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なぜ今の現役世代に、「大人の学び」が求められるのか?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

「大人の学び」といわれて、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?

定年後に通う趣味の延長線である「カルチャースクール」を思い浮かべる人もいれば、社会人大学院に入って修士号・博士号を取得する、はたまた、今の仕事で必要とされている資格を取得するために学ぶなど、人それぞれイメージを持っているでしょう。

なかには、大人の学びなんて、やりたい人がやればいい。自分には関係ない――

そのように考えている人もいるかもしれません。

ただ、人生100年時代を生きていく私たち現役世代において、将来、金銭的な心配や健康的な心配、精神的な心配から解放されたいのなら、「大人の学び」は必要不可欠であり、誰もが求められるものといわれたら、どう思いますか?

そう言われても自分事にならない方も、ワーママはるさんの新刊『ワーママはるのライフシフト習慣術』第5章「学び」の章を読めば、きっと「学び」の大切さと必要性を感じるでしょう。

今回は、同書の第5章の中から、「人生100年時代、『職業人生は、人生に二度やって来る』に備えよう」を公開します。

自分たちの「生活」に合わせて、
「働き方」を変える時代

 私は、1000人近くの共働き世代が参加しているコミュニティの管理者をしています。その中で、30代半ば以降の「働き方」に悩む人を、あっちでもこっちでも見かけます。この年代から、「キャリアの迷子になる人」がとても多いのです。
 30代半ばといえば、20代から勤めて社会人経験も10年ほどになり、さらに結婚、出産でライフスタイルが変化し、さまざまな選択肢が見えてくる時期です。「これまでと同じ働き方でいいのか」「結婚や出産で仕事のアクセルを少し緩めるのか」など、自分が働きやすい働き方(会社員や自営などを含む)を模索し始めるようになります。
 実際、私自身も、第1子を出産してから「キャリアに関するモヤモヤした気持ち」を抱えることが増えました。私は転勤ありきの会社に勤めていました。転勤というと、紙切れ1枚で会社のいいように動かされるという悪いイメージもありますが、一概に悪いものではありません。
 私自身、勤めていた間に5回転勤していますが、転勤すると部署が変わり、新たな仕事のチャレンジをもらったり、これまでとは違った人たちの中で働けるので、考え方の視野が広がったりスキルが向上したりします。
 しかし、子どもが生まれると、「じゃあ、2週間後に転勤して」と言われても「ハイそうですか」というわけにはいきません。
 そもそも働くにあたって、子どもが保育園に入園できなければ働けません。保育園入園のタイミングは、学年が変わる4月のケースが多く(待機児童問題で年度半ばでは入れない)、募集は前年の12月頃に終わっています。そのため、1カ月後に転勤と言われたところで、実質問題として動けません。
 また、夫婦ともに転勤族のわが家は、「どちらかが働き方を変えていかない」と「家族で一緒に住むことは将来的に叶わなくなる」現実が迫ってきました。
 これまでの「男性が大黒柱。専業主婦の妻や子どもたちがついてくる」なら、会社に合わせて「生活」を変えられましたが、これからの時代は自分たちの「生活」に合わせて「働き方」を変えていく必要があります。

この悩みや気づきを30代で経験できる価値

 共働き夫婦、特に働き方を変えざるを得ない側(ワーキングマザーが多い)は、この事実に30代で気がつけるのはとてもラッキーだと思います。
 定年後、燃え尽き症候群に陥る60代の男性がいるという話は、よく聞く話ですね。仕事一筋生活、「仕事」に合わせて人生を過ごしてきたがために、仕事がなくなると、逆にどんな「生活」をしたらいいのか、わからなくなってしまうわけです。
 人生100年時代になると、65歳で退職しても、その後20〜30年以上生きる可能性があります。
 私たちは、ひと足先に強制的に、会社以外の人生を含めた自分のキャリアについて30代で考え直すことができます。しかも、行動する時間も余力もまだあるうちに、「私、今後どうしたらいいんだろう?」と悩む経験ができるのですから。30代でこの経験ができることをありがたいと思うべきです。
 定年になってから考えるのではなく、考えるチャンスが到来したと思って、思いっ切り「働き方」を考えるチャンスです。

自分の職業人生をどう設計する?

 じゃあ、何ができるのか?
 自分のキャリアの絶対領域をつくりに行きましょう。
 ちなみに、「キャリア」とは、仕事ではありません。
 文部科学省の定義では、キャリアとは、「人が生涯の中でさまざまな役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見出して行く連なりや積み重ねが、『キャリア』の意味するところである」(中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について〈答申〉」平成23年1月31日)とあります。
「社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程を『キャリア発達』とする」とも定義されています。
 ちょっと難しく見えますが、要は、
「キャリアとは、決まっているものではなく、生きていく中で自分には何ができるか、何をするのかを試行錯誤しながら、他者との関係性によって築かれていくもの」
 と理解できます。
 私は、これを自分のメッセージとして「自分に適した職業人生を何度も生きろ」と考えています。
 大学卒業後から同じ企業にずっと勤め続けても、必ず定年という終わりが来てしまう……。そこで私は、出産後から、自分の働き方についてずっと考えてきて、現在は「40歳定年説」「サバティカルタイム」をかけ合わせて、生き方として「マルチポテンシャライト」を考えています。
 40歳定年説は、もともとは東京大学大学院の柳川範之教授が、組織論的に唱えられていました。社会派ブロガーのちきりんさんが著書『未来の働き方を考えよう』で、個人のこれからの働き方として紹介しています。

40歳で自ら定年を設定してみる

 40歳定年説とは、実際どんなことをするのか?
 概念としてはシンプルです。
 大卒後二十数年務める職業人生と、後半の職業人生は全く別の職種を選べば、人は2回職業人生を生きる可能性があるという考えです。
 ちなみに、60歳で定年しても、その後長く人生が続くような人、つまり、この本を読まれているような方の多くが「複数の職業人生」を選択できる人に当てはまります。
 大学卒業後、会社員として働き(社会人学校)、1つ目の職業人生を20 年ほど過ごしたら、その後はその経験やスキルをベースに持った上で、個人でやりたいことや楽しいこと、興味関心を含む定年を迎えないような第二の職業人生をスタートさせます。
 大学卒業後20年近く働くとすると、だいたい40歳を過ぎます。そこから定年を迎えない職業人生をスタートしても、30年近くは働けるでしょう。
 そうすると、金銭的な心配や健康的な心配、精神的な心配からも解放されます。定年を迎えない仕事を継続すれば、どうしたって社会の人たちとかかわり続けますし、思考力は維持されます。出歩く機会も増えるので健康維持にも、さらに金銭的な不安からも解放されて、メリットは大きいものになります。
 まさに、複数の職業人生を生きるのです。

「サバティカルタイム」が取れる人生設計

 ただ何でもすぐにうまくいくわけではありません。
 二十数年の第一段階の職業人生を終えた後の、第二の職業人生がうまくいくかどうかを試す期間が必要になります。新入社員は試用期間がありますが、第二の職業人生は、自らが試用期間を設ける必要があります。
 私は、これを「サバティカルタイム」として過ごせばいいと考えています。サバティカルタイムとは、使途用途を決めない休暇を意味します。2020年4月より、私は会社を退職して自主的に取得しています。
 サバティカルタイムを設けるには、自分が生きているだけで毎月かかるコスト(最低生存月額)の確保と、やりたいことの種を掴んでいるかがポイントになります。
 最低生存月額が12カ月分用意できるのなら1年取れます。やりたいことの種(私の場合は、執筆や音声配信、ヨガでした)があれば、市場に受け入れてもらえるのか試してみたらいいのです。やってみて、合わないと思ったら、また会社員に戻ればいいのです。
 ちなみに、「元の待遇では戻れないから、今の会社を辞められない」と話す方がいます。そういう方は、元の待遇で戻れないのは、「今の収入は現状の能力よりも高めにもらっている」ため、いきなりリストラされる可能性があります。
 時代背景的にも能力以上の仕事をしていかないと、会社に残れなくなっていくスピードは年々加速しています。こういった方こそ、いつ放り出されてもいいように、積極的に第二の職業人生の準備をしておくことをおすすめします。

人生100年時代だからこそ、
幸せな人生を模索して生きる

 私のようにさまざまな働き方や、自分の興味関心を模索する人を「マルチポテンシャライト」と言います。
「いろいろな物事に興味を持って、多くのことをクリエイティブに探求していく人」と定義づけられています。
 別に「クリエイティブ」でなくてもいい。人生100年時代ともなれば、「自分の興味関心に敏感になっている」かどうかが「幸せ」のターニング・ポイントになります。ここでの幸せとは、「人のつながり、収入、健康」を意味します。自分の興味関心に敏感にならないと、人生はただ流れていくように過ぎていきます。別に難しいものをやれということではなく、「自分が何に興味があるのか」「何をするのが楽しいか」を知るだけでも人生の彩りは増えます。
 私はやりたいことを「1つに絞る」「一貫性を持つ」必要はないと思っています。そのほうが、複数の職業人生を生きる「種」をたくさん持つことができるからです。

過去の経験が将来の種になる

 なぜ「種」を蒔くような行動をしていくほうがいいのか?
 人間は、行動から多くを学ぶようにできているからです。
「経験学習モデル」と言われますが、「経験→省察→概念化→実践」の4段階により構成され、このサイクルで人は学びながら成長していくとされています。
 私の一例になりますが、私は10年以上ヨガをしていて、インストラクター資格もいくつか持っています。最初は、別にヨガインストラクターになろうと思ってヨガを始めたわけではありません。学ぶのがおもしろいから、ヨガを継続していました。
 ところが、ヨガを始めた「経験」がきっかけで、実践だけでなく、「人に教える」行為そのものが自分の学びになると気づき、ヨガインストラクター資格を取得しています。そこから「人に教えて、お金をいただく」ようになり、今ではオンラインとスタジオヨガの経営までしています。結果的にこれが、第二の職業人生の種の1つになっています。
 私は会社員を16年していたので、スクール運営や、オンラインでヨガを教える経験なんてありませんでした。しかし、会社員時代の「交渉力」「プレゼンスキル」「論理思考」などが、ヨガスタジオ運営やレッスン提供に結びついています。第二の職業人生を選びたいと思ったときに、ヨガはその1つになっているのです。会社員経験があり、年齢を重ねている分、ヨガ1本でやってきた人とは違った「あの人から習いたい」と思わせるヨガの提供を行なえています。
 このように「経験」からすべては始まると考えています。
 目の前の興味関心に耳を傾けて、経験を積んでいくと、そこから考察やさらなる行動がつながっていきます。「やりたいことがない」と思って「やりたいこと探し」をするよりも、まずは経験をしていくほうが、スタートとしては大事です。
「職業人生は、人生に二度やって来る可能性がある」と意識しながら、現在の生活を送るのと、何も考えず定年までを過ごすのとでは、その後の人生は大きく変わります。複数の職業人生を生きる可能性を考えてみると、あなたの「種」も見えてくるはずです。

今回ご紹介した書籍『ワーママはるのライフシフト習慣術』のテーマは、タイトルどおり、「人生100年時代に向けて、自らの人生をライフシフトする習慣術」です。

【主要目次】
第1章「仕事」の習慣──夫婦は共同経営者、自分のキャリアを大切に
第2章「人間関係」の習慣──ライフステージに合わせた思考法
第3章「子育て」の習慣──親も子も自立する関係
第4章「お金」の習慣──家族と自分のために経済的自立を目指す
第5章「学び」の習慣──人生の豊かさを決めるエッセンス

自らの人生にライフシフトするために必要な重要エッセンスを、ロジカルに習慣術としてまとめた1冊です。興味のある方はチェックしてみてください。

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▼著者自らが本書の概要を解説した音声を聴けます

▼本書の「はじめに」「目次」を全文公開中

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