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クレームやトラブル処理における絶対法則

フォレスト出版編集部の寺崎です。

先日、仕事上の取引先などとトラブルになって謝罪するケースの対応策について、ご紹介しました。

今日は内側に目を向けて、なにかトラブルやクレームごとをやらかしたときに、部下の立場として上司に報告する……というケースを考察してみます。

教科書は中尾隆一郎さんの『最高の成果を生み出す ビジネススキル・プリンシプル』です。では、いってみましょう。

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悪い結果こそいち早く伝える

 社会人生活を通じて、いい成果を出しつづけることができれば最高です。しかし、常に順風満帆というわけにはいきません。悪い結果が出てしまうこともあります。その場合、上司へ報告するタイミングでも、イケてる社員とダメ社員では正反対の傾向があります。
 ダメ社員は、よい結果は早く伝えるのですが、悪い結果はギリギリまで伝えません。悪い結果を上司に報告すると叱責されるので、伝えないのです。あるいは何とか挽回しようとして時間が経ってしまい、どうしようもなくなった段階で上司に報告をすることになります。
 例えば大型商談が成立したというよい話は、すぐに上司に報告します。ところが、大口顧客からのクレームや大型商談がダメになりそうだという悪い兆しに関しては、ついつい後回しにしてしまうのです。それが自分自身で手に余ったとしても、何とか対応しようとして、問題をこじらせてしまうのです。

イケてる社員はなぜ悪い結果の報告が早いのか?

 ところが、イケてる社員の上司への報告タイミングは違います。
 よい結果は必ずしもすぐには伝えないのですが、悪い結果に関しては、その兆しが見えた早い段階で、上司に伝えます。
 つまり、この例で言うと、顧客からのクレームや大型商談がつぶれる前に、そのような兆しが見えた段階で上司に伝えるのです。正式なクレームではない段階で、わざわざ上司から叱責されることが分かっているのに、なぜこのような行動を取るのでしょうか?
 それは、結果が出るまでに時間があればあるほど、対応のための選択肢が多く、問題解決の労力も小さいことを知っているからなのです。最終的に商談がつぶれる前であれば、決裁者に訪問して、再度資料等を準備して対応することも可能です。場合によっては顧客が、提案内容や対応に関して誤解をしてクレームを言っているケースも少なくありません。正式なクレームの前であれば対応も可能なのです。
 ビジネス上のことだけではありません。例えば、台所でフライを揚げていたときに、油に火がついた場合を想定してみてください。
 初期段階であれば、簡易消火器や毛布等によって空気を遮断するなど適切な消火活動によって被害を軽微にすることは可能です。しかも対応の手段も複数あります。
 ところが水をかけるなど不適切な対応をしてしまう、あるいは、火に驚いてしまい、なす術すべもなく時間だけが過ぎてしまうと、周りに延焼してしまい、大火事を起こすことになります。そうなると、結果、消防署の助けを借りて、全焼や周りへの延焼を防ぐという選択肢しかなくなるのです。
 もしもあなたが上司だとしたら、油に火がついた段階で部下からアラームを鳴らして欲しいはずです。習熟度の低い社員が相手であれば、フライを揚げるという段階で話してほしいと思うはずです。決して大火事になるまで自分で対処して、それまでは報告しなくていいとは思わないはずです。

部下の報告が遅れるのは上司の責任

 しかし、実際には悪い情報は上司に伝わらないことが多いものです。このことに関して、先日リクルートのある執行役員と話をしたところ、クレームが上司に上がってこないのは、部下の問題ではなく、上司の問題であるケースが大半だと言います。
 ダメ上司は、悪い報告を受けると不機嫌そうな顔になり、部下のせいにするのです。そうすると部下は、よい報告だけをするようになります。そして悪い報告は隠すようになるのです。そしてどうしようもない状況になってから報告をするのです。
 このような状況のきっかけになる上司の不機嫌こそが罪なのです。
 
この執行役員によると、部下が悪い情報を伝えてきた際に、2つ気をつけていることがあるそうです。
 1つは「決して怒らないこと」。過去に、悪いことを報告すると怒る上司の下で働いたことがあり、その際は、自分自身、問題を隠してしまったという反省があり、その上司を反面教師にしているそうです。
 もう1つは「直接自分で対応しないこと」です。自分で直接対応する方が簡単です。しかし、これも何でも動いてしまう上司の下で働いていたときに、自分の部下がその上司に報告して、その上司が直接顧客対応したことで、何度も嫌な思いをしたことがあったそうです。
 もしもあなたの部下が悪い報告をしてくれた場合、早く報告してくれたことに感謝を伝えてください。実際、早く報告してくれれば、解決のための選択肢も多く、被害も軽微に済むのです。そして、同じ問題が再発しないように原因を究明するようにしてみてください。

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トラブルやもめごとの報告はイヤなものですが・・・そういう報告ほど「なるはや」でしたほうがいいという話でした。

これって、誰しも耳が痛いのではないでしょうか。


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