間に、三日目の夜、ある「事件」が起きる。。。日々を生きる喜びが心にしみわたる傑作小説。

グッとワード

 よしもとばななさんの作品は、何か僕の中で感じるものがあって、でもそれが何なのか自分でもわからないという状態になります笑。そして、それは自分の中だけに留めておきたいので、自分の文章は書かないことにします。ここには、ぼくの気に入った文章だけをメモさせてください。

 自分自身のことを愛してない人といると、それだけでとてもつらいし、苦しいんだ。


 終わってくものの枯れたきれいさっていうのには、これから始まるものの華やかさと同じくらいのよさがある。私は、若いうちにそれを見ることができて、知ることができてほんとうによかった。この世には美しさが全くないものは一個もないんだ。見つけるほうの目にそれがあれば、どんなものでも美しさを持っている。


 昔はそう思わなかった。新しいもの、始まるものが好きだった。古びないもの、キラキラしたもの、暗くないものが。
 でも今はなにもかもが大切な旅の景色のひとつになっていた。
 新しい古い、良い悪い、どんどんそんな区別がなくなっていき、自分の芯になるものだけが残る。あれ?自分しかいない、淋しい、そう思って周りを見たら、広い海だか川だかには同じような船がたくさん。
 そういう感じがいちばんいいな、と思った。

2021/9/30

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