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あの天才ベストセラー作家のひさびさの新刊が本日発売!

2011年3月11日(金)14時46分

この日時。

わかりますね。

そうです。国内に未曾有の被害をもたらした東日本大震災が起きた瞬間です。このとき、みなさんはどこで何をしていましたか?

私は当時勤めていた出版社が乃木坂にありました。青山一丁目方面に足を伸ばして遅めのランチを食べ終えて会社に向かう途中でした。ちょうど乃木神社の前あたりを歩いていたときに突然地面が激しく揺らぎ、目の前の高層ビルがグラングラン揺れる映像はいまだに脳裏に貼りついて忘れられません。

そして、大津波による被害、原発事故……。

世紀末な展開にほとんどの人が深い不安を覚えたのではないでしょうか。

このとき、不安を多く抱えていた人々を科学的なアプローチで救おうと立ち上がった一人の人物がいます。

認知科学者の苫米地英人博士です。

 東日本大震災が起こった翌月に当たる2011年4月、私は、苫米地ワークスが主催する学びの場で、クライシスサイコロジー(危機管理心理学)のクラスを開講することを決めました。
 これは、主として精神科医や臨床心理士を対象にした講座で、その目的は、大震災の被災者が後々PTSD(心的外傷後ストレス障害)にかからないようにする方法を、専門家たちに伝授することでした。
 実は、大震災が起こり、そこにさらに原発事故が重なったとき、私は、この災難を東北地方の人々がどう克服していくか、その道筋のことを思い浮かべました。
 経済的な復興は個人の力ではどうにもならないかもしれませんが、少なくとも自分の専門分野であれば私も力を貸すことができます。
 そこで、講座の開講を思い立ったのです。
 PTSDが予想されるということは、震災や原発事故の悲惨な体験によって、人々がトラウマを抱えるようになることも考えておかなければなりません。
当時は、最悪の場合、日本の人口の5割、6割がトラウマを抱えるリスクがあったのではないかと思います。私は、それを回避するための行動も急いでとる必要があると考えました。
 そこで、私はクライシスサイコロジーの手法を使い、ブログやツイッターを通じて情報発信を始めました。この点は、ここでゆっくり説明していこうと思いますが、恐怖体験をトラウマにしないために何よりも必要とされるのは、人々にそれについての文脈情報を与えることだからです。
『「イヤな気持ち」を消す技術』より

このクライシスサイコロジー(危機管理心理学)の講座を一般向けにまとめて、翌年2012年に刊行された『「イヤな気持ち」を消す技術』は5万部を超えるスマッシュヒットとなりました。

不安や恐れを抱えていた人が当時それだけ多かったという証でもありました。

あれから10年弱が経過。

またもや人々に不安、恐怖を植えつけるやっかいな事態が訪れました。

新型コロナウイルスです。

◎医学的根拠に基づかない医療行政
◎大衆の恐怖をひたすら増幅させるマスメディア
◎全国民への布マスク配布という愚策
◎一貫した方針のない、その場しのぎの対策
◎補償金をめぐるドタバタ劇

人間は恐怖に支配されると、脳の高度な処理を司る「前頭前野」の働きが弱まり、原始的な脳と呼ばれる「大脳辺縁系」に支配されることを苫米地博士は指摘しています。

そうなってしまうと、人はどうなるか。

ひと言でいうと「バカ」になるのです。

コロナ禍が引き起こした結果として、自殺者が急増しています。その事実も、この「前頭前野の敗北」が遠因ではないかと私は考えています。

クライシスが起こったときは、扁桃体もしくは大脳辺縁系の活動が優位な状態から、前頭前野の活動が優位な状態に、早く戻してやることが重要です。
『「イヤな気持ち」を消す技術』より

もう遅いかもしれません。

いやしかし、まだ、間に合う。

そう考えて、このたび『「イヤな気持ち」を消す技術 ポケット版』を改めて発売することとしました。

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すべての日本人に届けたいとの想いから、また当時のオリジナル版に出会わなかった読者にも届けたいと願い、【1200円のポケット廉価版】という形で再版します。

ひとりでも多くの方が、メディアによる恣意的なコントロールから脱却し、前頭前野をフル活動させて、人生の正しい判断を下せるようになるべく。

ひとりでも多くの方が、過去のトラウマや恐怖体験から生じた「記憶の囚われ」から解放されるべく。

ひとりでも多くの方が、「自殺」という最悪のオプションを選択せず、「生き続ける」という道をを選ぶべく。

ひとりでも多くの方に読んでほしい1冊です。

今日は『「イヤな気持ち」を消す技術 ポケット版』から「はじめに」全文を公開します。

※本書ポケット版にはこれとは別に「再版のあたって」の序文を苫米地博士に新規に書き下ろしていただきました。

『「イヤな気持ち」を消す技術 ポケット版』
はじめに

 このところ、悲しいことや辛つらいことばかり思い出すという人が、ずいぶん増えているようです。理由はそれぞれ異なりますが、社会の停滞感がきわまっていることが大きな背景ではないかと思います。あまりにもひどい体験をしたからと、「悲しい」「辛い」と思い悩むに任せているのでしょう。
 しかし、過去のイヤな体験の記憶に囚われることがよくないことは、いうまでもないことです。くよくよ思い悩んでいれば、活力は削がれるし、仕事や生活のリズムも崩れます。
 精神状態だって、不安定になることでしょう。
 
 悲しい体験や辛い体験の記憶は、誰にでもあります。
 簡単に整理がつく類たぐいのものであればいいのですが、トラウマを抱えるほど強烈な体験の記憶を持つ人も決して少ないとはいえません。それは、悲しい、辛い、許せないなどの、きわめて強い情動を呼び起こします。人が変わったようだといわれるのは、たいていはこうした記憶が甦よみがえったときです。
 もっとも、とても強烈なイヤな体験をして、それがトラウマになってしまう人と、わりとあっさりその体験を乗り越えてしまう人と、人間には2タイプがいることも事実です。
 前者は、悲しい記憶や辛い記憶に囚われた人生を、後者は以前と変わらぬ健すこやかな人生を送ります。
 誰もが後者のように生きたいと願い、そう努力しているはずですが、にもかかわらずイヤな記憶に囚われる人が出てきてしまいます。その違いは、どこにあるのでしょうか。
 じつは、両者を分けているのは脳の使い方です。
 脳の使い方という言葉は、この場合、あまりピンとこないかもしれません。物事を考えたり、重要な情報を記憶したりするための脳の使い方は知っていても、イヤな記憶を〝忘れる〞ための脳の使い方があるということを理解している人はほとんどいないでしょう。 教わったことも、やってみたこともなければ、ピンとこなくて当然なのです。
 たいていの人は、自ら覚えようと努力したこと以外の記憶は、勝手に脳に刻まれてしまうものだと考えています。もちろん、見たこと、体験したことを脳が勝手に記憶するというのは、そのとおりです。
 とはいえ、問題は、脳が勝手に記憶するということではありません。
 むしろ問題は、脳がどのようにしてそれを思い出しているのか、ということです。
 脳が記憶を思い出すメカニズムは、私の専門である機能脳科学によって、かなり解明されています。そのメカニズムを利用して、記憶が表に出てこないようにする方法も実際に専門家が利用して成果を上げています。
 とすれば、機能脳科学が明らかにした方法を学ぶことによって、悲しい体験や辛い体験の記憶も〝忘れる〞ことができるようになります。もちろん、イヤな体験の強烈な記憶ですから、一瞬でただちに忘れることはできません。
 しかし、長期記憶化し、トラウマになることを防ぐ方法を本書で学べば、どんなにイヤな記憶でも1カ月か2カ月くらいの間には徐々に消えていくはずです。
 あなたはこの本を読むことで、自分の記憶をコントロールするための脳の使い方を学ぶことができます。過去に起きた悲しい体験、辛い体験から自分を解放し、人生を健やかに前進させるために、私の方法があなたにおおいに役立つことを願ってやみません。

            苫米地英人

【著者プロフィール】
苫米地英人(とまべち・ひでと)
認知科学者(計算言語学・認知心理学・機能脳科学・離散数理科学・分析哲学)。
カーネギーメロン大学博士(Ph.D.)、同CyLabフェロー、ジョージメイソン大学C4I&サイバー研究所研究教授、早稲田大学研究院客員教授、公益社団法人日本ジャーナリスト協会代表理事、コグニティブリサーチラボ株式会社CEO 会長兼基礎研究所長。
マサチューセッツ大学を経て上智大学外国語学部英語学科卒業後、三菱地所へ入社、財務担当者としてロックフェラーセンター買収等を経験。三菱地所在籍のままフルブライト全額給付特待生としてイエール大学大学院計算機科学博士課程に留学、人工知能の父と呼ばれるロジャー・シャンクに学ぶ。
同認知科学研究所、同人工知能研究所を経て、コンピュータ科学と人工知能の世界最高峰カーネギーメロン大学大学院博士課程に転入。
計算機科学部機械翻訳研究所(現Language Technology Institute)等に在籍し、人工知能、自然言語処理、ニューラルネットワーク等を研究。全米で4人目、日本人として初の計算言語学の博士号を取得。
帰国後、徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、同ピッツバーグ研究所取締役、通商産業省情報処理振興審議会専門委員などを歴任。
また、晩年のルー・タイスの右腕として活動、ルー・タイスの指示により米国認知科学の研究成果を盛り込んだ最新の能力開発プログラム「TPIE」「PX2」「TICE」コーチングなどの開発を担当。その後、全世界での普及にルー・タイスと共に活動。現在もルー・タイスの遺言によりコーチング普及後継者として全世界で活動中。米地式コーチング代表。
サヴォイア王家諸騎士団日本代表、聖マウリツィオ・ラザロ騎士団大十字騎士。近年では、サヴォイア王家によるジュニアナイト養成コーチングプログラムも開発。日本でも完全無償のボランティアプログラムとしてPX2と並行して普及活動中。

本書の詳しい内容はまた改めてnote記事でご紹介して参ります!

(フォレスト出版編集部・寺崎翼)


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