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ウクライナ紛争とBRICs開発銀行設立の不穏な接点

フォレスト出版編集部の寺崎です。

ウクライナ侵攻が終結をみない今、ふたたび読み返している本があります。

それが・・・
苫米地英人・著『日本人だけが知らない戦争論』です。

苫米地英人『日本人だけが知らない戦争論』(フォレスト出版)

本書ではウクライナの政変もなにもかもが、すべて「金」のための戦争であると喝破しています。むろん、現在のウクライナ侵攻もそのように解釈できるはずです。

そして、今回の侵攻の前触れである2014年のウクライナ紛争についても、そのカラクリが暴露されています。

では、該当箇所を見ていきましょう。

ローマ法王による不気味なメッセージの真意

 ローマ法王フランシスコが中東など世界各地で戦闘がつづく現状をさして、「すでに第3次世界大戦は始まっているのかもしれない」と述べたことが、BBCのニュースで伝えられました。
 2014年9月13日は第1次世界大戦開戦から100年目に当たり、追悼式がイタリアのフォリアーノ・レディプーリア慰霊施設で行われましたが、その会場でローマ法王が懸念を表明したのです。
 幼児に対する性的虐待などのネガキャンペーンをはじめ、このところのローマ法王庁は何らかの攻撃にさらされているように見えます。法王フランシスコの親族が自動車事故で死亡したり、イタリアのブレシア市にあるヨハネパウロ2世を記念したキリスト像のモニュメントが倒れて青年が死亡したり、おかしな事件がつづいているのです。
 このニュースに接したとき、私は、ローマ法王が攻撃勢力に対するけん制を行ったと感じました。考えすぎだと思うかもしれませんが、要人の発言とは、そういうものです。
 為政者と権力をともにしてきたローマ法王庁は、誰がどのような仕組みで世界を動かしているか、誰よりも知っているからです。
 みなさんは、これだけグローバル化し、密接にネットワークされた世界で、世界大戦がくり返されることはないと考えるかもしれません。その証拠に、20世紀後半の50年、世界の距離が短くなっていく中で行われた戦争は、どんどん限定された戦争になっていったではないか、と。
 たしかに、そういう面はあるかもしれません。
 しかし、相手はヨーロッパの大銀行家たちです。私は、彼らが現状に満足しているとはとても考えられません。

『日本人だけが知らない戦争論』第6章 来たるべき第3次世界大戦と「国家洗脳」の手口

なんと、2014年9月に第266代ローマ法王であるフランシスコ(本名ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ)が「すでに第3次世界大戦は始まっているのかもしれない」という不気味な発言をしていたのです。

ローマ教国といえば、イエス・キリストの弟子ペトロが初代法王となって以来、温然たる権力を維持してきている世界の大ボスのような存在です。

そして、その発言には「ある意図」があるというのですーー。

「次の戦争のときはよろしく」

 かつて国連事務総長を務めたワルトハイムさんというオーストリア人がいました。
 彼は戦時中にナチス党員だった疑惑があるのですが、それが明るみに出て、国連事務総長を辞めざるをえなくなります。しかし、表舞台から去ったわけではなく、その後オーストリアの大統領選に出馬し、大統領に選ばれました。たいへん気品の高い紳士です。
 聞けば、ハプスブルク家の末裔(まつえい)とのことでした。
 三菱地所に勤めていたとき、私は社長のお供の通訳者として、ワルトハイムさんの自宅を訪ねる機会がありました。部屋の壁には、直筆サイン入りの各国元首の写真が飾られており、そこには日本の天皇陛下の写真もありました。「HIROHITO」とローマ字のサインがあり、「これが天皇陛下の直筆なのか」と思わず厳かな気分になった思い出があります。
 用件がすんで雑談になったとき、ワルトハイムさんは私たちに、「もうすぐヨーロッパは統一されるから、次の戦争のときはよろしく」と言いました。
 統一ヨーロッパに関係する「次の戦争」があるとすれば、それは第3次世界大戦を意味するに違いありません。
 一般にはあまり関係のないことですが、三菱グループの基幹企業は、重工、商事、銀行の3社です。かりに戦争が起こるとすれば、やはりこの3社が陰に陽に役割を引き受けることになるでしょう。
「戦争のときはよろしくと言っていましたけど、ワルトハイムさんは私たちを三菱重工と勘違いしていたんじゃないですか」
 すると、社長からこんな言葉が返ってきました。
「いや、彼は三菱グループの本社がうちだと知っているよ」
 じつは、不動産は代々長男が継ぐことになっているため、三菱グループの歴史上の本社は地所なのです。三井グループの三井本社も三井不動産となっています。私は、そんなことまで知っているのかと、もうひとつ驚きました。だとすると、「次の戦争のときはよろしく」というワルトハイムさんの言葉も、何か空恐ろしい現実味を帯びてきます。社長と社員の会話ですから守秘義務はありますが、ビジネスとは関係ない話であり、もう25年も経ってますから時効ということでここで書きました。
 それから何年かすると、EUの通貨統合が起こりました。また、アメリカのブッシュ大統領(父)の口から「ニューワールドオーダー(新世界秩序)」という言葉を聞くようになりました。世界は明らかに、次なる秩序を求めて動き出していました。

『日本人だけが知らない戦争論』第6章 来たるべき第3次世界大戦と「国家洗脳」の手口

著者の苫米地博士はかつて三菱地所に勤めていて、それこそあのニューヨークのロックフェラー・センターを三菱地所が約2200億円で買収した日本のバブル絶頂期をみてきた方です。

そんな苫米地博士が国連事務総長を務めたワルトハイムさんの自宅に招かれたときのエピソードを告白しています。

そして、出てきました。

「ニューワールドオーダー(新世界秩序)」

ウクライナ政変でロシアを挑発するアメリカの姿

 ニューワールドオーダーと聞くと、いったいどんな秩序なのかと身構える人もいるでしょうが、彼らが目指しているのはじつは単純なことです。
 一言でいえば、世界をひとつの政府によって統治し、経済をひとつの中央銀行によって運営する。つまりは、世界統一です。
 いま世界を眺めると、かつて共産主義といわれた国々は、いずれも西側資本主義世界に組み込まれています。グローバル資本主義のネットワークが地球にくまなく張り巡らされているわけですが、ヨーロッパの大銀行家にとっては、これはまだ旧世界の延長線上にある過渡期にすぎないという思いがあるようです。
 じっさい、考えようによっては、世界はまだまだ多極的です。
 たとえば、最近の動きではロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカが共同でBRICS開発銀行を設立しました。この新銀行で行われる決済は、非ドル決済です。ヨーロッパの大銀行家が支配するドルを、彼らは使わないといっています。
 面白いことに、BRICS開銀設立の動きが顕在化したちょうどそのタイミングで、ウクライナの政変が起こりました。ヤヌコビッチ大統領に抗議する反体制派デモが活発化し、警官隊と衝突。100人近くが死亡し、1000人以上が負傷する事態となりました。
 これを受けてウクライナ議会では事実上のクーデターが起こり、ヤヌコビッチ大統領は亡命。代わりに選ばれたポロシェンコ大統領が、いまアメリカとEUを後ろ盾にしてロシアと対峙し、ウクライナ問題がこじれているわけです。
 これをソ連崩壊後のヨーロッパの枠組みに対するロシアの挑戦と見る向きもありますが、むしろロシアを挑発している本尊はアメリカです。ウクライナで起こった政変も、アメリカとEUの念入りな下準備によって起こされました。プーチン大統領は、そのことを百も承知ですから、これが戦争の火種にならないはずはありません。

『日本人だけが知らない戦争論』第6章 来たるべき第3次世界大戦と「国家洗脳」の手口

BRICs開発銀行(新開発銀行)の設立は、2013年3月27日。南アフリカのダーバンで開かれた第5回BRICSサミットにおいて合意されました。

BRICsとは、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ共和国(South Africa)の頭文字を合わせた造語です。

これから強大な軍事力を背景に覇権国家として台頭してくると睨まれる「ロシア」「中国」がここに加わっているわけです。

そして、ウクライナ紛争が勃発したのが、2014年です。

2013年 新開発銀行の設立
2014年 ウクライナ紛争

この時系列には必然性があったと苫米地博士は見ているのです。

こうした流れがあった中で、今回のウクライナ侵攻が起こったとみると、この先にどういうことが起きるのか、ある程度の予測ができるかもしれません。

「戦争を起こしたがっているのは誰か?」
「戦争で利益を得るのは誰か?」
「彼らはこれまでの歴史でどのように戦争を起こしてきたか?」

こうした疑問に『日本人だけが知らない戦争論』は明快に答えています。というわけで、いままさに読み返すべき1冊です。

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